障害年金申請で「3要件」が大事な理由

障害年金を申請するうえで気をつけたいのは、受け取るための要件です。

障害年金を受け取るためには、加入要件・保険料納付要件・障害の程度要件の3つを満たす必要があります。

原則としていずれかひとつでも満たさない場合は、障害年金を受け取ることができません。

今回は、その3要件がいかに大事かということと、先日ネット記事でみかけたある事例とともに書いてみたいと思います。

障害年金申請には例外的な取り扱いをするものが多いです。複雑になってしまうので詳細は省略して図解を入れて読みやすくしてみました。

障害年金を受け取るためには…

障害年金を受け取るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 初診日に国民年金・厚生年金に加入していること(加入要件)
  • 初診日までに一定期間の保険料を納めていること(保険料納付要件)
  • 障害認定日に障害の等級に該当していること(障害の程度要件)

ここで、初診日と障害認定日という言葉が出てきました。

初診日とは、初めて医師の診察を受けた日をいいます。

この初診日において加入要件と納付済要件の2要件を満たしておく必要があります。

そして、

障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日をいいます。

この障害認定日において障害の程度要件を満たしておく必要があります。

障害年金を請求する方法は4種類あります。

今回は本来請求と呼ばれる、障害認定日から1年を経過する日前に請求を行う方法を取り上げて図解してみるとこのような感じになります。

初診日と障害認定日に3要件が満たされると受け取れる権利(受給権)が発生します。

【事務所お知らせ】  

保険料納付要件の注意点

加入要件は、国民年金・厚生年金に加入しているかどうかで判断されます。

障害の程度要件は、障害等級に該当するかどうかを判断します。

この3要件の中で一番気を付けたいのは保険料納付要件です。

保険料を支払った対価として受け取れる年金ですので、一定期間以上の保険料を納付していなければ障害年金を受け取ることができません。

保険料納付要件をくわしく

保険料納付要件には、原則と特例がありどちらかを満たす必要があります。

確認する手順としては、特例→原則の順番で行います。

特例(直近1年)
初診日の前日において初診日の属する月(7月)の前々月(5月)までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないこと
⇒直近1年間で保険料の未納期間がないこと

原則(3分の2)
初診日の前日において初診日の属する月(7月)の前々月(5月)までの被保険者期間(保険料を納付すべき期間32か月)内に、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること
⇒保険料納付済期間+保険料免除期間/被保険者期間   ≧2/3

学生納付特例制度や納付猶予制度は未納期間ではない

保険料の免除を申請する際に、学生ですと学生納付特例制度・低所得者の方ですと納付猶予制度があります。

先日このブログでもご紹介しました。

これら2つの制度を利用すると、保険料を納めていない=未納期間とは見られません。

免除の申請をきちんと行って承認されているので保険料免除期間となります。

「初診日の前日」までに納付が必要

ただし注意しないといけないのは、保険料納付要件の原則と特例の出だし「初診日の前日において」という言葉です。

保険料で未納がある場合はさかのぼって納めることができます。

しかし、初診日の前日において保険料納付要件を満たしていることが必要なのです。

つまり、

初診日以降に納めた保険料があったり、初診日以降に免除等の申請を行って承認されたものは、この要件には当てはまりません。

学生納付特例をしていなかったがために障害年金を受け取れない

ここで、ネット記事でみかけたある事例をご紹介しておきます。

息子が大学を卒業して会社員として勤務してまもなく精神障害を患いました。

父親が障害年金を申請しようとしたところ、年金事務所の職員からこう告げられました。

「保険料納付要件を満たしていないので無理ですよ」と。

なぜそうなったのかというと、息子が20歳から大学卒業までの国民年金保険料を支払っていなかったのです。

父親は「いや学生の期間だから免除になるはずだ!」と職員に詰め寄ったそうですが申請をしていなかったのです。

息子からは自分で払っていくから大丈夫だと言われていたのでそれを信じてしまっていたようです。

結局、父親は障害年金申請を断念せざるを得なくなってしまいました。

図解するとこのようなケースですね。

学生納付特例を申請していないばっかりに障害年金が受け取れなかった事例です。

子どもと親両方が知っておく

今回のネット記事を見る限り、父親・息子ともに落ち度があるように感じます。

もし学生納付特例制度があることを知っていたら未納期間にはならず障害年金を申請できていたかもしれません。

息子も「自分で納めるから大丈夫」だという予測のもと行動していたのも問題です。

将来何が起こるかわかりません。

特に今若い世代で就職してすぐに退職する人が増えていますし、メンタル面でいつ体調を崩すかわかりません。

障害年金制度は要件を満たさないと受け取れません。

手続きひとつ忘れただけで諦めるしかないこともあります。

親だけでなく子どもにも知っておいてほしい制度かなと思います。

まとめ

今回は、障害年金制度の3要件について書いてみました。

特に保険料納付要件は要注意ですね。

ただ、そもそも障害年金制度を知らない人が多いんじゃないかなと思うんです。

どうしても老後の保障という側面が強い年金ですが、障害を負った場合の生活保障という側面もあります。

もっと啓発活動をしてもいいのになと感じます。

では。

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