農家の方で国や県などから補助金を受けて農機具やビニールハウスを買うことがあります。
この場合、本来補助金を受け取ったら収入へ、買った部分は固定資産に計上をするのが本来ですが、一定の要件のもと例外的な処理が認められています。
所得税 国庫補助金の総収入金額不算入
その例外とは、補助金を受け取った場合でも条件を満たせば収入に計上する必要がないというものです。
その条件とは、
- 国や県からの補助金を受け取りそのお金で農機具やビニールハウスを買う
- 補助金を12月31日までに返還しないことが確定している
- 国庫補助金等の総収入金額不算入明細書を確定申告時に添付する
です。
例えば、県からビニールハウス建築のため400万円の補助金を申請し、受け取ったあとビニールハウスを1,000万円で購入した場合です。
本来は、補助金400万円を収入金額・ビニールハウス1,000万円を固定資産(構築物など)で経理することになります。
しかし、条件を満たせば補助金400万円を収入に計上する必要はありません。
一方で、減価償却費を計算するときには、ビニールハウス1,000万円から補助金400万円を差し引いた600万円をもとに計算します。
なので、本来の場合の減価償却費は1,000万円をもとに計算・例外の場合の減価償却費は600万円をもとに計算をすることになります。
今回の例外の取り扱いは、「国庫補助金等の総収入金額制度」と言われます。
開業間もない時期に設備投資をするとお金が手元にないのに収入が大きく計上されてしまうことになるのを防ぐことができるメリットがあります。
一方で、農業経営が軌道に乗ってきたときに減価償却費の計上が小さくなってしまうというデメリットも持ち合わせています。
結果的に長い目で見ると税金への効果は一緒です。
開業直後にかかる税金を将来に先延ばしにする制度だといえます。
このうち、「補助金を12月31日までに返還しないことが確定している」という条件が曲者で悩みます。
その際は、補助金の交付要領を必ず確認してください。
【事務所お知らせ】消費税の計算 補助金
次は、消費税の計算について。
消費税は所得税とは異なり、国庫補助金等の総収入金額制度というものはありません。
例えば、補助金400万円を収入金額・ビニールハウス1,000万円を固定資産(構築物など)とする場合には、
- 補助金400万円:消費税は不課税(売上に含まれる消費税にならない)
- ビニールハウス1,000万円:消費税は課税(仕入れに含まれる消費税になる)
となります。
ですので、簡易課税を取るか原則課税を取るかにより消費税の納税額が大きく変わることがあります。
一方で、ビニールハウス購入が多額の場合(1,000万円超)には3年間消費税を納める事業者で居続けなければならないなど制約があります。
法人税の圧縮記帳との違い
同じような制度として、法人税には圧縮記帳という制度があります。
国庫補助金等の総収入金額制度は、「法人税の圧縮記帳の個人バージョン」だと考えていただいていもいいかなと思います。
ただ、法人税との大きな違いは明細書を提出しないと認められないということ。
個人の国庫補助金等の総収入金額制度は条件を満たしたうえで明細書を確定申告書に添付しないといけません。
提出方法
「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」については、イメージデータ(PDF)での提出ができませんが電子データ(XML)により提出ができます。
e-Taxソフトで作成する場合の手順ですが、
- 確定申告書等作成コーナーから電子申告等データ(XTXファイル)をダウンロード
- XTXファイルをe-Taxソフトに組み込む
- 帳票追加で「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を選び帳票編集
- 必要事項を入力
- e-Taxソフトで電子署名し送信
私はこの流れでやっていますけど(ほかにもあるかもしれません…)、e-Taxソフトが使えない場合には書面で提出することになります。
税務署で提出するか郵送で提出することになるかなと思います。
まとめ
ここ2年ほど国庫補助金等の総収入金額制度についてお客様から相談を受けたので今回書いてみました。
明細書の記入は簡単だと書かれていたのをネットで見かけましたけどそんなことはないです。
なかなか悩みます。
では。
