最近年金相談で「住民税非課税になるような年金額にしたい」というお客様がいらっしゃいます。
今回は年金のみを受け取っている65歳以上の単身者と夫婦の住民税が非課税となるラインについて書いてみたいと思います。
住民税非課税のメリット・デメリット
住民税非課税にするとメリットがあると言われます。
- 医療費や介護保険料の負担額が減る
- 国民健康保険料の負担額が減る
- 国民年金保険料の負担額が減る
しかし、一方でデメリットもあります。
それは所得(もうけ)が少ないからこそ住民税が非課税になるわけで、わざわざ生活水準を下げてまで非課税にすることはさすがに厳しいでしょう。
生活をしていけるレベルを維持するためにはある程度のお金が必要になるからです。
なので私個人的には住民税非課税になることをあえて選択されるのはどうなんだろうと思ってしまいます。
【事務所お知らせ】住民税非課税限度額
それでも住民税非課税限度額を知りたいというお客様はいらっしゃいます。
そこで、65歳以上で年金のみ受け取っている単身者と夫婦で住民税非課税限度額がいくらになるのかを計算してみたいと思います。
計算式は以上のとおりです。
- 同一生計配偶者とは、生計を一にする所得58万円以下の配偶者
- 加算額は単身者にはない
- 基本額と加算額には級地区分により一定率を掛ける
- 級地区分の目安は、
1級地:東京23区や大阪府などの大都市
2級地:和歌山市などの県庁所在地
3級地:県庁所在地以外のその他市町村
実際、お住まいの市町村のホームページで確認してみるといいかもしれませんね。
65歳以上の単身者
では、年金のみを受け取っている65歳以上の単身者の場合の所得と年金収入の目安をまとめてみたいと思います。
所得を計算するとき、単身者ですから世帯人員数は1人で加算額はありません。
基本額は級地区分により一定率が掛け算されます。
年金収入から公的年金等控除を差し引くことで年金所得を求めることができます。
この公的年金等控除は、65歳以上の方は年金収入330万円未満であれば110万円と決められています。
そのため、今回年金所得から年金収入を求めるときには+110万円をすれば求められます。
65歳以上の夫婦
次に年金のみを受け取っている65歳以上の夫婦の場合の所得と年金収入の目安をまとめてみたいと思います。
まず、夫が住民税非課税になるラインです。
世帯人員数は妻が同一生計配偶者であることから1人加算して2人となります。
また、加算額21万円が上乗せされます。
さらに、基本額と加算額にはそれぞれ級地区分により一定率が掛け算されています。
年金収入は65歳以上ですと単身者の時と同じように「所得+110万円」で計算することができます。
今回1級地にお住まいの夫が住民税非課税になるためには、年金収入211万円以下であることが必要です。
しかし、妻も住民税非課税になるためにはいくらにすればいいのでしょうか?
表には「夫婦」と書いてありますけど、妻も年金収入211万円がラインなのかというとそうではありません。
前提で書いたとおり、妻は年金所得58万円以下である同一生計配偶者ですから年金収入では168万円以下となります。
では、年金収入168万円以下なら妻は住民税非課税になるのかというとそれも違います。
もう1ステップあります。
妻の立場から所得を計算してみるのです。
具体的には、妻の配偶者である夫は所得58万円以下の同一生計配偶者にあたらないことが一般的です。
夫の年金所得は101万円以下でしょうけど58万円は超えているでしょう。
同一生計配偶者がいないとなると、世帯人員は1人・加算額21万円もない=妻を単身者と考えて所得を計算します。
そうなると、妻の住民税非課税は、65歳以上の単身者の表と同じ年金収入155万円となります。
したがって、1級地の場合で夫婦とも住民税非課税となるための年金収入は、
となります。
2級地・3級地もそれぞれの表で確認していただけるといいかと思います。
まとめ
年金相談で住民税非課税にしたいという相談が来た時に、
- 年金収入が211万円以下なら夫婦とも住民税非課税になる
- 夫婦の年金収入の合計が211万円以下なら住民税非課税になる
とおっしゃる方がいますけどどちらも間違いだということを今日は解説してみました。
では。