調査先は調査部門だけで選んでいるとは限らない

7月に入ると税務署も人事異動があって新体制がスタートします。

そろそろ税務調査もスタートして調査予約の連絡も本格的に始まります。

実際、調査に行く案件を選ぶのは調査部門ですが、実はこの部門だけで選んでいるとは限らないということを今日はお話してみたいなと思います。

アイキャッチ画像は、今読んでいる税務調査本です。

法人課税部門の内部

私が税務職員のときに所属していたのは「法人課税部門」でした。

法人課税部門は、基本的に中小法人を対象にした法人税・消費税・源泉所得税を扱います。

この法人課税部門はさらに大きく4つの部署に分かれます。

内部 法人税内部処理
主担 消費税・印紙税の内部処理と調査
源泉 源泉所得税の内部処理と調査
調査 法人税・消費税・源泉所得税の調査

ただし、規模の小さい税務署ですと主担や源泉が内部と合体しているところもあります。

主担や源泉でも調査をする

主担や源泉でも調査を行います。

調査と何が違うのかというと、

  • 公益法人、幼稚園、お寺、神社などに調査を行う(法人税が課税されないところ)
  • 消費税・源泉所得税だけで問題点がある

という場合です。

簡単にいうと、普通の会社ではなく、消費税や源泉所得税に誤りがありそうだというところですね。

それぞれの部署ごとで調査に行く事案は選んでいたりします。

また、主担や源泉の部署内でも分かれていることが通常です。

  • 内部担当者
  • 調査担当者

調査担当者以外にも、この内部担当者が調査に行く案件を選んでいることがあります。

もちろん、情報を上司に伝えて確認してから調査に行くかどうか判断されます。

部署間で情報連携がある

主担や源泉では、内部処理をする関係で出てきた書類を確認していますので、その中で問題点があれば調査の部署に情報を回すようにしています。

一方で調査で見つかった情報が主担や源泉に回ってくることもあります。

この内部連携。うまくいくときとそうでないときがあってなかなか難しいものがありますが、まずは情報があれば上司に報告して判断してもらっていました。

法人税申告書から「みなし配当の源泉もれ」が見つかるというのも、こういう部署間の連携があるからです。

印紙税もほかの調査先から情報が回ってくる、なんていうケースもあります。

内部担当者も調査官!?

各部署にいる内部担当者ですが、過去には税務調査を経験している方がほとんどです。

新人職員ですとまだ調査経験がありませんけど。。

なので、やはり調査官としての目線で書類の確認をしています。

おかしいところがないか、異常な数字がないか、など調査さながら。

私も内部担当者でしたが、どうしても書類のチェックなどは細かくなってしまっていました。

実際にそこから問題が見つかって情報を回したことは何度もあります。

内部担当者はただ処理をしているだけではありません。

何か怪しいと思ったら周りに確認しています。

源泉所得税でいいますと、還付請求書の審査はとても慎重に行っていました。

なぜなら、承認すると国に納めていただいている税金が還付されるために不正に還付されることがあってはならないのです。

書類不足があるともちろん何度も依頼していました。

相手から「すぐ承認して!」と言われてもできませんでした。

イライラされるのもすごくわかります。

でも確認が取れて自分たちが納得できるまで何度もチェックします。

トラブルになりそうになったこともありますけど、内容も分からないものを還付してくれというのはちょっと違いますよね。

それだけ真剣に向き合っている、と思っていただければ。

源泉所得税の内部担当者として発見した問題点を挙げてみる

源泉所得税の内部担当者であったときに、問題点ではないかなと思って上司に情報を回付したりして実際に誤りが見つかった例をいくつか挙げてみたいと思います。

法人税申告書からみなし配当・非居住者源泉もれ

源泉では法人税申告書の中身をチェックして源泉の納付もれがないかどうか、未納付がないかどうかを確認します。

よくあるのがみなし配当と非居住者の源泉もれです。

勘定科目内訳書や法人事業概況書と納付状況を照らし合わせて判断するようにしていました。

還付請求書につける添付資料から問題点が見つかる

あるとき、還付請求書の添付書類として外注費の請求書がついていました。

内容を見ると外注先が個人。申告状況を確認すると無申告者だった…。

この場合は、還付請求書の提出先自体の問題ではなかったので還付しましたが、外注先の個人の所轄する税務署に無申告者がいるよ、という情報を回しました。

もちろん自分が審査した時にわかるときもあれば、周りから教えてもらうこともありました。

還付請求は審査は厳重にします。1人でしないような体制になっていました。

こういう気づきは自分だけではなかなかわかりません。

疑問に思ったことは何でも確認する癖はついたような気がします。

それがたとえ違っていたとしても、です。

まとめ

今回は、税務調査は調査部門だけで決めているわけではなくて内部担当者や他部署との情報回付から決めていることもある、ということを書いてみました。

情報収集力は調査官の目というか勘が働く職員がいるからこそなのかもしれませんね。

私も少なからず影響を受けたような気がします。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

最近税理士支部と社労士支部からいろいろ仕事のお話をいただけるようになりました。

記帳指導やら年金・労働相談などなど。

初めてのことですからいろいろ経験してみたいと思ってお受けするようにしています。

少しでも貢献できればいいなと思うと同時に日々責任感を感じるようになってきましたね。

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