現物給与で課税される「考え方」を知っておく

源泉所得税では現物給与という、金銭のほか物や権利など現物で支給されるものについても給与所得となり源泉徴収の対象となります。

現物給与は金銭で支給されるものとは異なり、一定の要件を満たすことで課税されない場合があります。

この規定そのものは細かいのでまずは大枠から知っていただくため課税されるかどうかの判断基準をご紹介したいと思います。

現物給与の性格

現物給与は、一定の要件のもとで課税されないと書きました。

一定の要件とは、

  • 会社や事業主が業務を行ううえで必要である
  • 換金性に欠けるもの
  • 評価が困難なもの
  • 受け取る人に選択の余地がない

が挙げられます。

金銭で支払う給与とは異なり、上の要件を満たせば課税されないこともあります。

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現物給与として課税されるかどうかのポイント

では、現物給与として源泉所得税が課税されるかどうかのポイントとして以下の4つが挙げられます。

  • 金銭と同じような換金性のある金券の支給がある
  • 役員や特定の社員のみを支給の対象としている
  • 世間一般的に支給することに問題がある、金額が大きすぎる
  • 選択の余地がある

では、ひとつずつ具体例を挙げて書いてみたいと思います。

換金性がある金券の支給

課税されない現物給与は、現物であるゆえの取扱いですので、金銭で支給されるものや商品券などの金券などは原則として課税されてしまいます。

商品券は換金性があります。

金券ショップで売れたりしますから。

永年勤続者の表彰目的で支給する記念品や旅行費用は一定の要件のもと課税されません。

しかし、旅行券を支給する場合は一般的に有効期限がなく換金性がありますので金銭を支給したと同じと考えられ原則課税されます。

役員や特定の社員のみを対象

人間ドックを役員や社員全員に受けさせるという「健康管理規程」を会社で策定しているとします。

その人間ドックの費用を会社で支払った場合はどうなるのでしょうか?

この場合は、基本的に健康管理規程に基づいたものであり、通常必要な範囲であれば課税されないことになっています。

しかし、人間ドックの受診対象が全員となっているにも関わらず役員だけ高額なプランを申し込んで受診している場合には問題となります。

役員だからといって高額な人間ドックのプランを申し込む理由もありませんからね。

このような費用を会社や事業主が負担した場合は給与として源泉徴収が必要です。

世間一般的に支給することに問題がある、金額が大きすぎる

例えば、永年勤続者表彰のため旅行券を支給する場合、その旅行の内容が永年勤続表彰の旅行としてふさわしいもの=旅行券の額の範囲を超えないことが求められます。

例えば、総額で100万円の旅行をしたとして、会社で支給する旅行券が30万円だからいいかというとそうではないということです。

この場合は社員の私的な旅行を補助したと考えられてしまい、給与として源泉徴収しなければなりません。

選択の余地がある

さらに、現物であったとしても多品目の中から従業員などが自由に選択できることになっているものは、金銭を渡しているのと同じですので課税されてしまいます。

例えば、従業員などに社宅を提供している場合には、業務の遂行上必要なものとして一定金額以上を従業員から払ってもらっているのであれば課税されません。

あくまで従業員が借りるアパートなどの物件が「会社の社宅」であるという条件が必要となります。

したがって、従業員本人が不動産屋と直接契約をしてきたとか、会社と不動産屋が契約をしていたとしても従業員が自由に選べるようなものは社宅には当てはまりません。

この場合の家賃補助に関しては、一種の住宅手当を渡しているのと同じことですので給与として課税されてしまいます。

まとめ

今回は現物給与で課税される場合のポイントについて書いてみました。

課税されない規定は細かいです。

しかし、大枠を抑えていると課税するかしないかの判断が見えてくるのかなと思います。

あと、今回あえて食事の支給は取り上げませんでした。

というのはさらにポイントが付け加わるため後日また書きたいと思います。

では。

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