扶養控除等の見直しを見据えた対応方法~令和7年度税制改正版

扶養控除等に誤りがある場合、税務署から勤務先あてに扶養控除等の見直しの通知が届きます。

令和7年度税制改正により扶養控除等の誤りが増えることが予想されますのでその対応策を考えてみたいと思います。

「扶養控除等の見直し」とは?

勤務先は年末調整が終わった後、翌年1月末までに給与の源泉徴収票と同じ内容である給与支払報告書を市区町村に提出することになっています。

その内容をもとに市区町村は住民税の計算を行うわけですが、その際に妻や子どもがパートやアルバイトをしている場合にはその勤務先からも給与支払報告書が届きます。

もし所得が一定金額を超えていたら配偶者控除や扶養控除を受けることができないため、後日住民税の変更通知が届きます。

住民税の変更通知が届いたらそれで終わりではなく、所得税についても年末調整の再計算を行い追加分を納付しなければなりません。

所得税について税務署から届く書類が扶養控除等の見直しという文書です。

【事務所お知らせ】  

令和7年度税制改正で変わったこと

令和7年度税制改正により、基礎控除が変更になりましたし、配偶者控除や扶養控除の所得要件が変わりましたし特定親族特別控除が新たにできました。

控除額を年末調整の時に計算をしていただくと今回の場合には所得が少し変わるだけで控除額が変わってしまうんですね。

年末調整時に提出をする扶養控除等申告書などに記入する所得は見積額です。

見積額なので1年間の確定額との差額が大きいと控除額が変わってしまう可能性があります。

なので、控除額が間違っているという扶養控除等の見直しが多くなると思われます。

一方で、これまで扶養控除等の見直しで一番影響があったのが特定扶養親族の所得超過です。

19歳から22歳までの子どもで所得が一定金額以下であれば特定扶養親族として63万円の控除を受けることができました。

しかし、一定金額を越えますと63万円の控除が0円になってしまいますので、後で追加で納める所得税が多くなりがちだったんですね。

今回、令和7年度税制改正により新しくてきた特定親族特別控除により所得金額が58万円を超えても段階的に控除額が減少する仕組みができました。

63万円控除から一気に0円になることがなくなったわけです。

そのため、19歳から22歳までの子どもでアルバイト収入がある場合、所得が超えてしまったとしても控除額が多少違う程度で済むケースが増えるでしょう。

ただし、19歳から22歳以外の扶養親族の方は所得58万円を超えてしまいますと控除額38万円が0円になりますのでこちらの影響は残ります。

なので、以前書いたブログでご紹介したように控除額が一番大きい特定扶養親族63万円については、特定親族特別控除ができたことによりダメージは少なくなりそうです。

控除額の大きい順番に対策を~扶養控除等の見直しを見据えて
会社で年末調整を行った翌年、税務署から扶養控除や障害者控除が適用できないというお尋ね文書が送られてくることがあります。誤りであることがわかったら、会社側で昨年の年末調整の再計算を行い追加で所得税を納めて誤りのあった従業員からお金を回収することになります。手間もかかりめんどくさい。できるだけそのような事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか?

一方で、障害者である子どもの所得が超えている場合には障害者控除と扶養控除両方が受けられなくなるのでダメージが大きいことには変わりません。

対応方法

扶養控除等の見直しで多いのは、配偶者や扶養親族の所得が超えていることです。

今回の税制改正により所得が変わることにより控除額が少なくなります。

所得の見積額と確定額の差が出ないようにすることが大事になります。

ということは、配偶者や扶養親族の1年間の確定収入金額がわかる時期がいつかというとパートやアルバイト先が発行する給与の源泉徴収票を見たほうが確実です。

源泉徴収票が届くのは確定申告が始まる時期でもあります。

もし見積額と確定額に差がある場合には、本人が確定申告で修正することをおススメします。

後日、勤務先に届く扶養控除等の見直しの通知を待って勤務先に再度昨年度の年末調整の再計算を依頼して追加で所得税分を徴収されるほどめんどくさいものはありません。

なので、年末調整をすれば確定申告は原則しなくてもいいわけですが、

所得の見積額がある程度正確でなければ控除額が変わってしまう制度になってしまっている→確定申告して正しい金額に修正する

くらいの気持ちで対応したほうがいいかと思います。

まとめ

今回は、令和7年度税制改正による扶養控除等の見直しの対応についてまとめてみました。

来年度の税制改正大綱を見ていてもやっぱり所得の見積額が正しくないと控除額が変わってきてしまう制度なのかなという印象がありますね。

では。

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