「開業届を出している」から「事業所得」!?

会社員の方が退職後新たに事業を始めたり退職せずに副業で事業を始められる場合には、個人事業主として事業所得または雑所得の確定申告が必要です。

開業するにあたって税務署に「個人事業の開業届」を提出することがありますがそれだけで事業所得として確定申告できるのでしょうか?というのが今日のお話です。

開業と個人事業主

そもそも開業とは、事業を新たに始めることをいいます。

ネイルサロン・美容師・飲食店など、何か商売を始めるときに使われる言葉です。

本業として会社を辞めて開業するケースのほか、本業を継続しながら副業として開業するケースがあります。

個人事業主とは、個人で事業を営んでいる人のことです。

事業とは「独立・継続・反復」して仕事をしていることを言いますので、例えば副業により所得を得ている場合は、本業が会社員であっても個人事業主です。

【事務所お知らせ】  

事業所得=開業届の提出ではない

事業所得とは、小売業や卸売業、サービス業、農業、漁業などの事業を営んでいる人が事業から得た所得のことをいいます。

事業所得は、総収入金額から必要経費を差し引いた所得(もうけ)を計算して申告をします。

会社員であっても副業として事業を営むことは可能です。

しかし、副業や趣味の延長線上の業務すべてが事業所得として認められるわけではありません。

事業所得として認められるためには、納税地(住所や事業を行う場所)を所轄する税務署に1か月以内に個人事業の開業届が必要です。

しかし、提出したからと言って事業所得と認められるわけではありません。

  • 取引の目的
  • 本人の職業や生活状況
  • 営利性と有償性
  • 反復性と継続性
  • 将来的に継続安定した収入が見込めるか
  • 副業収入の占める割合
  • 記帳や帳簿書類の保存

などを総合的に見て判断をします。

副業の所得が事業所得であると勘違いしないように注意しましょう。

事業所得として認められなかった所得は、主に雑所得として扱うこととなります。

雑所得とは

雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得の9種類に当てはまらない所得をいいます。

雑所得も、総収入金額から必要経費を差し引いて計算をします。

事業所得と雑所得・経理記帳と帳簿保存

副業であったとしても収入があることには変わりません。

会社員の方が副業から得られた所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。

もし20万円以下であれば確定申告は不要ですが住民税の申告が必要です。

事業所得での申告は金額の目安はあるものの経理記帳ができており帳簿が保存されていることが大前提です。

事業所得は青色申告にすることで青色申告特別控除や事業で得た赤字をほかの所得と相殺できる損益通算が適用できるなどメリットがあります。

ただそのメリットを受けるためには経理記帳と帳簿保存が大きなハードルとなってしまいます。

場合によっては、副業である間は経理記帳の必要がない雑所得で確定申告するほうが手間をなくせる可能性があります。

なので、

  • 会社員を退職して開業する際に事業所得として申告
    →その時点で「個人事業主の開業届」と「青色申告承認申請書」を提出して青色申告で
  • 副業である間は雑所得で経理記帳をシンプルに

という形を取ることも方法のひとつです。

私もこのようにご案内をしています。

まとめ

副業のある方のうち開業届を出しているのに事業所得として認められなかったというのは税務調査でもよくある話です。

開業届という書類だけで判断されないというところがポイントです。

では。

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