確定申告するか迷ったら「する」ー個人事業主・フリーランスの場合

令和2年分の確定申告の期間は終了したのにもかかわらずこの記事を書こうと思ったのには訳があります。

個人事業主やフリーランスの方に対して税務調査が行われることがあります。

おそらく今の時期から調査が来ることはないでしょうが、7月の人事異動明けはあるでしょうね。

怖いのは自分には関係ないと思っているときの税務調査です。

なにかお金が入ったけどこれが申告をしなければならないのかどうかわからない、知らなかったという場合。

所得税の確定申告では、もうけ(所得)を分類したうえで計算をしていくことになりますが、その分類自体とても難しいことも。

そこで、今回私が考える確定申告するかしないか、について書いてみたいと思います。

あくまで私見です。場合によっては申告が必要だった・不要だったということも起こりえますのでご了承ください。

確定申告しなければならない人

国税庁ホームページによると、確定申告をしなければならない場合としてこう書かれています。

その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合(1⃣)で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人(2⃣)は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をしなければなりません。
引用:タックスアンサーNo.2020確定申告
文章で読むとわかりづらく感じますね。
確定申告書をイメージしていただくといいかもしれませんね。
  確定申告書B様式
1⃣を超え、2⃣を超えた場合に申告をするということ。
つまり、2⃣まで金額が入れば申告をしないといけないとわかります。
申告書でいうところの左側。
「収入金額等」「所得金額等」「所得から差し引かれる金額」にいくら入るのか。
これが肝になるところです。

確定申告をする必要がない人

一方で確定申告をする必要がない人もいます。

先ほどの国税庁ホームページ「タックスアンサー」には続きがありまして、

~しかし、給与の収入金額が2,000万円以下で、かつ、給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。
また、国内において公的年金等(確定給付企業年金等を除きます。)の支払を受けている人については、次のいずれにも該当する場合、確定申告をする必要はありません。
1 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である。
2  その公的年金等の全部が源泉徴収の対象(注)となっている。
3 その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である。
引用:タックスアンサーNo.2020確定申告
つまり、
  • 給与所得がある人
  • 退職所得がある人
  • 公的年金等に係る雑所得がある人

は一定の要件を満たせば確定申告をする必要はありません。

個人事業主やフリーランスなら確定申告をするのが基本

個人事業主やフリーランス(以下、個人事業主等)の場合は、自分で事業を営みながら収入を得ています。

もちろん、どこかの会社の従業員として勤務してそこからは給与をもらっているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

私も税理士として活動しながら家業の会社の従業員でもあります。いわゆる兼業です。

また、複数の事業から収入を得ている方もいるかもしれませんし、副業という形で本業以外から収入を得ている方もいるかもしれません。

先ほど、「確定申告をする必要がない人」の中にある給与所得がある人は一定の要件を満たせば申告不要となります。

ここでいう給与所得がある人とは、給与のみを受け取っている人です。

個人事業主等は給与だけを受け取るわけではなく自分の事業から収入も得ているので、給与所得がある人には当たりません。

退職所得がある人というのも、退職所得のみ受け取っている場合です。

例えば、1年の間で会社を退職してすぐ個人事業主等になった場合を考えてみます。

会社を退職した時には退職金が支給されるとしたら、それは退職所得となります。

その後は個人事業主等として収入を得ているのであれば、退職所得がある人には当たりません。

したがって、個人事業主等が事業から得た収入・それ以外の収入があったら基本はすべて含めて申告をする必要があります。

一部、配当所得や利子所得に申告する所得に含めることができないものもありますが、あくまで例外です。

受け取った金額(収入)とそれにかかる経費を集計する

収入金額がそのまま所得として税金がかかるわけではなくて、収入金額からそれにかかった経費を差し引いて所得が計算されます。

それぞれの金額を請求書や領収書から確認し集計しておく必要があります。

もし給与所得や退職所得も受け取っているのであれば、源泉徴収票から集計し事業から得た収入と合算します。

簡単にいうと「すべて集計して申告する」ということです。

結果的に社会保険料控除~寄付金控除までの控除が大きくて引ききれない場合=所得がゼロになったとしても計算はしておきましょう。

控除金額いかんで申告するしないというわけではないからです。

あくまで結果論であって、普段から収入金額とそれにかかった経費については整理をしておくことをおススメします。

またその時の計算根拠になった資料は捨ててはいけません。必ず保管しておきましょう。

確定申告をすれば住民税の申告は不要

個人事業主等は、確定申告をすれば住民税にデータが行って市区町村のほうで計算してきますので、基本的に申告をする必要はありません。

一部配当所得などで申告をしたほうがいいか判断することはあります。

まとめ

ここまで書いてきましたが、個人事業主等にとっては受け取った金額にかかわらず確定申告が必要です。

他にも税金の前払いとして「源泉徴収制度」というものがあって、支払いの際にすでに税金分を天引きされて支払われていることがあります。

本来は確定申告で税金を納めたらいいのに事前に前払いしているので、それをきちんと精算する作業が必要になります。

精算作業はこの確定申告で行います。

なので、源泉徴収されていた部分があるにも関わらず申告しないのはある意味もったいないです。還付されることもありますから。

ただそれは源泉徴収制度をつかった支払いがある場合のみ精算が行われますから、特に源泉徴収されていないのなら関係ありません。

基本的に「すべて含めて申告する」と考えておいたほうが無難です。

例外的なものは、その時に調べてみて実際に申告書を作ってみるとか、税理士に相談しながら判断していったほうがいいでしょうね。

では。

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