雇用保険の失業給付と年金・年末調整・確定申告

年金相談ではよく雇用保険の失業給付と年金との調整の話が出てきますが、その際に合わせて税金のことを聞かれることがあります。

今回は、失業給付と年金との関係と年末調整さらに確定申告について書いてみたいと思います。

雇用保険の失業給付と年金の関係

65歳になるまでの老齢厚生年金を受け取っている人が、雇用保険の失業給付を受け取っている場合は老齢厚生年金を受け取ることができません。

失業給付をもらうためにはハローワークで求職の申し込みを行いますが、申し込みをした月の翌月分から老齢厚生年金が支給停止となります。

停止期間は、退職日の翌日から1年間または与えられた給付日数(例えば150日など)を受け終わった月までとなります。

【事務所お知らせ】  

雇用保険の失業給付を受けていた人の年末調整

現在では、60歳を超えても仕事をされている方が多いですよね。

今回、63歳になる女性の従業員が今年入社してきたという事例を考えてみます。

【事例】
今年8月に当社に入社した女性従業員(63歳)は、3月に他社を退職したあと入社時まで雇用保険の失業給付を受けていました。このような場合の年末調整には失業給付を含めるのでしょうか?

女性従業員は給与のほか63歳の方なので(特別支給の)老齢厚生年金を受けている方でもあります。

年末調整の対象となるのは、勤務先から受け取る給与のみであり年金は考える必要はありません。

雇用保険の失業給付については、雇用保険法に基づいて非課税の所得とされていますので、年末調整の対象となる給与に含まれません。

この女性従業員の場合には、

  • 前の勤務先から受け取った1月から3月までの給与
  • 当社に入社したあとで受け取った8月から12月までの給与

を合計した金額に基づいて年末調整を行います。

この際、前の勤務先から受け取っている給与の源泉徴収票などを当社に提出する必要があり、もし提出がなければ年末調整を行うことができません。

このあと女性従業員はどうするの?

女性従業員は、給与のほか老齢厚生年金を受け取っています。

給与については先ほどもご紹介しましたように年末調整の対象となりますが年金は入れませんでした。

年末調整が終わったあと当社から1月以降になると給与の源泉徴収票を受け取ります。

そして、年金についても1月以降日本年金機構から年金の源泉徴収票が送付されてきます。

女性従業員は、給与の源泉徴収票と年金の源泉徴収票をもとに確定申告をして所得税の精算をする必要があります。

これまで確定申告をしたことがないという場合には税務署に事前に連絡をして相談をいただいたほうがいいです。

2月16日以降の確定申告期間は税務署は混雑しますので、それよりも前に相談をいただきたいところです。

注意点

失業給付をもらっている期間がある場合、失業給付に税金がかかると思っている方が意外と多いですけど、失業給付は非課税です。

ただし、社会保険において扶養に入る・入らないの判断をするときの年間収入に失業給付は含まれます。

60歳以上の方の場合の年間収入は180万円が扶養に入るかどうかの基準となります。

あと、給与と年金両方受け取っている人は基本的に確定申告をすると思っていただいたほうがいいです。

もちろん例外はありますけど、その場合でも住民税の申告は必要です。

確定申告をすれば自動的に住民税も申告をしたことになりますので、確定申告をすると割り切っていただくほうがわかりやすいです。

まとめ

今回は、雇用保険の失業給付を受け取っている場合の年金との調整や年末調整・確定申告について注意点も含めて取り上げてみました。

参考になれば幸いです。

では。

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