9月以降になると、来年令和8年分の「公的年金等の扶養親族等申告書」が日本年金機構から送付(電子の方は案内)されてきます。
この書類を日本年金機構に提出する前に押さえておきたいことをまとめてみたいと思います。
公的年金等の扶養親族等申告書とは?
老齢年金を一定金額以上受け取っていますと所得税が天引き(源泉徴収)されます。
その際、配偶者や子ども・両親を扶養していたりしますと、配偶者控除や扶養控除などを受けることができます。
この控除を受けるために扶養親族等申告書を提出することで源泉徴収を少なく計算してもらえます。
毎年年末調整時期に勤務先から配布される扶養控除等申告書の年金バージョンだと思っていただいたらいいです。
今年は令和7年ですけど、この9月から送付(または案内)されてくる扶養親族等申告書は令和8年分=「翌年のもの」です。
令和7年分の老齢年金から源泉徴収されている金額は、昨年令和6年中に日本年金機構に提出されている内容が反映されていることになります。
【事務所お知らせ】扶養親族等申告書を提出しなくてもいい人
日本年金機構から送付されてくる公的年金等の扶養親族等申告書は必ずしも全員提出をするかというとそういうわけではありません。
まず、勤務先から給与をもらっている人。
この人は、扶養控除等申告書を勤務先に提出しているはずです。
扶養控除等申告書とほぼ同じ内容を公的年金等の扶養親族等申告書に書いてしまいますと二重で控除を受けてしまっていることになります。
給与と公的年金両方受取っている方は確定申告をする必要がありますが二重控除してしまっている分追加で所得税を納付してもらう可能性が高くなります。
あと、扶養親族等申告書では人に関する控除しか記入しません。
そのため、医療費控除や生命保険料控除・地震保険料控除・寄付金控除などの控除を受ける場合は確定申告をします。
そのため、確定申告をすると決めている人は確定申告で所得税の精算をすることになりますのであえて扶養親族等申告書を出さなくてもかまいません。
さらに、そもそも源泉徴収されない人は扶養親族等申告書を出す必要はありません。
令和8年分からは公的年金収入が65歳未満で155万円未満、65歳以上で205万円未満なら提出しなくてもかまいません。
まとめますと、公的年金等の扶養親族等申告書を提出する人は次の3点を満たす人くらいではないかと思います。
令和8年中、
- 年金収入のみである
- 人的控除のみ(配偶者控除や扶養控除を受ける)
- 確定申告しない
所得税の改正による影響
令和7年分の所得税から扶養親族等の所得要件が変更になるのと特定親族特別控除が新たに創設されます。
配偶者や扶養親族がいる場合、本人が配偶者控除や扶養控除を受けるためには配偶者や扶養親族の所得要件があります。
その所得要件が従来の48万円以下から58万円以下へと引きあがります。
さらに、19歳以上23歳未満の子どもについて所得48万円を超えると特定扶養親族として扶養控除を受けることができませんでした。
今回の改正により所得58万円を超えても123万円までの間なら特定親族特別控除として一定金額の控除を受けることができるようになりました。
ただし、年金の場合は扶養親族等の所得要件の変更や特定親族特別控除は令和8年分からとなっているのです。
令和7年12月の改正ですから本来令和7年分の扶養親族等申告書の内容に変更があれば訂正できるはずなんです。
しかし、令和7年分については日本年金機構に提出してしまっており手元にありません。手元にあるのは令和8年分。
そのため、今回の改正により扶養親族等の所得要件を満たす人がいるとか特定親族特別控除を満たす人がいたら令和7年分は確定申告で精算をします。
そして、令和8年分は扶養親族等申告書を提出することになります。
まとめ
公的年金等の扶養親族等申告書については、まず提出が必要かどうかの確認からスタートします。
提出が必要であったとしても令和7年中に変更があったら、令和7年は確定申告で対応する・令和8年分は扶養親族等申告書を提出するという形です。
では。