決算書の数字の根拠は説明できますか?

事業をされていますと、個人事業主や会社では貸借対照表と損益計算書(決算書)を作成することと思います。

この数字はどうやって集計したのか、根拠を説明できますでしょうか?

事前に確認をしておくだけで税務調査の対策になります。

税務調査対策で共通すること

税務調査の対策を謳った本が出版され、セミナーなども行われているため今後起こりうる税務調査について事前に準備されている方もいらっしゃいます。

私も税務調査の現場にいたことがありますし、今も税務調査の本は読むのですが総じて共通していることがあります。

それは、数字の根拠が説明できるかということです。

数字の根拠って確定申告書だったり決算書だったりいろいろあるのですが、今回は決算書を取り上げてみます。

というのは、利益(所得)をもとに税金を計算しますが、その利益は収入金額から必要経費を差し引いた残りです。

その収入金額はどこから集計してきたのか、必要経費はどうやって集計してその数字になったのかをひとつひとつ根拠をもって説明ができるのかどうかです。

説明ができるのであれば税務調査が来たときに調査官に主張をすることができます。

ただしその処理が正しいという根拠があればということにはなりますが、もしこの処理は正しいのか分からないな・判断に迷うときには証拠とともに記録を残しておきます。

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その数字を持ってきた根拠

例えば、決算書のうち損益計算書の売上高を見てみます。

当然その数字は売上先に渡した請求書や領収書控から拾っていくことになります。

振込みであれば通帳からその金額を拾っていくことになります。

月別の売上を集計してみて集計がもれていたり二重に集計していないかも確認したいところです。

さらに、締め日が設けられている場合には、決算日までに売上を計上すべきものがないのか確認をする必要もあります。

例えば、商品を引き渡したのが今期で入金が翌期だという場合です。

売上を計上するのは引き渡した今期です。

入金時ではありません。

決算書における売上高は1年分の結果ですので、税務調査ではその数字はどう集計してきたのかを調べられるのは当然のことです。

請求書や領収書控から集計したのであればそれらを保管しておくことになりますし、紙ベースでなくオンライン取引だったのであればフォルダに保存しておきます。

売上高ひとつとっても集計した根拠があるわけです。

また、必要経費も同じです。

例えば、交際費。

取引先との接待などで飲食店を利用したとします。

その時は飲食店から領収書やレシートが渡されるのが通常です。

この際、まず交際費としてふさわしいものなのか検討します。

誰と行ったのか・何の目的か・一人当たりの金額は最低限確認しておきたいところです。

もしそれが領収書から明らかではないのなら、カレンダーなどに誰と・何の目的で行ったのかをメモしておくことです。

調査官が領収書に疑問を持つことを考えてそれを回避する証拠を事前に積み上げておくのです。

交際費はプライベートで使いやすく公私混同しやすい経費ですので、ビジネスで使っていることを明確にできる根拠づくりが大事です。

ただ集計してもあっているかは分からない

貸借対照表や損益計算書などの決算書は1年間の集計を終えた結果ではあります。

しかし、「決算書が作れたから終わり!」ではないということです。

集計したからにはその数字が合っているのかも確認します。

会計ソフトで集計をされている場合には集計もれはないかと思いますが、手書きでは集計もれや記入ミスは起こりえます。

Excelを使っていたとしても式が入っておらず集計ミスを起こすということもあります。

ただExcelでの集計は積極的に利用していきたいところですので、その時には事前に式がきちんと入っているのかのチェックも大事です。

あと、貸借対照表でありがちなのは手元の残高と一致していないということです。

例えば、通帳の残高が合っていないとか、手元現金が合っていないなど。

合っていないということは、集計ミスや入力もれなどの原因が考えられます。

ただそれも確認せずに決算書を提出してしまうケースがよくあります。

実際に税理士が作った決算書で貸借対照表が間違っているのを見かけたことがあります。

よくあるのは、現金や預金がマイナスになっているケースです。

決算書ができたから一安心なのは分かりますけど、手元にある現金や預金がマイナスになることはあり得ないわけですから早急に原因を突き止めるべきです。

根拠を作る=数字のチェックをする、ともいえます。

まとめ

今回は税務調査対策の一つとして決算書の数字の根拠の説明について書いてみました。

もし自分が作った決算書や申告書、いや日々の仕訳から自信がないのであれば一度税理士に相談をしてみるのもいいかもしれませんね。

根拠をどう作っていくのか、その判断は専門家に確認を取るでもいいと思います。

では。

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