65歳を過ぎてからも年金を受け取りながら勤務を続けている方が増えています。
その方が退職をして年金収入のみになった場合に気をつけたいことがあります。
年金について
年金を受け取っている方の年金相談においてよく質問を受けるのは、退職をした場合に年金はどうなるのかという話です。
働きながら老齢厚生年金を受けている人が退職した場合、退職して1か月を経過したら退職した月の翌月分の年金額から見直しが行われます。
具体的には、年金額に反映されていない退職までの厚生年金加入期間分を追加して年金額が再計算(→年金額が増える)されます。
例えば、12月末に退職をした場合、退職月が12月なので翌年1月分の年金額から再計算されますので、2月振込み(12月分と1月分)の金額から変更になります。
このほか、働きながら老齢厚生年金を受け取っている方は、給与やボーナスと老齢厚生年金の金額に応じて、年金の一部または全部が停止になるケースがあります。
この場合も退職をしたことにより年金額の停止はなくなり全額支給されます。
【事務所お知らせ】年末調整はしてもらえない
これまでは勤務先のほうで給与やボーナスについて年末調整が行われていました。
年末調整とは簡単にいうと1年間の給与やボーナスから天引きされた所得税と、1年間の正しい所得税の精算を行う作業です。
扶養控除等申告書や保険料控除申告書などを会社に提出されていたかと思います。
しかし、退職した後は勤務先で年末調整はしてもらえません。
そのため、天引きされた所得税のままとなっていますので、自分で1年間の正しい所得税の精算を行う必要があります。
所得税の精算を自分で行う作業が確定申告です。
一般的に、天引きされた所得税は仮計算で行われ控除も一部しか考慮されていないため、1年間の正しい所得税を計算すると納めた所得税が還付になることが多いです。
所得税が多く取られすぎているため確定申告をすると戻ってくるというイメージです。
ちなみに、老齢年金にも所得税や住民税がかかりますけど、年末調整ができるのは給与やボーナスのみです。
そのため、退職後年金収入のみになった場合には、退職までの給与の源泉徴収票と年金の源泉徴収票を足して確定申告をする必要があります。
この場合は、給与額のほか年金額も足しますので場合によっては追加で納付をするケースもあります。
よくある間違い
12月から1月にかけて年金相談においても以下のような間違いを見聞きします。
- 退職をした勤務先で老齢年金も含めて年末調整してもらえると思っている
- 退職後確定申告をせずに放置している
年末調整は最後の給与支払日に在籍をしている従業員に対して行われるのが原則です。
退職したら扶養控除申告書などの書類を書かないのはそのためです。
退職後確定申告をしていないケースは意外と耳にします。
確定申告をすることで所得税が還付になることが多いのでもったいないことをしている可能性があります。
年金収入のみになったとしても、退職するまでは給与やボーナスをもらっていますので所得税の精算のために確定申告が必要になります。
退職金も受け取っている場合
年の中途で退職をした場合には、給与と年金以外に退職金を受け取っている場合があります。
すでに所得税が天引きされていたとしても退職金も含めて確定申告をする必要があります。
退職金の金額が多ければ基礎控除が受けられなくなる可能性がありますので注意したいところです。
まとめ
このブログ記事、確定申告時期に毎年同じようなことを書いているのですが年金相談をしていると何件も質問をいただきます。
税理士として確定申告時期に行う無料相談でも昨年2件同じような質問を受けました。
まだまだ理解されていないのかもしれませんね。
では。
