一人親方でも退職金を受け取る制度があります。
そのひとつが「建設業退職金共済制度(建退共)」です。
今回は建退共加入と経理、そして税金についてまとめてみたいと思います。
建退共制度のしくみ
建退共は、民間の退職金制度とは異なり、国が創設し国が定めた基準で退職金が計算されるため、確実に支払われるというメリットがあります。
一人親方を辞めてしまった場合でも建設業界で働き続ける限り加入し続けられるのもメリットです。
通常一人親方だけでは加入できませんが一人親方が集まって任意組合を作って加入するか、すでに建退共に加入している労働組合や協同組合に入る方法もあります。
組合に加入し共済手帳の交付を受け、働いた日に共済証紙を購入し共済手帳に貼ることにより掛金を納めて積み立てていきます。
一人親方の場合には、退職金の積み立てをするのは難しいですからこの制度を利用することで老後の生活資金を確保しやすくなります。
【事務所お知らせ】建退共の掛金は経費?
一人親方が建退共に加入をして掛金を払った場合、経費になりません。
建退共の掛金で将来もらえる退職金を個人的に積み立てているとみなされているためです。
いわば事業に関係のないものなので経費にならないというわけです。
そのため、建退共の掛金を払った場合の経理をする際に経費にしないようにしましょう。
小規模共済等掛金控除の対象?
一人親方が加入できる退職金制度として小規模企業共済というものもあり、国の機関である中小機構が運営しています。
この小規模企業共済への掛金は全額所得控除できるのが大きな特徴です。
つまり、確定申告の際に「小規模共済等掛金控除」として所得(もうけ)から控除することができるため税金を減らす効果があります。
一方で、建退共は小規模企業共済ではありませんので控除は受けられません。
小規模企業共済に含めてしまいがちなので注意したいところです。
建退共からの退職金を受け取った場合
以下の要件をいずれか満たすと、申請をすることで退職金を受け取ることができます。
- 建設業を辞めたとき(他業種に転職、または完全に引退した場合)
- 55歳以上になったとき(働き続けていても受取可能)
- 病気やケガで働けなくなったとき(労働が困難になった場合は、退職金を前倒しで受け取ることが可能)
- 無職になったとき(長期間、建設業に従事しなくなった場合)
- 本人が死亡したとき(遺族が退職金を受け取ることができる)
建設業で働かなくなったからもらえるもの、というイメージです。
建退共から受け取る退職金は、退職所得として扱われます。
退職金から勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いて退職所得を計算しますので全部が税金の対象となるわけではありません。
さらに、退職所得控除を差し引いた後の半分だけが税金の対象となる退職所得となるためほかの所得に比べて優遇されています。
まとめ
今回は、一人親方の建退共への加入と経理・税金面の取り扱いについて書いてみました。
一人親方の建退共の掛金は経費にならないことと、小規模企業共済とは異なり所得から控除できません。
慎重に対応したいところです。
では。