一人親方の税務調査ポイント9回目です。
けっこう書いてきましたね。
今回は、一人親方の消費税についての注意点を書いてみたいと思います。
【事務所お知らせ】一人親方が取りうる消費税の計算方法
消費税は、2年前の売上が1,000万円超える場合、消費税を計算して申告をする必要があります。
このほか、インボイス登録をした場合には2年前の売上に関係なく消費税を計算して申告をする事業者になります。
消費税を計算する方法として、
- 一般課税
- 簡易課税
- 2割特例
と大きく3種類あります。
2年前の売上が1,000万円を超える場合の一人親方が取りうる消費税の計算方法は以下の2つ。
- 一般課税
- 簡易課税(2年前の売上が5,000万円を超えると使えません)
一般課税とは、消費税が含まれている売上と経費を自分でひとつひとつ集計して計算をしていく方法です。
簡易課税とは、消費税が含まれている売上から一定の率(みなし仕入れ率)をかけて経費に含まれている消費税を簡単に計算する方法です。
一方で、2年前の売上が1,000万円以下だけどインボイス登録事業者である場合は以下の3つ。
- 一般課税
- 簡易課税
- 2割特例
2割特例とは、消費税が含まれている売上の2割を納める(=売上に含まれている消費税×80%を経費に含まれている消費税とみなす)という方法です。
簡易課税と似たような計算方法です。
ちなみに、簡易課税で計算をする場合には事前に届出書の提出が必要です。
また、2割特例については申告書を提出する段階で使うかどうかを判断すればいいので特に届出は不要です。
一人親方の状況
まず、一人親方で一般課税にて消費税の計算をするのは結構大変です。
売上や経費のうちどれに消費税が含まれているのか自分で判断しないといけません。
ただ、一方で機械や事業用車両を買った場合にはその分の消費税を差し引けるため計算した結果還付になることもあります。
ただ高額なものを買わない限りはそれほど影響はなさそうです。
また、一般的に一人親方に依頼をする相手先は会社でしょうからインボイス登録をしていると思われます。
消費税の注意点
では、ここから一人親方で注意したい点を書いてみたいと思います。
無申告
令和5年10月1日にインボイス登録をしたにも関わらず10月から12月までの消費税の申告をしていないケースが目立つようです。
また、2年前の売上が1,000万円前後の場合に消費税の申告をさせることを狙って税務調査をする場合が多いです。
消費税が含まれている売上とは?
どの計算方法を採用するにしても消費税が含まれている売上を集計するところからスタートします。
消費税が含まれている売上ですけど、例えば工事業の場合、請負工事が完成した時に入金される売上よりも範囲が広いです。
機械や車両を売って得たお金や、不用品の売却などもこの売上に含まれますので注意が必要です。
帳簿と原始資料の保存
一般課税の場合には、消費税が含まれている売上から消費税が含まれている経費を差し引いて納付する消費税を計算します。
この際、消費税が含まれている経費を差し引けるようにするためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 帳簿の作成と保存
- 請求書や領収書等の原始資料の保存
この要件が求められるのは、消費税のみです。
所得税の場合にももちろん帳簿や原始資料の保存はしておいたほうがいいですけどなくてもほかの書類などで経費の発生事実がわかれば認められることがあります。
ただし、消費税の場合にはこの2つの要件がないと一切経費に含まれている消費税を差し引く処理が認められないことになりますので注意が必要です。
ただ、簡易課税や2割特例を選択している場合には経費についての帳簿や原始資料の保存要件は問われません。
理由は、経費に含まれている消費税を一定の率でざっくりと計算しているため、一つ一つを細かく計算しているわけではないからです。
一人親方の事業区分
これは簡易課税制度を取っているときに使うみなし仕入れ率のお話で、業種により率が決まっています。
基本的に、一人親方が取りうるのは「第3種か第4種」です。
第3種事業とは、建設業や製造業の場合でありみなし仕入れ率は70%(=納める消費税は30%)です。
一方で、第4種事業とは、その他の事業でありみなし仕入れ率は60%(=納める消費税は40%)です。
第3種と第4種の違いは材料を自分で調達しているかどうかでイメージしてみるとわかりやすいです。
第4種:作業代のみ
完成した工事をもとに第3種か第4種かを判断していく必要がある、というのがポイントです。
まとめ
今回は、一人親方の消費税のポイントについて書いてみました。
税務調査では、消費税を計算するもととなった集計表をもとにチェックが行われます。
消費税が含まれている売上や経費が集計されているか、あとはヒヤリングにより簡易課税の事業区分に誤りがないかどうかは事前に確認をしておきたいところです。
では。