障害年金だけではない うつ病など精神障害で支援されるもの

今現在、うつ病など精神障害に特化した障害年金業務を行っています。

うつ病・パニック障害の経験者として障害年金をもっと知ってほしいなと思っているひとりです。

ただ、障害年金は必ず申請が通るわけではなく、申請したのに却下されることもあります。

また申請が下りて年金が支給されるまでかなりの時間がかかる場合も。

そうなると生活に困る場面も多くなると思われます。

そこで、障害年金だけではないうつ病で支援される制度を今回はご紹介したいと思います。

自分でまとめた記事になりますので一部抜粋したり要約してご紹介しているところがあります。

参考になったTwitter投稿

先日Twitterを見ていたら、とにかく明るい鬱病患者 (略称 トニー)さん(https://twitter.com/NumaHaru333)が支援制度をご紹介されていました。

見やすく整理されていましたのでまずはそのまま掲載されていただきます。

ありがとうございます。

それぞれの支援制度を解説

まず大きく、①健康保険・雇用保険②労災保険③生活保護に分かれます。

①健康保険(国民健康保険)・雇用保険で支援されるものが多くて、

  • 自立支援医療
  • 傷病手当
  • 精神障害手帳
  • 精神障害年金
  • 失業保険

があります。

労災保険は、勤務先で仕事に関連してうつ病を発症した場合に支援されるものです。

生活保護は、障害年金など支援が受けられない時に支援されるもので生活保障の一面があります。

自立支援医療

各都道府県ではうつ病などの精神疾患になった方の医療費負担を減らしてもらえる支援制度があります。

例えば、東京都ですと「自立支援医療(精神通院医療)」という名称で、申請をすると医療費が原則1割負担になります。

ただし、世帯で負担する住民税が多いと受けられない場合や「世帯」の所得や疾病等に応じて、自己負担上限月額が設定されます。

申請方法は、申請書のほか、かかっている医療機関の診断書(自立支援制度専用の診断書)と健康保険証、課税証明書が必要になります。

自立支援医療(精神通院医療)について 東京都福祉局

私も東京都のこちらの制度を利用したことがあります。

かかっている心療内科で診断書を書いてもらって申請をしました。

まず医師に自立支援医療を申請したい旨伝えてみましょう。

私の場合、高価な薬を処方されていたこともあり医師から自立支援の申請を勧められたので診断書もすぐ書いていただけました。

医療機関での診察代だけでなく、処方される薬代も1割負担になります。

なので、申請する際にかかりつけ薬局を指定するとそこで処方される薬代も1割負担の対象となります。

ちなみに和歌山県も同じような制度があります。

和歌山県ホームページ Wakayama Prefecture Web Site

もしお住いの自治体に制度があるかどうか確認される場合は、「●●県 自立支援制度(精神通院)」などで検索されるといいと思います。

傷病手当(傷病手当金)

傷病手当(傷病手当金)は、健康保険制度でうつ病などを原因として勤務先を休んだ場合に、支給開始日から通算して1年6か月支給されるものです。

具体的には、

  • うつ病などで3日連続で会社を休んだ場合、その後休んだ日について支給されます。つまり、休業4日目から支給されるということです。ただし出勤した日や給与が支給された日は受けられません。
  • 傷病手当金の支給額
    標準報酬月額(月収)×2/3(約66%)
    ただし、給与の一部が支給されていると、支給された給与を差し引いた金額が支給されます。
  • 傷病手当金を受け取っていた人が勤務先を退職した場合でも、要件を満たせば退職後も継続して傷病手当金を受け取れます。
令和4年4月1日から傷病手当金の支給期間が通算化されました。
これまでは、支給開始日から起算して1年6か月という期限がありました。
しかし、今回の改正で、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給ができるようになります。
令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金(令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金)が対象です。
令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます
...

精神障害手帳(精神障害者保健福祉手帳)

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。

何らかの精神障害(てんかん、発達障害などを含みます)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としています。

ただし、手帳を受けるためには、その精神障害による初診日から6か月以上経過していることが必要になります。

受けられるサービスとしては以下のようなものがあります。

  • NHK受信料の減免
  • 所得税、住民税の控除
  • 相続税の控除
  • 自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)
  • 鉄道、バス、タクシー等の運賃割引 など

申請は、市町村の担当窓口で行い、以下の書類が必要です。

  1. 申請書
  2. 診断書又は、精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等の写し
    ※診断書は、精神障害の初診日から6か月以上経ってから、精神保健指定医(又は精神障害の診断又は治療に従事する医師)が記載したもの。(てんかん、発達障害、高次脳機能障害等について、精神科以外の科で診療を受けている場合は、それぞれの専門の医師が記載したもの。)
  3. 本人の写真(宗教上又は医療上の理由により頭部を布などで覆うことは認められる場合があります)

厚生労働省HP 精神障害者福祉手帳より抜粋https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/certificate.html

所得税などの障害者控除を受けるときに、この手帳があるかないかで判断されることがあります。

このうち、1級の人は特別障害者に該当し控除金額が割増されます。

精神障害年金(障害年金)

障害年金は、初診日において被保険者であり、障害認定日において障害等級に該当する場合に支給されるものです。

障害年金は初診日のある月の前々月までに保険料を一定期間納付している必要があります(例外もあります)。

また、障害認定日は、初診日から1年6か月を経過した日となります。

ここでの注意点は、精神障害者保健福祉手帳にある等級と障害年金の等級は必ずしも一致しませんので、障害年金は障害年金で別に判断されることになります。

失業保険(基本手当)

基本手当は、雇用保険の被保険者が失業した場合に支給されるもので、離職時における賃金日額×80%~50%の額が、90日から360日の範囲で支給されます。

離職後最初にハローワークへ行った日から4週間ごとに訪れる失業認定日において失業の認定を受けた日について支給されます。

ただし、基本手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。

障害年金よりハードルは高くない

上記の表を少し細かく解説してみましたが、障害年金より幾分ハードルが下がるイメージかなと思います。

障害年金は何が大変かということですが、

①初診日において国民年金や厚生年金などの年金制度に加入していることが必要である
②保険料を一定期間以上納付していなければならないこと
③障害認定日において障害状態の要件を満たしていること

という3つの要件をすべて満たす必要があるからです。

特に、②の保険料納付要件は非常に重要で、この要件を満たさないと一生涯障害年金を受け取ることができません。

なので20歳到達時から国民年金などに加入し保険料を納めていくことが大切になります。

他の制度では、医師の診断書は必要になったりするものの申請すれば認められるケースが多いです。

障害年金の申請をしつつ支援を受けておく

障害年金は、書類審査が基本です。

医師の診断書も必要ですし申請書も記載していきますが、確実に申請して受け取れるものではありません。

却下されることも当然にあるのです。

そこが障害年金申請の大きな壁となっているところです。

なので、障害年金の申請をしつつ他の支援を受けて待ってみるというのも生活をしていくうえでは欠かせないかと思います。

まとめ

先日、今回ご紹介した図を見ながら一度自分なりに支援制度を整理してみたいなと思って記事にしてみました。

私が実際使ったことがあるのは自立支援医療ですが、3割負担が1割負担になりましたのでずいぶんと負担感が違いました。

うつ病などでかかりつけの医師いらっしゃるならば一度ご相談されてもいいでしょう。

また、もし支援制度をご利用の場合は、お近くに市区町村にご相談されるのもいいかもしれませんね。

では。

タイトルとURLをコピーしました