人を雇ったときの事務

個人事業主として活動していくと従業員を雇うことを考えるかと思います。

仕事の一部を従業員に任せて自分はほかの重要な仕事に専念したい、という場合。

しかし、従業員を雇うとなると、

  • 労働保険への加入手続きをする
  • 勤怠管理(出勤日や労働時間などの管理)
  • 給与計算
  • 給与支払い など

管理をする時間やコストがかかることになります。

また、仕事に慣れるまでには思ったとおりに仕事が進まず予想よりも個人事業主の負担が減らないということもあります。

今日はそんな従業員を雇ったときにかかる作業についてざっくりとですが説明してみようと思います。

検討すること 社会保険労務士へ依頼する・外注する

まず前提として、従業員を雇ったときに発生する管理作業に対して、

自分でできるよ!得意だよ!

という方は別として、そうでなければ外部の専門家に依頼するのも手です。

外部の専門家というのは社会保険労務士です。

従業員を雇う時には正社員として雇うのか、パート・アルバイトで雇うのかで差が出てきます。

週20時間以上働く従業員は労働保険の対象となり、雇用保険への加入も必要です。

一方、週20時間未満の従業員は労働保険の対象になりますが、雇用保険には加入しません。

このような実務上の判断を求めるのには社会保険労務士にお任せするというのも考えていただくほうがいいのかなと。

もちろん勤怠管理や給与計算もお願いできますから。

ただ依頼するにはお金がかかります。

また、従業員をそもそも雇うのではなく、他の個人事業主や他の会社に仕事の一部を外注するということも考えられます。

外注となると、給与の支払いではないため管理は原則不要になります。お互いに納得した金額と条件で仕事を任せるだけで済みます。

ただこの場合、仕事のノウハウが自分に蓄積されにくいというデメリットは考えておかなければなりません。

以下、従業員を雇った時の流れについて、ポイントを書いてみたいと思いますので参考にしてみてください。

従業員を雇った時の流れ

  1. 労働条件の説明と身元保証書の受領:採用決定時
  2. 前職の書類(源泉徴収票など)の受領:最初の出勤日
  3. 雇用保険手続き(被保険者取得届をハローワークへ提出):翌月10日まで
  4. 源泉徴収簿作成、扶養控除等申告書の受領(給与計算の準備):最初の給与支給日の前日まで

給与支払いの流れ

  1. 支給項目の計算と確認(残業手当は残業時間の集計・通勤手当は出勤日数の集計・その他の項目は金額変更がないか確認):支給日の5日前
  2. 雇用保険料の計算(支給額に雇用保険料率をかける):支給日の5日前
  3. 健康保険料や厚生年金保険料の計算(社会保険の対象となる従業員がいる場合):支給日の5日前
  4. 所得税の計算(甲欄・乙欄・丙欄の区分にしたがって源泉徴収税額表で計算):支給日の5日前
  5. 住民税の計算(特別徴収税額通知書を確認):支給日の5日前
  6. 給与明細書と源泉徴収簿の作成(給与明細書は従業員に渡す必要がある):支給日の2日前
  7. 給与の支払い(振込の場合は期日に間に合うように手続きする):支給日

ここで、社会保険の対象者であるかどうかについてですが、

個人事業主の場合には、

  • 業種によりますが従業員を5人以上雇っている場合で、
  • 従業員の労働時間が週30時間以上(正社員の労働時間が週40時間であれば4分の3以上)

であれば、社会保険の対象者となります。

そうなると、健康保険料と厚生年金保険料を計算し納付しなければなりません。

所得税の納付の流れ

給与や報酬を相手に支払うときにあらかじめ支払いに応じた所得税を天引きして支払い、天引きした所得税を個人事業主が税務署へ納める作業です。

ただこの業務はすべての個人事業主が対象となるわけではありません。

  • 従業員を雇っている個人事業主
  • 従業員を雇っていないが、バーやキャバレーを経営しホステスやコンパニオンに対して支払いがある個人事業主

が対象となりますので、従業員を雇っておらず、バーなどの経営者でなければ、報酬の支払いがあったとしてもこの業務はしなくてもいいです。

年末調整の流れ

  1. 各種書類の配布:最後の給与支払日の25日前
  2. 各種書類の回収:最後の給与支払日の15日前
  3. 書類の確認:最後の給与支払日の10日前
  4. 各種書類の作成(源泉徴収簿、源泉徴収票、給与明細書の作成):最後の給与支払日の5日前
  5. 給与の支払い(源泉徴収票も一緒に渡す):最後の給与支払日当日
  6. 納付書の作成と納付

従業員が退職した時の流れ

  1. 退職届の受理
  2. 雇用保険の手続き(被保険者資格喪失届などをハローワークに提出):退職日から10日以内
  3. 給与所得者異動届出書の作成・提出(特別徴収税額の未徴収分の処理を確認し書類作成と提出):退職日の翌月10日まで
  4. 給与所得の源泉徴収票などの発送(給与所得の源泉徴収票を本人へ郵送):退職後1か月以内

まとめ

今回は正直ざっとした流れを書いてみました。

この中で源泉所得税の納付や年末調整については、実際に従業員を雇っていて給与を支払っている場合で対象となる従業員がいるかどうかで話が変わってきます。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

自分の中でやってみたいことが増えてきていて、整理したほうがいいんじゃないかなと思っています。

昨日の編集後記でも書きましたが、先週土曜日のHPの改良をしたときに、本当にこれだけの業務をひとりでできるのだろうかと不安になってしまいました。

最初は業務メニューを広くしておいたほうがいいというのは営業上は大事なことなのかもしれませんが、もしご依頼が増えてきた時に本当に自分が幸せなのか。

もっと自分がやりたいことを見極めて早めに行動に移したほうがいいなと考えるようになりました。

考え方の根本は変わってないんですけど、本当に私が請け負う業務にふさわしいのかどうか、再度考えてみようと思います。

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