個人事業主はいろいろ職業があります。
今回は不動産賃貸業者について消費税の申告を取り上げてみたいと思います。
不動産賃貸業者の確定申告
個人事業主がアパートやマンションを購入して賃貸しているケースです。
不動産賃貸業者と書きましたけど、不動産賃貸業を営んでいて不動産所得を申告している個人事業主と考えていただいてもいいかもしれませんね。
所得税の確定申告の計算では不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算をします。
総収入金額とは、アパートやマンションの入居者から受け取る家賃収入や更新料などです。
必要経費とは、アパートやマンションにかかる固定資産税や修繕費、減価償却費、保険料などです。
不動産所得には、事業的規模かそうでないかにより取り扱いが異なります。
形式的には、一戸建てなら5棟以上・アパートやマンションなら10室以上で事業的規模(=不動産貸付が事業である)だと判断されます。
それに満たない場合には事業的規模ではないと判断されます。
事業的規模かどうかの主な相違点としては、
- 青色申告特別控除
事業的規模:65万円(e-Tax利用)
事業的規模でない:10万円 - 青色事業専従者給与
事業的規模:適用あり
事業的規模でない:適用なし
などがあります。
不動産賃貸業者の場合必要経費はそれほど多くかかりません。
物件を買うときには多額の経費がかかるものの、材料の仕入や外注を依頼するということがありません。
人件費に左右されるくらいでそれはサービス業も同じです。
なので、所得税の確定申告で大きなダメージを食らうことは多くありません。
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消費税の課税売上げにあたるかどうか
アパートやマンションの家賃収入や更新料は住宅の貸付けにあたります。
消費税法では、消費税がかからない取引(=非課税取引)として以下のものが挙げられています。
住宅の貸付け
契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限られます。
契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限られます。
国税庁ホームページ タックスアンサー 非課税となる取引
つまり、アパートやマンションの家賃収入には消費税が含まれていませんので、消費税を申告する必要がありません。
消費税の計算方法には、一般課税・簡易課税、あとインボイス登録事業者が選ぶことができる2割特例があります。
- 一般課税:消費税が含まれる売上げー消費税が含まれる経費
- 簡易課税:消費税が含まれる売上げー(消費税が含まれる売上げ×みなし仕入れ率)
- 2割特例:消費税が含まれる売上げ×20%
すべての計算式に、「消費税が含まれている売上げ」が入っています。
この部分にアパートやマンションの家賃収入は入れない、というわけです。
保有アパートやマンションを売った場合
不動産賃貸業者でミスが起こりやすいのが保有していたアパートやマンションを売った場合です。
非課税取引には「住宅の貸付け」と書かれていますけど、「住宅の売却」とは書かれていません。
つまり、住宅を売った場合の収入は消費税が含まれる売上になりますので消費税の申告をしないといけません。
住宅を売ると所得税の確定申告では不動産所得ではなく譲渡所得として申告をします。
譲渡所得として申告するのだから消費税は関係ないんじゃないか?というと違います。
所得税における所得区分と消費税の売上げは別問題です。
ここを勘違いしてしまいますと、消費税の申告を漏らしてしまう可能性があります。
まとめ
今回は、不動産賃貸業者で注意したい消費税の申告について書いてみました。
参考になれば幸いです。
では。