税務調査後の追加納税について

今回は、税務調査が終了した後に発生する可能性がある税金について書きたいと思います。

税務調査が終了して修正申告書を提出する際に、主なものとして、

法人では、①法人税②消費税③源泉所得税④住民税⑤事業税⑥印紙税

個人事業主では、①所得税②消費税③住民税④事業税

を追加で支払うことになります。

さらに、①加算税②延滞税がかかる可能性があります。

税務調査で発生した税金

加算税や延滞税以外の追加税金は、原則として一括払いです。

所得税・法人税・消費税は、修正申告書を提出すると同時に納付が必要です。

源泉所得税や印紙税は納付書を自分で作成して納付することが多いです。

納付が遅れると、延滞税が増えてしまいます。

しかし、これら本税をすべて支払うと延滞税は増えることはありません。

加算税と延滞税

加算税と延滞税は一種の罰金的性格があります。

加算税は、その調査内容によって一律何パーセントと率が決められています。

一方、延滞税は期限より遅れたことによる利息のようなもので、納付日までの日割計算でかかってくるものです。

延滞税は日割り計算になりますが、加算税は基本的に1日でも遅れるとかかってくることになります。

加算税の種類

  1. 過少申告加算税

期限内に申告していた法人などに調査が入り、修正申告書を提出した場合です。

通常は、追加税額×10%です。

しかし、一定の場合には加算税が軽減されます。

もともと、税務調査には事前通知をしてから調査に着手するという流れがあります。

早期に気づいた場合には加算税を少なくするというものがあります。

  • 事前通知前に修正申告をした場合 不適用(0%)
  • 事前通知後更正の予知前までに修正申告をした場合 5%

ここで、「更正の予知」という言葉が出てきました。

この言葉、法律上具体的に規定はありません。

微妙なところなのですが、国税庁ホームページの事務運営指針という税務職員が運用すべき指針によると、

「臨場調査などをした上での非違事項の指摘等により、法人が調査があったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合、この提出は更正を予知してされたものに該当する。」
「臨場のための日時の連絡を行った段階(事前通知)で修正申告書を提出された場合には、原則として更正を予知してされたものみ該当しない」

と書かれています。(一部抜粋)

つまり、法人などが調査があったということを知ったかどうかなのです。

実際調査が始まったときはまだ更正の予知はない、しかしその後これを修正してと調査官から指摘があると更正の予知あり。。

どちらにしても、早く気づいて修正申告すれば加算税が軽減されるということです。

2.無申告加算税

申告していなかったが、調査により申告書を提出した場合です。

通常は、追加税額×15%です。

しかし、この加算税にも、一定の場合には加算税を軽減するという規定があります。

  • 事前通知前に修正申告をした場合 5%
  • 事前通知後更正の予知前までに修正申告をした場合 10%

3.不納付加算税

源泉所得税特有のものです。源泉徴収より納付すべきものをしていなかった場合です。

調査では、通常 本税×10%です。

4.重加算税

帳簿などを隠ぺいや仮装して不正に税金を免れた事実があった場合です。

この加算税は、今までの加算税に代えて別の税率が適用されます。

  • 過少申告加算税に代えて 35%
  • 無申告加算税に代えて 40%
  • 不納付加算税に代えて 35%

さらに、5年内に繰り返して無申告加算税や重加算税がかかることをすると、5%上乗せされるという規定もあります。

以上が、加算税の種類です。

本税額が多いと、加算税が加重になることもありますが、加算税については、税務署で計算してから通知書が会社などに送られてきます。

その通知が届いてから納付します。

加算税がかからない場合

調査をして上記の加算税の対象となっても、金額的に少ないと徴収しないこともあります。

過少申告加算税を例に説明してみます。(他の加算税も率が違うだけで考え方は一緒です)

調査をした結果、55,000円追加税額が発生した場合、

〇過少申告加算税は、
追加税額×10%=5,500円となるはず(この「追加税額」ことを「本税」といいます)
→しかし、この加算税の計算のもととなる本税は10,000円以下の端数切り捨てになります。
→つまり、過少申告加算税の計算のもととなる本税は55,000円ではなく50,000円になる
→50,000円に10%をかけた5,000円が過少申告加算税です。
※加算税は100円未満の端数切捨てです。(今回の例では出ませんでしたが)

結論:「追加税額55,000円、過少申告加算税5,000円」となります。

さらに、加算税の計算のもととなる本税額全額が10,000円未満、加算税全額が5,000円未満は、その全額が切り捨てになります。

追加税額(本税額)自体が0円になるわけではありません!

例えば、

1.追加税額(本税)9,000円の場合、
過少申告加算税は、もととなる本税額が10,000円未満ですので切り捨てられ0円。
→0円に10%かけても0円となり過少申告加算税はかかりません。結論:本税額9,000円、過少申告加算税0円。本税額は0円ではありません。
2.追加税額(本税)が45,000円の場合、
加算税のもととなる本税は10,000円以上ですので過少申告加算税の対象になります。
→ただし、本税額は10,000円未満の端数を切り捨てますので、加算税のもととなる本税は45,000円ではなく40,000円
→この40,000円に10%かけて4,000円が過少申告加算税となるはず
→しかし、加算税全額が5,000円未満なので切り捨てで0円となり過少申告加算税はかかりません。
結論:本税額45,000円、過少申告加算税0円。

複雑かもしれませんが、先ほど書いたように税務署からの通知や調査官からも説明があります。

加算税がかからない場合もあるということを知っておいてください。

延滞税

延滞税は、法律で定められた納付期限(法定納期限)までに納付しない場合にかかってきます。

税務調査ですと、だいたいある年度の申告書を提出し納付した後に来ますので、追加税額が発生していると延滞税は発生します。

この延滞税は、法定納期限の翌日から全額納付(完納)までの日数で日割り計算します。

計算方法は、次のようになります。

納付すべき本税額(10,000円未満端数切捨て)×延滞税割合×日数=延滞税(100円未満端数切捨て)

ここで、延滞税の割合ですが、毎年変更されることが多いです。令和2年1月1日からは、

①法定納期限から修正申告書提出日(納期限)までの期間と、納期限の翌日から2カ月まで 2.6%

②納期限の翌日から2カ月経過後 8.9%

となります。

*令和3年は、そもそもの率の出し方が変わるので変更確実です。

ただし、この延滞税については、重加算税の対象になっていない場合に日数をカウントしない期間(除算期間)というものもあります。

実際、延滞税は税務署側で計算しますので、会社などが自分で計算して納付するわけではありません。

本税納付後に税務署から送られてくる延滞税の通知には、除算期間も考慮済みです。

その通知にそって納付すればOKです。

ただ、本税が大きい場合に、全額納付する日が決まっていれば延滞税の目安について税務署に確認しておくのもひとつかもしれません。

まとめ

今回は、税務調査において追加で発生する税金、特に加算税と延滞税について書きました。

加算税と延滞税は、税務調査だけでなく期限後申告をしたり納付期限に間に合わなかった場合にもかかります。

今回は調査にしぼって説明しましたが、別の機会に調査以外の場合も書いてみたいと思います。

では。

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