有能な調査官の見分け方について

先日ご紹介したこちらの本。

その中に、有能な調査官とそうでない調査官の見分け方について書かれている箇所があります。

その記事を見た感想と、実際に自分自身がどうだったのか。

周りの調査官で有能な調査官がいたのかについて今日は書いてみたいと思います。

有能な調査官とは

この本において、有能な調査官として挙げられているのは、

  • 目を見て話をする調査官
  • 行動力のある調査官
  • 自分で考えて、自分で動いて調査展開を図れる調査官

とあります。

目を見て話をする調査官とは、調査先の事業主の言動や目の動きに注意を払っていること。

ウソをついていたりすると人間ですから目が泳いだり、話をそらそうとします。

それを注意深く見ているということです。

行動力のある調査官とは、現物確認調査を確実に実施するということ。

事務所内の机やパソコン・金庫などを実際に確認して怪しい部分がないかどうかを確認しているかどうかということです。

自分で考えて、自分で動いて調査展開を図れる調査官とは、統括官など上司から指示されたことをよく理解して実施しているということです。

正直、有能な調査官として挙げられているこの3点をすべて完璧にできている調査官はほぼいないような気がしています。

あくまで理想論だとは思います。

でも、これらについては調査官たるもの当然のごとく身に着けていかなければならないものとして、新人調査官は叩き込まれます。

しかし、実際に行動に移せたりできるのはごく一部の調査官だけなのかなと。

年齢を重ねると自分の調査スタイルというのが身についてきますので、いくらこのようにやりなさいと言われても従わないということも考えられます。

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有能でない調査官

では、有能でない調査官として挙げられているのは、

  • 聴き取りをしないで帳簿調査に没頭する調査官
  • マニュアル化された調査法をそのまま実行する調査官
  • 指示されたことの復命のための調査をする調査官

とあります。

正直私は当てはまっているものもあるので頭が痛いのですが(苦笑)。

聴き取りをしないで帳簿調査に没頭する調査官とは、帳簿から見始めて疑問点を抽出し質問することを優先すること。

いわゆる調査先との世間話などは省略してしまう調査官です。

調査で一番やってはいけないこととして指導されたのがこれです。

しかし、近年の税務調査は件数をこなすことに主眼が置かれ、時間を十分に割けないことがよくあります。

調査を早く終わらせたいというのが過度に出てしまうのでしょう。

マニュアル化された調査法をそのまま実行する調査官とは、性別や年齢・業種・規模・立地等で調査法が違って当然ですが、同じような調査を実施するということ。

本来なら業種などで調査法を変えたりするわけですが、流れ作業のように調査を進めてしまうのです。

ただこれは経験が浅い調査官には難しいような気がします。

調査法の習得はそばにいる上司や先輩から学ぶのと同時に自分で身に着けていくものだからです。

最初のころはマニュアル化されたやり方をやってみて、その都度改良していくものなのかなと思っています。

指示されたことの復命のための調査をする調査官とは、上司から指示されたことを理解していないため調査展開ができないこと。

これも経験が浅いとなかなか難しいような気がします。

私はというと…

では、私自身はこの本の表現でいうところの「有能でない調査官」でした。

有能でない調査官として挙げられていたもののうち最初の1つ目以外は当てはまっていました。

とにかくマニュアル化された調査法をやり、統括官から指示されたことを理解せずに調査展開に行き詰まることがよくありました。

特官部門に配属になってからは、特官によく怒られていました。

ただ、

  • 目を見て話すこと
  • 現物確認調査は実施(ただ形骸化していたのでよく怒られていた)
  • 聴き取りに時間をかける

は調査時に意識していました。

新人調査官の特徴

税務署を退職して数年が経つので今の調査官の状況が分かりかねるところはありますが、退職寸前の職場の調査官を見ていてある特徴がありました。

それは、新人調査官のやる気のなさです。

指導してもらえるはずの先輩調査官の質も悪くなっているのか、何も指導してもらえずに自己流でやろうとする新人調査官が多くなっているように感じました。

  • 時間がないから帳簿調査から始めてもいい
  • 現物確認ってなんですか
  • 準備調査やらなくてもいいですよね
  • 調査官に聞いても教えてくれない
  • 調査自体やりたくない
  • 調査を知ろうとしない

とにかく経験数が足りていないように感じます。

コロナ禍もあって調査件数が大幅に減少していることもあり、効率的な調査を実施せざるを得なくなってきています。

調査法の多くは実際に経験してみないと分からないものです。

先輩調査官の調査に同行する機会も減ってきているようです。

そんな状況を考えると調査能力の向上に黄色信号が灯っている状況なのかなと感じます。

まとめ

今回は、本に有能な調査官とそうでない調査官について書かれていたことから、私自身との比較と現状の問題点について書いてみました。

私の同期でも有能な調査官だなと思える人はたくさんいました。

でもそのほとんどが退職して税理士になっています。

税理士のほうが調査慣れている感じがするのは私だけでしょうか。

では。

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