支払調書の作成・提出とポイント

支払調書とは、報酬などを支払った際に支払側が「1年間にこれだけの報酬を支払いました」と税務署側に報告する書類です。

税務署は、支払調書を支払者側に提出させることで、受け取った側との金額をチェックしてきちんと申告されているかどうかを確認するために使われます。

今回は、報酬を支払った場合の支払調書について、ポイントと間違いやすい点について書いてみたいと思います。

支払調書の作成と提出

まず従業員を雇っている場合には、支払調書を作成し税務署へ提出をする必要があります。

しかし、従業員を雇っておらず、またバーやキャバレーなどの経営者でもないのであれば支払調書を作成する必要はありません。

つまり、

自分が支払調書を作成し税務署へ提出をしないといけない事業主なのかどうか

を確認する必要があります。

【事務所お知らせ】  

源泉徴収と支払調書との関係

個人事業主に報酬を支払う場合には、一定の場合に限って源泉徴収をして国に納付することになっています。

一定の場合とは、

①原稿料やデザイン報酬

②弁護士や税理士・社会保険労務士などの士業報酬

③外交員や集金人

など、所得税法に列挙されている場合に限られています。

ちなみに、支払いの相手先が個人事業主の場合だけが対象となり、支払いの相手先が法人の場合は源泉徴収しなくてもいいことになっています。

支払調書は、上記①~③に該当する場合に作成するものです。

一定金額を超えると税務署への提出が必要となります。

  • ホステス、コンパニオン=1人当たり年間50万円超
  • 外交員、集金員=1人当たり年間50万円超
  • 上記以外=1人当たり年間5万円超

まとめますと、

源泉徴収が必要な報酬の支払には支払調書の作成が必要
すべての報酬が支払調書作成の対象になるわけではない

というのが基本です。

ポイント① 源泉徴収が不要でも支払調書は提出する

源泉徴収が必要な報酬の支払であったとしても、法人に支払われるものは源泉徴収が不要になります。

その場合でも、支払調書を作成し税務署への提出が必要になります。

個人事業主・法人問わないということです。

ですので、集計する手順として、

  1. 帳簿より1年間の対象となる報酬を金額の大小関わらずすべて集計する
  2. その集計したものから一定金額を超えるものについて、個別に支払調書を作成していく

という流れを取るのが一般的です。

ポイント② 支払先に交付する義務はない

給与の源泉徴収票は必ず従業員に渡すことになっています。

しかし、支払調書については税務署へ提出するだけで支払先に交付する義務はありません。

ただし、支払先が法定調書がほしいと言われたら渡しても構いません。

先ほども見ていただきましたけど、従業員を雇っていない個人事業主の方ですと支払調書を作成し税務署へ提出することもありません。

なので提出しなくてもいい個人事業主に支払調書をよこせ!と言ってももらえないわけです。

支払調書を交付する義務がないため、支払先からたまたま受け取った支払調書だけを集計して売上を計上すると間違えてしまいます。

ですので、

支払調書がない場合でも受け取った領収書控えや請求書控えからきちんと売上を拾っていく必要があります。

ポイント③ 源泉徴収が必要な支払かどうか

結局、支払先が個人事業主の場合には、

源泉徴収が必要な報酬の支払なら支払調書の作成が必要になるということです。

つまり、

源泉徴収が必要でない報酬の支払があった場合は支払調書の作成と提出は不要
ということです。

先日、とある記事を見ていてプログラマーの申告もれを指摘されている理由が支払調書にあると書かれていて違和感を覚えました。

プログラマーへ支払った報酬は基本的に源泉徴収は不要です。

ただ、デザイン性があるものになったりすればデザインの報酬として源泉徴収の対象になります。

プログラマーという名前だけではなく仕事内容まで見ないと源泉徴収かどうかの判断はできないはずなのです。

たしかに、会社の税務調査で外注先のプログラマーが狙い撃ちされて無申告を指摘されたということならわかります。

しかし、この無申告が分かった原因が支払調書からだと結論づけるのは違うかなと感じます。

まとめ

今回はたまたまとある記事を見て、支払調書について違和感を感じたので整理してみました。

源泉徴収があるからこそ支払調書がある

というのが基本的なスタンスです。

なので、まずは支払う報酬が源泉徴収が必要なものなのかどうかから判断されてみるといいのかなと思います。

では。

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