給与所得・事業所得・一時所得・雑所得をざっくりと整理してみる

所得税の確定申告書を作る際には、所得(儲け)を区分して申告をすることになっています。

ただ、所得区分は判断に迷うことも少なくありません。

そこで、今回は4つの所得について簡単にイメージをもってもらえたらと思いざっくりと整理してみたいと思います。

法律を抜粋しているわけではありませんのであしからず。

事業所得・給与所得・一時所得・雑所得の区分

事業所得とは、言葉をそのまま使うと「事業から生まれる儲け」のことです。

事業所得を満たす要件としては5つありますが、イメージを持っていただきやすくするため例も書いてみます。

  • 対価を得て継続的に行う:(例)モノを売ってお金をもらうことを続けている
  • 社会通念上事業と認められる:(例)誰から見ても事業をやっている
  • 自己の危険と計算において行う:(例)自分で材料や商品を買っている
  • 営利性・有償性を有する:(例)モノを売ってお金をもらっている
  • 反復継続している:(例)一回限りではない

給与所得とは、「給与をもらった儲け」のことです。

勤務している従業員が受け取るものですが、会社に雇用されているからこそ支払われるものですので雇用契約があるということが前提です。

一時所得とは、言葉をそのまま使うと「一時に受ける儲け」のことです。

一時ですから臨時的で突然発生するものであるため、営利目的でなく継続性もありませんから事業所得とは異なります。

一時所得は、たまたまもらえたもの・ラッキーな儲けなどと言い替えることができます。

雑所得とは、言葉をそのまま使うと「所得の中でどれにも当てはまらないもの(雑多)」を言います。

判断できないものが雑所得になりますので、範囲がとても広いです。

これまでの判断ポイントを整理すると、以下のようになります。

判断ポイント
事業所得 5要件(対価あり、事業、自己責任、営利有償、反復継続)
給与所得 雇用契約あり
一時所得 臨時、突然
雑所得 どれにも当てはまらない

判定事例をご紹介

事業所得は、5要件を満たしたものでしたので判断に迷うことは少ないわけですが、あとの3つの所得は判断に迷うことが多くあります。

そこで、判定事例をいくつかご紹介してみます。

判断ポイントを確認しながら見ていただければと思います。

町が私立保育園に勤務する保育士に支給する助成金

  • 支給者は町(地方公共団体)
  • 受け取る人は私立保育園に勤務する保育士
  • 支給目的は人材確保と定着・離職の防止
  • 支給額は年間3万円で3年間支給・助成金として支給

この場合、

①町と保育士の間には雇用契約はない⇒給与所得ではない
②3年間にわたって支給される⇒一時所得ではない

したがって、今回の事例は雑所得となります。

裁判所が裁判員(一般市民)に支給する旅費や日当

  • 支給者は裁判所
  • 受け取る人は裁判員(一般市民)
  • 支給目的は裁判員としての義務を果たすことに伴う損失を補うため

この場合、

①裁判所と裁判員との間には雇用関係はない⇒給与所得ではない
②旅費や日当は実費弁償的(その業務で使う範囲で精算するもの)なもの
⇒一時所得ではない

したがって、今回の事例も雑所得となります。

条文だけでは判断できない部分もあるため難しい

所得税法という条文を見れば、それぞれの所得はこうだよというものはありますが、明確に書かれていない部分もあります。

具体例が通達という内部の取扱いとして実務上運営されているものの中に書かれてあります。

税理士試験ではこの具体例を覚えて何所得か判断できるように、などと講師から言われます。

もちろん具体例でイメージはつかめるかと思いますけど、ひとつひとつを覚えておくわけにはいかないでしょう。

そこで、大枠というかイメージを持っておけばそれほど判断に迷わなくなります。

それでも正直難しいところはありますけどその時は条文や通達などに遡って確認をしていくことになります。

まとめ

今回は、事業所得・給与所得・一時所得・雑所得の区分について判断ポイントと事例を解説してみました。

まずは言葉をそのまま読んでみて判断ポイントをイメージされると分かりやすくなりますよ。

では。

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