給与計算ソフトの自動計算には気をつけて

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従業員を雇っていますと、給与を支払うときに社会保険料や所得税・住民税などの給与計算をする必要があります。

給与計算ソフトを使うと自動計算になる部分が多いため便利ですが注意点もあります。

自動計算ゆえの問題点

給与計算ソフトで入力するためには前段階として社会保険や雇用保険に関する届出情報を反映させないといけません。

社会保険とは、健康保険や厚生年金保険ですね。

年に1回、9月に健康保険料や厚生年金保険料の計算のもととなる「標準報酬月額」が決まります。

その標準報酬月額がいくらかを給与計算ソフトに反映させる必要があります。

雇用保険料は業種により保険料率が異なりますので業種の登録も忘れずに行います。

このほか、所得税についてはその年の初めに従業員から提出された扶養控除等申告書の内容を入力しておきます。

住民税については毎年5月になるとその年の6月から1年間の住民税額が記載されたお知らせ(特別徴収税額決定通知書)が届くはずなのでその情報を入力しておきます。

給与計算ソフトは社会保険料や所得税などを自動で計算をしてくれる反面、計算の根拠となる情報の入力がもれていると間違った金額で計算されてしまうことになります。

【事務所お知らせ】  

社会保険料が正しいかを検証する方法

では、給与計算ソフトで自動計算された社会保険料が正しいのかを検証する方法として手計算をしてみるというのが一番確実です。

手計算といっても電卓をたたくのではありません。

健康保険・厚生年金保険料については、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に数字をあてはめてみるのです。

令和7年度保険料額表(令和7年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

以下は、和歌山県に会社がある場合の保険料額表です。

所在する都道府県により保険料額表が異なります。

標準報酬月額は毎年9月以降基本的に変わりませんので一定額になります(4月に保険料率が変わりますので習慣として毎月確認してみるといいでしょう。)

まず手順として、

  • 標準報酬月額を見つける
  • 横にスライドして40歳~65歳は「介護保険料第2号被保険者」に該当
  • 従業員分は折半額
  • 折半額に円未満の端数あり:50銭以下切り捨て・50銭を超える場合は切り上げが原則

また、社会保険料の中には雇用保険料も入ってきます。

雇用保険料については、健康保険・厚生年金保険のように標準報酬月額ではなく実際の給与総額をもとに計算をするので毎月変わります。

https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-hellowork/content/contents/002144970.pdf

手順としては以下の通りです。

  • 実際の給与総額に雇用保険料率を掛けてみる
  • 雇用保険料率は従業員分は労働者負担:一般事業なら5.5/1,000

所得税額が正しいか検証する方法

社会保険料が正しいことを確認してから所得税額が正しいか確認をします。

こちらも国税庁ホームページにある「源泉徴収税額表」に数字をあてはめていきます。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2024/data/01-07.pdf

手順としては以下の通りです。

  • 給与総額から社会保険料を控除した後の給与の金額を税額表にあてはめる
    ①非課税の通勤手当は給与総額に含めない
    ②社会保険料とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を合計したもの
  • 扶養控除等申告書を提出していれば甲欄・提出していなければ乙欄
  • 扶養親族等の数と交わるところが税額

私の事務所では…

私の事務所では、マネーフォワード給与をメインに給与計算を行っているため社会保険料や所得税は自動計算されます。

しかし、毎月必ず保険料額表や税額表などを目で見て確認することにしています。

なぜなら、情報がひとつでも入力もれがあると正しい金額にならないからです。

よく「給与計算ソフトで自動計算できるから間違えなんてない」と考えておられる方がいますが、その前段階での届出情報が漏れていたら間違ったままになってしまいます。

そのミスをカバーするためにも毎月の検証が大事になってきます。

まとめ

今回は給与計算ソフトを使っていても決して自動計算を過信しないでほしいということをお伝えしたくてこの記事を書きました。

参考になれば幸いです。

では。

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