先日国税庁ホームページに、
というパンフレットが公開されました。
今回、このパンフレットに追加して個人的に注意すべきだと考える点と今後の対応策についてまとめてみたいと思います。
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インボイス制度の開始に向けて特にご留意いただきたい事項
パンフレットに掲載されているのは、以下の4点です。
- 登録の申請期限
- インボイスの交付対象時期
- 10月1日に登録通知が未達の場合の対応
- 受領したインボイスの適正性の確認
パンフレットのわりに難しい言葉を使ってしまっているところが役所らしいですね。
元国税職員である私も難しく感じます…
少し説明を加えてみますね。
10月1日から登録を受けるためには…
インボイスを登録するためには税務署へ申請書を提出する必要があります。
その提出期限は9月30日までとなっています。
ただ、9月30日は土曜日なので税務署の窓口は閉まっています。
じゃあどうすればいいのかというと提出先ごとに期限が異なります。
- 窓口提出の場合は、9月29日17時まで
- e-Taxの場合は、9月30日23時59分59秒まで(e-Taxだと土曜日でも大丈夫です)
- 郵送の場合は、9月30日の通信日付印があるものまで
となっています。
一番最後まで受け付けてくれるのはe-Taxとなります。
インボイスを相手に渡す時期
インボイスを相手に渡さなければならないのは10月1日の取引からとなります。
つまり、
- モノの販売だと10月1日以降の引渡日(納品日など)
- サービスの提供だと10月1日以降のサービス完了日
となります。
したがって、10月1日以降に渡す請求書から必ず対応しないといけないわけではありません。
例えば、
②令和5年9月中に請求書を出して令和5年10月に納品する場合、インボイスは必要
10月1日に登録通知が来ない場合
10月1日以前に登録の申請をしたものの通知が来ず登録番号が分からない場合も想定されます。
この場合の売り手と買い手の対応についてです。
売り手の対応
10月1日を迎えても登録通知が届かない場合には、
②通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを渡す
③通知後にすでに渡してある請求書等と同じ取引であることを明らかにしたうえで、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする
という対応が求められます。
①と②は結局インボイスを渡すという手間が増えますので、個人的には③が楽なのかなと。
例えば、
などと、請求書との関係を明らかにしたうえで、インボイスに不足している登録番号をメールで送っておくことで対応できます。
買い手の対応
売り手から登録番号のないインボイスを受け取り、登録番号のお知らせが来ないまま確定申告期限が来てしまいました。
消費税を計算するときには、仕入や経費にかかる消費税を差し引くことができますが登録番号がないと差し引くことができません。
しかし、売り手がインボイスの登録を受けて登録番号がもらえる予定であるということを買い手が確認できたら差し引くことができます。
その場合には、売り手から後で交付されたインボイスや登録番号のお知らせを保存しておきます。
登録番号が正しいのか毎回確認するの??
売り手からインボイスを受け取った場合には、インボイスの適正性(登録番号が正しいかどうか)について確認をする必要があります。
では、取引の都度毎回チェックするのかというとそういうわけではありません。
取引先の規模や関係性などを踏まえてその頻度を自分で判断すればいいことになっています。
具体的には、
継続している取引先:その都度の確認はしない(取引に入る前に確認は必要)
が挙げられています。
インボイスの保存が必要な場合だけ
ここまでの内容について対応する必要があるのはインボイスの保存が必要な方です。
インボイスがないと仕入・経費に含まれている消費税が差し引けない方だけです。
したがって、簡易課税制度や2割特例を選択される場合には、売上に含まれている消費税から直接消費税額を計算しますのでインボイスの保存は不要です。
インボイスの保存は不要ですからインボイスを渡すときなどこれまで書いてきた対応は不要です。
まとめ
記帳指導ですでにご質問があったのは、10月1日前後に取引がある場合にインボイスを交付するのかどうかと、インボイス登録番号の確認についてでした。
おそらく同じように疑問を持たれている方も多いと思いますので解説してみました。
では。