源泉所得税担当をしていたから思う今の年末調整制度

税務署を退職する直前まで源泉所得税の担当をしていました。

令和元年に退職をしてはや7年。

今だからこそ思う年末調整制度について書いてみたいと思います。

年末調整の申告書類が複雑に

退職する直前に年末調整の申告書類が変わりました。

源泉所得税担当をし始めた当初は、扶養控除等申告書と保険料控除申告書くらいしかなかったですし内容もそこまでたくさん書くことはなかったです。

まあ裏面の解説は当初から小さくて見づらいなとは思っていましたけど…。

で、令和7年の現在は以下の書類があります。

  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書

本人の所得や配偶者・特定親族の所得により段階的に控除額が決まる形になってしまったがために「基礎控除兼~」という長ーい名前の申告書類ができてしまっています。

これによりさらに内容の複雑さと難解さが増えてしまいました。

【事務所お知らせ】  

従業員に記載してもらうにはハードル高すぎ

扶養控除等申告書などの申告書類は、従業員に記入または入力していただくことになります。

これらの書類を従業員に渡したところで正確に書いてもらえることは少ないのではないでしょうか?

国税庁ホームページには記載についての案内は準備してありますけど、公用語のためか非常に読みにくくなってしまっています。

そもそも税法用語を羅列されてもピンときませんよね。

私が特に嫌だなと思うのは、令和7年分からは所得の見積額をなるべく正確に記載しなければ控除額が間違ってしまうということ。

これまでは所得の見積額って枠がある程度広かったので多少の所得のズレの範囲内なら控除額が変わることはありませんでした。

しかし、特定親族特別控除については所得が5万円刻みで控除額が変わりますし、基礎控除についても段階的に控除額が変わります。

所得の見積額をいかに正しく求めるのかが大事になるのにもかかわらず従業員は所得が何かすらきっとわからない。

所得なのに収入を書いてくるのはよくあることです。

なので書類作成を従業員にお願いするにしてもハードルが高すぎます。

年末調整担当者の苦労がわかる

で、従業員から提出された申告書類をチェックして年末調整計算を行う経理などの年末調整担当者の方がさらに苦労をされている光景が目に浮かびます。

源泉所得税担当では、年末調整の時期になりますと会社等の年末調整担当者の方からの電話でのお問合せが一気に増えました。

私がいたときでさえかなりの電話量でしたので、今のような「魔改造」をされてしまいますと源泉所得税を担当する職員も大変そうだなと感じてしまいます。

私は給与計算と年末調整両方をしていますが、国税庁ホームページで公表されているパンフレットや用紙を確認して、年末調整の本を最低2冊は買うようにしています。

今年はこちらの2冊を買いました。

今の年末調整は「ミスは必ず起きるもの」と考えてもらったほうがいいです。

それくらい難解ですし複雑です。

簡素な年末調整に期待

なんで複雑な年末調整制度になってしまったのだろうかと考えると、やっぱり控除額を細かく段階的に決めすぎたのかなと思います。

結局本人やその配偶者や扶養親族に所得の計算をさせ控除額を計算させることをこの申告用紙で求めるのは無理があると感じます。

税務署を辞める直前の源泉所得税担当での仕事として扶養控除等の見直し(扶養是正)がありました。

所得が間違って計算されており扶養控除が受けられないため是正するようにと通知を送るわけですけど、これからはこの是正ありきで受けざるを得ないですよね。

だって所得の金額が正しく計算できないのだから。

どうも納得がいかない年末調整。

もっと簡素にするか、いっそのこと年末調整を辞めて確定申告に切り替えてもいいんじゃないと。

税務署職員も減っていますので業務がパンクする危険はありますけど、今やマイナンバーカードや電子申告が主流です。

国税庁ホームページにある確定申告書作成コーナーで入力してe-Taxで確定申告してもらったほうがよっぽど早くて正確な気がするのは私だけでしょうか。

まとめ

今回は、年末調整の今の制度に対する私見を書いてみました。

もし退職していなかったら源泉所得税担当は続けたくなかったです。

別の部署への異動を希望していたでしょうしいずれ退職という道を選んでいたと思います。

それくらい嫌な制度になってしまいました。

では。

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