ネイリストの外注化が問題になる理由

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ネイリストの記帳指導や顧問先のネイリストから話を聞くと、ネイリストを従業員として雇う形ではなくて業務委託の形にしていることが多いようです。

いわゆる「ネイリストを外注化する」という方法なんですけど、コスト削減が期待できるため魅力的に映りますが、税金面や社会保険の面で問題点があります。

「ネイリストを外注化する」とは?

ネイリストを従業員として雇わず、業務委託契約を結んでネイリストを個人事業主として扱うことをいいます。

この場合、事業主側からしたらネイリストは従業員ではないため社会保険や労災保険に加入をさせる必要がありませんのでコスト削減が見込めます。

また、業務委託したネイリストが消費税を申告する事業者である場合には、支払った報酬に対する消費税を売上に含まれる消費税から差し引くことができます。

一方で、外注先であるネイリスト側は個人事業主ですので自分で国民年金と国民健康保険に加入することになり全額自己負担になります。

また、個人事業主として収入を得ることになりますので自分で確定申告を行い所得税や住民税を納める必要があります。

帳簿作成をしたり税金の知識が必要になるほか、消費税を納める事業者となった場合には消費税の申告と納付も必要です。

材料費や消耗品費・交通費など事業にかかる経費を自分で負担しなければなりません。

さらに、事業主からの仕事量や単価に左右されやすいために収入が不安定になるという特徴があります。

税金面での問題点

ネイリストを外注化することによりまず税金面で問題が出てきます。

それは、業務委託契約を結びながら実態は従業員を雇っているのと同じだと指摘されてしまうリスクです。

例えば、

  • 事業主側から具体的な仕事内容などの指揮監督を受けている
  • 勤務時間や勤務場所が決められている
  • 報酬が固定給である
  • 仕事に必要な道具は事業主側で支給され自分のものは持ち込む必要がない

など、実態が従業員と同じであると認められた場合には、給与を支払ったと判断されてしまいます。

この場合、本来給与から天引きするはずの源泉所得税が納められていませんので追加で納める必要があります。

また、給与は消費税が含まれている経費にはあたらず売上に含まれている消費税から差し引けなくなりますので、その分の消費税を追加で納めなければなりません。

税務調査で指摘を受けてしまいますと、追加で所得税や消費税を払わなければなりませんし、加算税などの罰金も合わせて払わなければならなくなります。

労災保険・社会保険・労働基準法の問題点

もし実態が従業員と変わらない場合には、ネイリストは個人事業主ではなく従業員として扱われます。

これにより事業主はさかのぼって健康保険や厚生年金保険・雇用保険・労災保険の保険料を支払う必要が出てきてしまいます。

未納の期間が長ければ高額となり、さらに延滞金も課される可能性があります。

従業員として扱われるということは労働基準法が適用されるということです。

残業代の支払いや有給休暇の付与、解雇など雇用に関する義務が発生します。

これらを怠っていた場合にはネイリストから訴えられたり労働基準監督署から指摘を受ける可能性も考えられます。

事業主側の対応

ネイリストの外注化はリスクが大きい問題ですので、事業主とネイリストとの間で適切に契約を締結し実態が業務委託であることを明確にしておくべきです。

業務委託契約書があるからと言って中身が伴っていないと労働者として扱われてしまう可能性があります。

そのため、業務委託契約を結ぶのであればその要件を厳しくしておくか、従業員として雇用契約を正しく結ぶのかを事業主側は考える必要があります。

まとめ

実際、業務委託として仕事をされているネイリストでも実態は労働者と同じように仕事をされているように感じます。

契約書もないため適当に外注扱いにしている事業主もいらっしゃるかもしれませんね。

個人的には、ネイリストの外注化は実態にそぐわないなと思っています。

では。

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