確定申告の相談や年金相談の場で、ご夫婦のうち奥様から「夫の扶養に入りたいんだけど…」というご質問をお受けすることがあります。
この扶養という言葉の意味を改めて確認してみたいと思います。
扶養には2種類の意味がある
扶養とは、自立して生活できない家族や親族を経済的に養うことを指します。
日本では税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があります。
税制上の扶養とは、例えば夫の扶養に入る妻は税金の負担が減ることです。
社会保険上の扶養とは、例えば夫の扶養に入る妻は健康保険や国民年金の保険料を払わなくても社会保険に加入できることです。
まず、お客様から扶養の話が出たら税制上の扶養なのか社会保険上の扶養なのかは確認するようにしています。
なぜかというと、それぞれ条件やメリットが異なるからです。
ここから夫の扶養に入る妻の税制上の考え方と社会保険上の考え方について確認してみたいと思います。
【事務所お知らせ】税制上の扶養
妻は民法上の配偶者となります。
夫の所得税や住民税を計算するにあたっては妻の所得(もうけ)により配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができますので税負担が減ることになります。
この場合、妻の所得は1月1日から12月31日の1年間で計算をしますので、過去に生じた分を集計するというイメージです。
妻の所得は、給与収入であれば給与収入から給与所得控除を差し引いたのこりが給与所得となります。
年金収入であれば、年金収入から公的年金等控除を差し引いたのこりが年金所得(雑所得)となります。
給与所得と雑所得両方があれば合計をします。
年金については老齢年金のみが所得となりますので所得税や住民税の対象となりますが、障害年金や遺族年金は所得に含まれないため所得税や住民税はかかりません。
社会保険上の扶養
夫の扶養に入る妻は、社会保険料を払わなくても病院での医療費負担が3割で済むなど保険給付を受けることができます。
この際、妻には収入要件があります。
という要件があります。
ここで収入とは、扶養の認定を受けた日以降の年間見込み額を指します。
税制上の扶養と異なるのは、将来1年間の見込み額で判断するということです。
この社会保険上の収入には、障害年金や遺族年金の金額も含まれますので注意が必要です。
税制上の扶養はOK(NG)・社会保険上の扶養はNG(OK)ということも
ここまで税制上の扶養と社会保険上の扶養について条件やメリットを見てきましたけど実際にはこんなこともありえるのです。
それは、
- 税制上の扶養には入れるけど、社会保険上の扶養には入れない
- 税制上の扶養には入れないけど、社会保険上の扶養には入れる
ということ。
税制上の扶養は、
- 所得(もうけ)という税率をかける前段階の数字で判断をする
- 1月1日から12月31日の過去1年間で計算する
- 年金の場合は老齢年金のみ
社会保険上の扶養は、
- 収入で判断
- 扶養認定日以降の年間見込み額で計算する(→将来に向かってが基本)
- 年金の場合は老齢年金のほか障害年金や遺族年金も含まれる
という違いがあるため、「扶養に入れますか?」という質問には慎重になってしまうんですね。
お客様の多くは扶養について税制上か社会保険上かの区分があることを知らず質問してきます。
話を聞いていくと社会保険上の扶養のことが一般的なんですけど、それでもどちらの扶養なのかは確認しながら相談対応をする必要があるなと感じます。
まとめ
「扶養に入れますか?」というお客様からの質問には、税制上と社会保険上の扶養があることを伝えないと話が食い違うことになります。
年金相談だと社会保険上の扶養であることが多いですけど、税制上とごちゃまぜになっていることもあります。
一方、税金相談で社会保険上の扶養について聞かれることもあります。
どの扶養なのかは聴き取りたいところです。
では。
