脱退一時金の請求の注意点と年金記録の確認が大事だという話

日本で働いていた外国人が帰国をすると、日本でかけていた年金保険料が掛け捨てになることを防ぐために脱退一時金を請求することができます。

脱退一時金を請求する際の注意点と自分が日本でかけていた年金の加入記録を確認が大事だという話を書いてみたいと思います。

脱退一時金を受け取ることができる人

以前、ブログで書いた記事ですけど簡単に振り返ります。

厚生年金・国民年金の脱退一時金の請求と確定申告

脱退一時金を受け取る場合は以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 国民年金や厚生年金の加入をやめる手続きをした
  • 外国へ引っ越す手続きをした
  • 日本の国籍がない
  • 日本に住所がない
  • 国民年金の保険料を6か月以上払った、または厚生年金の保険料を6か月以上払った
  • 年金をもらっていない
【事務所お知らせ】  

脱退一時金を請求するにあたっての注意点

脱退一時金を請求するにあたっての注意点は請求書にも記載があります。

脱退一時金を受けとると、脱退一時金を請求する以前のすべての期間が年金加入期間ではなくなってしまいます。

したがって、脱退一時金を請求するかどうかは、将来日本の老齢年金を受け取る可能性などを考えた上で慎重に検討する必要があります。

老齢年金の受給資格期間

脱退一時金請求時に、年金の受け取りに必要な受給資格期間が120月(10年)以上ある場合には、日本の老齢年金を受け取ることができます。

そのため、脱退一時金を請求することができません。

帰国後再来日することがないかも検討が必要です。

年金加入期間の通算

日本と年金通算の協定を結んでいる相手国の年金制度に加入していた期間がありますと、加入期間を通算して日本と相手国の年金を受け取ることができる場合があります。

加入期間を通算した結果、日本の年金の受け取りに必要な受給資格期間が120月以上ある場合は、脱退一時金を請求することができません。

住所が日本にないこと

日本年金機構等が請求書を受理した日に住所がまだ日本にある場合には、脱退一時金は請求できません。

このため、住んでいる市区町村に転出届を提出した後で脱退一時金を請求する必要があります。

出国前に日本国内から請求書を提出する場合は、請求書を住民票の転出(予定)日以降に日本年金機構等に提出します。

国民年金と厚生年金の加入期間は合計しない

国民年金と厚生年金保険の両制度の期間の合算(合計)は行いません。

脱退一時金の支給額はそれぞれの保険期間に基づいて計算されます。

例えば、国民年金保険料の納付済期間が4か月・厚生年金保険の被保険者期間が4か月のみの場合は合計すると8か月になります。

脱退一時金を受け取るための要件として、

  • 国民年金の保険料を6か月以上払った、または厚生年金の保険料を6か月以上払った

がありますけどこの国民年金と厚生年金保険の期間を合計しないということなんです。

今回の場合それぞれ4か月ということで6か月未満ですから脱退一時金を請求することはできません。

支給額計算の上限

脱退一時金の支給額は、日本の年金制度に加入していた月数に応じて60月を上限として計算をします。

その際、日本の年金制度に61月以上加入していた方が脱退一時金を請求した場合、

  • 支給金額は60月を上限で計算する
  • 請求以前に日本の年金に加入していた期間がすべてなくなります

例えば、80月日本の年金に加入していた人が脱退一時金を請求した場合、

  • 脱退一時金は上限60月分が支給され
  • 日本の年金に加入していた80月分がなくなります

必ず年金加入期間の確認をする

以上の注意点を踏まえると、脱退一時金を請求する場合には必ず年金事務所などに行って日本の年金加入期間を確認することが大事です。

その際は事前予約をして年金加入期間を確認したい旨を伝えたら年金の加入記録回答票を受け取ることができます。

帰国するのであれば代理人が委任状をもって年金事務所で確認してもらってもいいでしょう。

まとめ

脱退一時金の請求をそもそもしたほうがいいのかどうかは検討したいところです。

特に、帰国後再来日するのかどうかも考えておかないと、将来年金がもらえると思っていたのに脱退一時金を受け取ったがためにもらえないということもあります。

なのでできれば帰国直前ではなく余裕を持って相談したほうがいいと私は考えています。

では。

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