仕事が途切れたときに建設現場に入っている一人親方の取り扱い

一人親方として通常独立して請負で働いていても、仕事がないときに短期間他の作業員と同じように雇われて建設現場に従事していることがあります。

その場合、社会保険や税金の取り扱いはどうなっているのかをまとめてみたいと思います。

社会保険への加入

会社の従業員ですと雇用されているため健康保険や厚生年金保険・雇用保険など社会保険に加入する必要があります。

国土交通省制定の「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」によると、建設現場に入るすべての従事者は「適切な保険」に加入するように求められています。

適切な保険とは必ずしも社会保険への加入を求めるということではなく、すでに国民年金や国民健康保険(建設国保を含む)に加入していれば大丈夫です。

つまり、国民年金や国民健康保険(建設国保)に加入する一人親方も適切な保険制度に加入しているとみなされるため社会保険に入り直す必要はありません。

で、本題に戻りますと、一人親方の本来の仕事はあくまでも請負人であり「雇われ人」ではありません。

仕事が途切れたときのみ短期間雇われて働いている限りでは、その期間はアルバイトをしていると考えるべきです。

勤務期間によりますけど短期間であれば社会保険に加入をする必要はありません。

したがって、一人親方本人が国民年金や国民健康保険(建設国保を含む)に加入していれば適切な保険に加入していると判断されます。

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税金の取り扱い

では、本業は一人親方でありながら仕事がないときに短期間他の従業員と同じように雇われて仕事をしている場合、もらったアルバイト代はどうすればいいのでしょうか?

このアルバイト代は給与所得となります。

給与をもらう際には前もって所得税が天引き(源泉徴収)されます。

ただし、アルバイトの場合には一定の要件を満たせば源泉徴収をする必要がありません。

  • 日ごとに雇用されている
  • 雇用期間が2か月以内である
  • 日ごとに支払われる給与(日額給与)が9,300円未満である

月ごとに支払う場合(月額給与)なら88,000円未満となりますけど、この場合は「扶養控除等申告書」の提出が必要です。

この場合、給与所得は0円ということだけで本業は一人親方ですので事業所得について確定申告が必要です。

また、日額給与9,300円や月額給与88,000円を超える場合には、事業所得と給与所得を合算して確定申告をする必要があります。

この場合、もしアルバイト給与から社会保険料が天引きされている場合には、一人親方が自分で加入している国民年金や国民健康保険にプラスすることができます。

したがって、確定申告をする際にプラス分の社会保険料控除を受けることができます。

ちなみに、法改正により令和8年1月1日以降支払われる給与から、
日額給与9,300円→9,800円
月額給与88,000円→105,000円
となります。

「年収の壁」との関係

年収の壁という話をニュースでお聞きになられたことがありますでしょうか?

所得税がかかってくるかどうかは年収103万円を超えるかどうかで判断をすることからこのように表現されるものです。

これは、アルバイトをしている妻や子どもがアルバイトとして給与を得ている場合をいいます。

一人親方が仕事がないときに短期間アルバイトをして得た給与の場合には、本来事業所得を得ている人ですから103万円の壁とは関係がありませんので注意しましょう。

まとめ

では、今日の話をまとめてみます。

  • 社会保険
    本業で国民健康保険・国民年金に加入していればOK
    短期間のアルバイトでは、別途社会保険に加入する必要は原則なし
  • 税金
    アルバイト収入は「給与所得」として、本業の「事業所得」と合算して確定申告が必要
    給与所得からも源泉徴収されることがあるが、一定の要件を満たせば源泉徴収されない場合もある
    給与から天引きされた社会保険料は、確定申告で控除できる
  • 年収の壁
    「103万円の壁」は、一人親方には関係ない

参考になれば幸いです。

では。

 

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