消費税の連動非違と固有非違~調査官が狙いたいのはどっち?

消費税の税務調査は、一般的に所得税や法人税と同時に調査されます。

調査の結果誤りを指摘すると調査官としては評価につながるわけですがこの誤りには2種類あります。

今日はそんな消費税の税務調査と調査官の評価のお話を書いてみたいと思います。

消費税調査における非違事項

税務調査では誤りがあった内容を「非違(ひい)事項」と言ったりします。

消費税調査における非違事項には2種類あります。

  • 所得税や法人税の誤りに連動するもの(連動非違)
  • 所得税や法人税の誤りとは連動しない固有の誤り(固有の非違)

連動非違となるものとしては、

  • 売上計上もれ
  • 仕入れの過大計上
  • 経費の過大計上
  • 経費の繰上げ計上

などがあります。

一方で、固有の非違となるものとして、

  • 取引の課否判定誤り
  • 非課税の適用誤り
  • 免税の適用誤り
  • 課税標準額の計算誤り
  • 税率適用誤り
  • 仕入税額控除の計算誤り
  • 簡易課税制度の適用、計算誤り
  • 課税売上げの計上時期誤り
  • 課税売上割合の計算誤り
  • 課税仕入れ等の用途区分の誤り
  • 課税仕入れ等の計上時期誤り
  • 仕入税額控除の調査の誤り
  • 課税事業者の判定や課税事業者の選択もれ
  • 簡易課税制度の選択もれ

などがあります。

連動非違の特徴

連動非違は、連動という言葉のとおり所得税や法人税で誤りがあるとそれに合わせて消費税も影響を与えるものです。

所得税や法人税で誤りがあると指摘を受けた場合に対応が必要なものですから、結局所得税または法人税の税務調査における事前準備が消費税の対策にもなります。

固有の非違の特徴

固有の非違とは、所得税や法人税の税務調査では連動しないものですので、消費税独自の税務調査対応が求められます。

調査官として狙いたいのは?

では、調査官として評価されたいのは連動非違か固有の非違かどちらでしょうか?

実は、固有の非違のほうが評価が高いとされています。

なぜかというと、連動非違は所得税や法人税の誤りと合わせて発生するものですので所得税や法人税の評価になるようなイメージです。

一方で、固有の非違は連動していませんので、消費税固有の視点で非違を見つけたことになり評価されるからです。

税務調査をしていた当時上司からは連動非違よりも固有の非違を見つけたほうが評価が高いと発破をかけられていました。

例えば、ある税務調査において消費税の課否判定誤りを見つけたとします。

それは所得税や法人税に連動しないため固有の非違となります。

その税務調査においてほかに所得税や法人税における非違がなかった場合には連動非違はありません。

所得税や法人税だけを考えると是認ですから調査官の評価としては最悪です。

しかし、消費税において固有の非違があるため「非違を指摘した」として評価されることになるのです。

また、固有の非違を指摘するほうが意外と楽だったりします。

〇か×かがはっきりしていて反論の余地がない場合がけっこう多いですね。

課否判定などはまさにそのひとつではないでしょうか?

(ただし、課否判定でも実態を含めて判断をするものは反論の余地があります)

調査官は評価されてなんぼ

調査官が昇進や昇給の判断材料となるのは、やっぱり税務調査による評価なんですよね。

それは指摘した非違の金額ではなく非違の内容によります。

消費税だけを見ると非違の内容は所得税や法人税を指摘したら連動する連動非違よりも固有の非違のほうが評価されます。

最近は税務調査の件数が増えて調査にかける日数も制限されているのかあまり固有の非違まで指摘できる状況ではないのかなと思ったりします。

でも、調査官の評価を考えると連動非違が見込めないのなら固有の非違へと移行するという判断はできたほうがいいのになと思ったりはします。

ちなみに、固有の非違を指摘すると消費税の経理処理により所得税や法人税が減額になることがありますけどそれでも評価されていました。

まとめ

所得税や法人税と同時で行われる消費税の調査で、固有の非違を指摘するほうが評価が高いのはどの上司もお話されていました。

私は固有の非違を指摘するほうが好きでした。

意外と課否判定が誤っている会社が多かったですし反論の余地がないケースが多かったです。

では。

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