ネイリストの働き方が会社の意向で変更になったとき

ネイリストの中には働き方により当初の契約内容と変更になることがあります。

もしそれが会社の意向であった場合に本当にその契約を結んでいいのかを考える必要があります。

「雇用契約から業務委託契約へ」の意味

ネイルサロンを運営する会社に従業員として採用されたネイリストがいたとします。

従業員としての採用ですので会社との間で雇用契約を結んで、会社の指示にしたがって仕事を行います。

勤務時間や休日・残業も会社で決められていますし、給与についても勤務時間に応じた形で受け取ることになります。

しかし、会社は負担している社会保険料が高いため雇用契約を変えたいと考え従業員として雇っているネイリストを業務委託契約へと変更することにしました。

従業員なら社会保険(健康保険と厚生年金保険)を半分負担しなければなりませんのでお金がかかるわけですね。

雇用契約をほかの契約の形を変えれば、ひとりのネイリストとして独立させることができます。

従業員ではなくなるので会社は社会保険料を払わなくても済むわけです。

一方でネイリストは自分で国民年金や国民健康保険料を払うことになります。

また、会社はネイリストに対して給与ではなく外注費として払うことができますので、給与から税金(所得税)を天引きする必要もなくなります。

【事務所お知らせ】  

偽装請負の可能性あり

今回この会社が取り入れた方法はかなり大きな問題を抱えています。

いわゆる「偽装請負」の疑いがあると判断されかねないのです。

というのは、業務委託契約を結んだからにはネイリストはひとりの独立されたネイリストです。

仕事の仕方や勤務時間・勤務場所等を会社が指示してはいけません。

ネイリストとして会社から指示を受けずにネイリスト本人の責任でネイルを完成させるという技術力と責任能力があることになります。

なので、会社からの指示や勤務時間も決められていることは前までと変わらないのに業務委託契約へと変更を求められたら立ち止まって考える必要があります。

従業員でいたときと何ら変わらないとかそれよりも悪い条件になったりするとさらに問題です。

明確な契約を結んでいるところは実は少ないようですけど、会社から勤務の仕方が変わるという話がきたら注意したいところです。

年金事務所に相談

では、業務委託契約に変更になったネイリストがいたとします。

これまで従業員として給与から健康保険料や厚生年金などの社会保険料を半分天引き・半分は会社が負担してくれていました。

しかし、今後は自分で国民健康保険と国民年金を払っていかなければなりませんので手続きをする必要があるわけです。

でも、働き方は従来と何も変わっていないとかむしろ前よりも条件が悪くなっていたらそれは違法な働き方であると言わざるを得ません。

会社は社会保険料の支払いを逃れるために意図的に業務委託契約へと切り替えたと考えられるからです。

そんなときの相談窓口になるのは年金事務所です。

実際に従業員からの情報などにより社会保険料逃れしていると思われる会社へ調査に行くケースがあります。

その結果、会社は多額の社会保険料の支払いを求められることになることもあります。

税務署に相談

ネイリストとして従業員ではなく独立した立場になりますと、給与とは異なり年末調整という制度はなく自分で得たお金について確定申告をする必要があります。

個人事業主としての開業届も必要になりますので税務署へ書類を提出することになります。

その際、本当に自分が独立した立場になるのかどうかについて税務署に相談に行かれるのもひとつの方法です。

契約内容のわかるものとか、今の働き方と以前の働き方との違いを説明できるように整理しておくといいかもしれませんね。

税務署と年金事務所が協力を

今回ご紹介した会社のように偽装請負の疑いのある会社や事業所は、ネイリストだけではなく建設業でもよく見聞きします。

税務上問題となるのは、消費税と源泉所得税の納付もれです。

もし年金事務所にネイリストが相談に行き年金事務所が会社に調査をして社会保険料をさかのぼって払いなさいとなっても、税務署が動くとは限りません。

その逆で、もし税務署が会社に税務調査を行い従業員扱いのため消費税と源泉所得税を追加で納めるよう指導したとしても、年金事務所が動くとは限りません。

税務署と年金事務所双方で偽装請負が行われていそうな会社や事業所の情報を共有してお互い取り締まっていったほうがいいんじゃないのかなと。

年金事務所で労働者性を指摘して社会保険へ加入させたという事実があれば税務署側も事業性を否認することができます。

その逆もしかりです。

偽装請負をしている会社や事業者があまりに多い事実があるのにもかかわらずそこまで動いていないように見えてしまうのが悲しいところです。

2014年度から国税庁の源泉徴収情報と照合して、文書や電話・訪問等による社会保険の適用が徹底されるようにするとは言われています。

まとめ

業務委託契約という名の契約が結ばれているものの実態は従業員と何ら変わらない、むしろ手取りが減ったとかで不満をお持ちのネイリストもいると聞きます。

もし不満や疑問点があれば年金事務所や税務署に相談に行くといいかと思います。

では。

 

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