実務を絡めるよりまず試験合格を目指そう

夏に行われる税理士試験や社会保険労務士試験などは、そろそろ直前期を迎えていることと思います。

資格試験を受験する場合は、特に社会人の方ですと実務に関連した資格を取りたいと思われることが多いかなと思います。

例えば、経理事務をやっているから簿記検定や税理士試験を受験する、総務人事の仕事をしているから社会保険労務士試験を受験する。

その際、もし資格試験に早く合格したいのなら実務はいったん置いておいて試験合格だけを目指したほうがいい、という話を書きたいと思います。

社会保険労務士試験で失敗している人を見ると…

私は幸いなことに1回の受験で社会保険労務士試験に合格しましたが、予備校の講座が人気講師だったことからものすごい人数の方が教室に集まっておりました。

ほとんどは社会人で働きながら受験されている方で、受験を何度もされている方もたくさんいらっしゃいました。

2回目・3回目受験は当たり前のようにいらっしゃいました。

到底その人に追いつかないといけないのかなと最初は不安になっていましたが、ある日その人たちが講師に質問している内容を聞く機会がありました。

その内容は、

「うちの会社ではこういう取り扱いをしているのだが、これは試験内容と違う。試験問題が間違っているのでは??」

というものでした。

私もその時は税務職員として働きながら勉強していましたから実務上と理論上で違いがあることはわかります。

実務ではこう扱っているのになぁ、と思うことも多々あります。

しかし、試験はあくまで一般的な取り扱いを問うわけで事業者独自の内容は絶対問われないはずなのです。

まだ授業内容でわからないところの質問ならわかるのですが、正直実務のことまで絡めてしまうと合格は遠のいてしまうのかなと思うのです。

講師も一応は説明したうえでですが、

 

試験ではあくまでこの取り扱いになっていますので

これで押さえてくださいね。

と言っておられました。

こういう風に実務と絡めてしまっている方の多くは多数回受験されている方ばかりでした。

講師もそれはわかっていて、

早く合格するには試験のことをまず考えてください

と口酸っぱく言っておられるのが印象的でしたね。

私もそういう人があまりに多いので、逆に試験合格のことだけを考えて勉強したことで好結果に結びついたのかなと思っています。

税理士試験で失敗していた

実は私も税理士試験で失敗した経験があります。

税理士試験の簿記論と財務諸表論に合格した後、税法科目の勉強をしていたことがあります。

実際には法人税と消費税は本試験の受験経験があります。

どちらも不合格で、その後もいろいろな税理士試験の講義を受講してきました。

その時思ったのは、やはり実務を絡めてしまうと合格できないなと。

実際法人税と消費税は、税務署の法人課税部門にいた私からすれば実務で実際に使っている税法です。

「実務で使うから試験勉強してみる」というのは自然な流れかな、と思います。

しかし、試験で出題されるところと実務で頻繁に登場するところは別のことが多いです。

もちろんまったく別かと言われたらそうではありませんが、実務でまったく使わないようなところでも試験では出題可能性がある、ということもあります。

あと、特にこれを思ってしまうと致命的なのが税法科目には理論が出題されます。

TACでいうところの「理論マスター」のような個別理論集を暗記してくるように指示されるかと思います。

試験では条文集の持ち込みは禁止されていますからね。

しかし、実務になると条文を暗記しておくという必要はなく、どこにどんな内容が書いてあるかざっくりとわかっていればなんとかなるのです。

手元に条文集があるわけですから調べたら出てきます。

条文をいかに読みこなせるかが重要で暗記は必要ないのです。

「理論暗記は実務で使わないからやらない!」と考え始めたら「暗記など意味がない!」と思ってしまいます。

私もこのように思ってしまって理論暗記がまったくできなくなりました。

勉強していても理論暗記が苦痛になっていき、本試験でも適当なことを書いた記憶があります。

公認会計士試験のように条文集が使えたらいいのにな

公認会計士試験の租税法の試験では、条文集が試験会場で配布されます。

この条文集を参照しながら解答していくことになります。

暗記一辺倒ではなく実際に事例に即した解答が求められますので実践的だな、と思ったりします。

私もどちらかといえば公認会計士試験の租税法のほうが勉強になることも多いかなと。

公認会計士の租税法も勉強したことがあります。

条文をいかに使って解答するかという実務により近い形で試験も解答するので、勉強していて楽しいと思いました。

早く合格したいなら実務のことはいったん置いておく

「資格を取りたい」・「早く合格したい」のなら、実務はいったん置いておいて試験内容の把握に努めたほうがいいと思っています。

自己啓発や「仕事で役立たせたい」・「試験合格まで考えていない」のなら時間をかけて実務とからめながら勉強されてもいいのかなと。

あくまで試験の重要度と実務の重要度は一致しないこともあります。

実務で使わないから試験でも問われない、と判断するのは危険です。

そう思ってしまっては合格できないと思います。

試験は試験だ、と割り切る勇気も必要ですね。

私の経験から申し上げると、試験に合格してからじっくり実務を経験すればいいのかなと。

試験勉強で実務と絡めてしまい頭が混乱したりするのは避けたほうがいいと思います。

「こんなの実務で使わない」は試験勉強では禁物です。

まとめ

今回は資格試験の記事を久しぶりに書いてみました。

働きながら受験される方が多い資格ほど、実務と絡めて勉強するという考えになってくるかと思います。

実際に仕事の延長で受験されることが多いので当然かなと。

しかし、あまり実務のことを試験に持ち込むのは危険だなと思いますし、実際に私も失敗してきているので一度記事にしてみました。

では。

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