税務署における源泉所得税の税務調査体制について

源泉所得税についても税務調査が行われますが、この際一般的な税務調査とは違った形で税務調査が行われることがあります。

今回は、源泉所得税の税務調査体制について書いてみたいと思います。

法源消同時調査が一般的

中小法人の税務調査を担当する法人課税部門では、法人税・消費税・源泉所得税を同時に調査する「法源消同時調査」が行われます。(これに印紙税も加わります)。

ですので、源泉所得税の調査も通常は法人税や消費税の調査と合わせて行われるのが一般的です。

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源泉単独調査

報酬料金の支払いが多い法人や、海外取引を行っていて非居住者等に対して多額の支払いがある法人などは、源泉所得税だけに絞った税務調査が行われます。

これを「源泉単独調査」と言ったりします。

源泉単独調査は会社の規模にかかわらず税務署が担当をします。

そのため、資本金1億円以上の国税局調査部が抱えている法人の場合、

  • 法人税や消費税の調査:国税局調査部
  • 源泉所得税の調査:税務署

が担当をすることになります。

源泉単独調査を担当する部署は大きく3つに分かれます。

源泉所得税部門(担当)

法人課税部門内にある源泉所得税部門(担当)の調査官による調査です。

中小規模の公益法人や宗教法人などもこの部署で行われます。

具体的には、幼稚園とかお寺・神社などの調査をこちらで行います。

国税庁ホームページに源泉所得税関係の情報をまとめている「源泉徴収義務者の方へ」というページがあります。

その中に、「宗教法人の税務」というパンフレットが掲載されています。

源泉所得税のほか、宗教法人の収益事業に対する法人税・資産の譲渡等に対する消費税・文書に関する印紙税が発生する可能性があるのにここに掲載しているのです。

ということは、「宗教法人の税務調査の中心が源泉所得税である」と思われているのかもしれません。

特別国税調査官(源泉所得税)

「特別」と書いてあるので、上場企業などの大規模法人を周期的に調査します。

特別国税調査官と、その付職員の2名体制で行うことが一般的です。

どちらも調査経験・源泉所得税担当の経験が長いですし、ある程度の調査日数をかけて調査をしますので、場合により多額の課税漏れが発覚することがあります。

国際税務専門官(源泉所得税)

「国際」と書かれてありますので、海外取引が絡む源泉所得税=非居住者の源泉所得税の税務調査を担当します。

こちらも国際税務専門官と、その付職員の2名体制で行うことが一般的です。

どちらも国際源泉課税の調査経験が長いことや語学力がある職員が担当していたりします。

非居住者の源泉所得税の調査は専門的な知識が求められます。

海外取引に着目しある程度の日数をかけて調査します。

国際税務専門官の税務調査が行われる場合、何となく調査先として選ばれたということはありません。

あらかじめある程度の不正または多額の誤りがあると想定されていると思ったほうがいいです。

一番多額の課税漏れが指摘されるのがこの国際税務専門官だと思っていただけたらと思います。

広域運営

特に、特別国税調査官や国際税務専門官はすべての税務署に配置されているわけではなく、中心的な税務署に配置されて他の税務署の納税地の法人まで担当しています。

なので、会社がある税務署ではない税務署の特別国税調査官や国際税務調査官から税務調査の連絡が来る形になります。

この場合、源泉所得税に詳しい調査官が別の税務署からやってくる可能性が高いというわけです。

まとめ

今回は、源泉所得税の税務調査体制について私が源泉所得税担当を長くしていたことと当時の状況を踏まえて書いてみました。

今も基本運営の仕方は変わっていないかと思いますので参考にしてみてください。

では。

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