年末調整をする者しない者

先日予告しました、「○○する者しない者」の第1弾です。

まず対象者かどうかを確認してみよう

今回は時期的なもので「年末調整」を取り上げてみます。

年末調整は1年に1回行う大事な作業です。

しかし、年末調整をしなくてもいいのにしてしまったとか、年末調整をしなければならないのにしていなかったという事態が起こりえます。

まずは年末調整をする者しない者の区分を知っておきましょう。

分かりやすさを重視しましたので法令上の表現と異なるところがあります。
また、個人的な私見も入っておりますのでご了解ください。
引用:国税庁ホームページ  令和3年分 年末調整のしかた

税額表(月額表と日額表)について

国税庁ホームページに「年末調整のしかた」というパンフレットが掲載されています。

そのパンフレットでも冒頭に「年末調整の対象となる人」という項目があります。

年末調整は、原則として給与の支払者(会社や個人事業主)に「扶養控除等申告書」を提出している者全員が行うことになっています。

つまり、扶養控除等申告書を提出しなければ年末調整はできません。

支払った給与から所得税を天引きする際には、税額表を使って金額を計算します。

税額表には月額表と日額表があります。

  • 月額表には甲・乙と2欄
  • 日額表には、甲・乙・丙の3欄

があります。

このうち、扶養控除等申告書を提出していると「甲欄」の適用となり年末調整をする者となるのが基本的な考え方です。

では、まずこの税額表における月額・日額についての説明を簡単にしてみます。

月額とは、月ごとに支払うものや半月ごと・10日ごとなど月の整数倍ごとに支払うものをいいます。
日額とは、毎日支払うものや週ごと、日割りで支払うものをいいます。

さらに、日額表丙欄を使う場合は次の要件を満たしている必要があります。

① 日々雇い入れられる者が、労働した日又は時間により算定され、労働した日ごとに支払を受けるもの
② 給与等の支払者から継続して2か月を超えない
③ あらかじめ定められた雇用契約の期間が2か月以内の者に支払われる給与等で労働した日又は時間によって算定されるもの

もし2ヶ月を超える場合は、日額表の丙欄は使えず乙欄・または扶養控除等申告書を提出し甲欄となります。

ここでポイントとなるのは、税額表の区別の仕方です。

この税額表は支払方法の選択であって計算方法で判断するものではないということ。

例えば、時給1,000円×労働時間で計算された給与であったとしても、

その支払方法が、

月ごとや半月ごと・10日ごと→月額表
毎日か週ごとか日割で支払われる→日額表

をそれぞれ使うことになります。

年末調整をする者

以下、どれかに該当すれば年末調整をする者となります。

  • 1年を通じて勤務している者
  • 年の中途で就職して年末まで勤務している者
    年の中途で就職した場合は、前職分の給与とその税額については前職から受けた源泉徴収票などで確認することになりますので、手元になく確認できない場合は年末調整は見合わせます。もし前職から源泉徴収票が発行されない場合は、「源泉徴収の不交付の申出書」を作成し税務署へ提出します(書き方などは税務署へ相談するといいでしょう)。
  • 年の中途で退職した者のうち、
    ①死亡退職
    ②心身障害退職で、退職時期からみて本年中に再就職ができないと見込まれる
    ③12月中に支給される給与の支払いを受けた後退職
    ④パートタイマーの退職で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下
①②は、本年中に再就職できないと見込まれる場合です。
③も12月の給与を受け取ったあとの退職ですから、年末調整ができる材料は整っています。
④は、「給与の総額103万円以下」とは、給与所得控除55万+基礎控除48万の合計で、この金額以下だと結果的に所得税が0円になるので年末調整をします。
しかし、退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払いを受けると見込まれる場合は年末調整をしませんので注意です。
  • 年の途中で海外転勤などにより非居住者となった者
    非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない者をいいます。非居住者となったときに年末調整をします。

年末調整をしない者

以下、どれかに該当すれば年末調整をしない者となります。

  • 本年中の給与の収入金額が2,000万円を超える者
    給与所得ではありません。
    収入金額ー給与所得控除=給与所得となり、あくまで給与所得控除をする前の額面の金額です。
  • 災害減免法の適用がある
  • 2か所以上から給与の支払いを受けている者で、
    ①他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している者
    ②年末調整を行う時までに、扶養控除等申告書を提出していない者

    2か所以上から給与の支払いを受けている場合、扶養控除等申告書は1か所にしか提出できません。扶養控除等申告書がありませんので月額表や日額表を使うときは乙欄となります。「乙欄を適用する者」というイメージでよろしいかと思います。
  • 年の中途で退職した者で、年末調整する者①~④以外の者
    具体的には、再就職先が決まらずに失業等給付を受けている場合など、本年中に再就職するか未定の場合です。
  • 非居住者
    非居住者=外国人ではありません。
    外国人労働者であったとしても、国内に住所を有するか国内に1年以上居所を有している場合は居住者となり、年末調整をする者になることもありますので注意しましょう。
  • 継続して同一の雇用主に雇用されない日雇労働者など
    日額表の丙欄が適用されている者です。
 年末調整をしない者は、ご自身で確定申告をする必要がありますので、期限までに住所地の所轄税務署へ確定申告書を提出するように伝えることが大切です。
その際は年末調整をしていない源泉徴収票の交付もお忘れなく。

まとめ

今回は、年末調整をする者しない者について、そもそもの給与から天引きする所得税の計算方法から解説してみました。

基本的な考え方は、

本年中勤務が続いていて扶養控除等申告書の提出があれば年末調整をする

ということ。

あとは、例外的な退職などがあったらその都度確認していただいたほうがいいのかなと思います。

では。

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