先日、韓国籍の方から「日本で厚生年金に9年間加入していた。帰国するので脱退一時金を請求したい」というご相談をいただきました。
このご相談を通じて、年金加入期間を正確に把握することの大切さを改めて感じました。
韓国は年金の通算規定がない
日本と韓国の間には社会保障協定がありますが、内容は保険料の二重負担を防ぐもので、両国の年金加入期間を通算する規定はありません。
そのため、老齢年金を受け取れるかどうかは、日本での加入期間だけで判断することになります。
【事務所お知らせ】
脱退一時金は最大5年分まで
厚生年金の脱退一時金は、現在5年分(60月)が支給の上限です。
9年加入していた場合、5年を超える4年分は計算に反映されず、いわば「切り捨て」になってしまいます。
しかも脱退一時金を受け取ると、計算の基礎となった期間は年金加入期間ではなくなります。
10年以上加入していれば老齢年金を受け取れる
一方、日本の年金制度の加入期間(受給資格期間)が10年以上あれば、海外に住んでいても原則65歳から老齢年金を受け取れます。
なお、受給資格期間を満たしている方は、脱退一時金を請求できません。
9年か10年かー。
わずか1年の違いで、選べる道が大きく変わります。
本当に「9年」なのか
ここで大切なのが「本当に9年なのか」という確認です。
ご本人が把握している期間と実際の記録が一致しているとは限りません。
たとえば、就職前に留学生として国民年金に加入していた期間があれば、厚生年金と合わせて10年に達している可能性があります。
記憶だけを頼りに脱退一時金を請求すると、本来受け取れたはずの老齢年金を失うことにもなりかねません。
まずは年金加入記録を確認し、正確な期間を把握することが何より重要です。
脱退一時金の請求業務を細分化しました
こうした経験から、当事務所では脱退一時金の請求業務を細分化しました。
年金加入記録を確認したうえで、請求するかどうかをご判断いただけるようにしています。
① 年金加入記録の確認・ご相談
② 脱退一時金の請求書の作成・提出(①をご利用の方のみ/厚生年金・国民年金の両方の請求を含む)
- (厚生年金)脱退一時金の所得税還付申告
①では、加入期間や今後の見通しを確認し、脱退一時金と老齢年金のどちらが適しているかを一緒に検討します。
請求を選択された方には、②で手続きをサポートします。
また、厚生年金の脱退一時金は支給時に20.42%の所得税が源泉徴収されますが、申告により還付を受けられる場合があります。
まとめ

脱退一時金は、一度受け取ると取り消しができません。
「何年加入していたか」を正確に把握することが、後悔しない選択の第一歩です。
帰国を予定されている外国籍の方や、そうした方を雇用している企業の担当者の方は、請求の前にぜひ一度年金加入記録を確認してみてください。
では。
