農家の収入計上がもれやすい理由

農家が税務調査で指摘されるもののうち一番注意したいのは収入の計上もれです。

今回は、収入の計上がもれやすいものをいくつかご紹介したいと思います。

JAや卸売市場への出荷

JAや卸売市場への出荷分の売上計上は比較的計上しやすくなっています。

JAからは営農取引報告書から、卸売市場からは売上精算書を見れば売上高を集計することができます。

ただし、気をつけたいのはJAや卸売市場に販売を委託している場合、委託手数料などが差し引かれて入金されてきます。

手数料を差し引く前の金額で売上を計上しますので、手数料を差し引いた後ですとその分の売上計上がもれていることになりますので注意しましょう。

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直売所・ネット販売

税務調査で特に狙われるのは、JAや卸売市場以外に販売ルートがある場合です。

つまり、市場を通さずに直接お客様と取引をしている場合ですね。

直売所やネット販売で得た売上を計上し忘れるケースが多いです。

現金での売上が多いため証拠が残りにくいためごまかしやすいからという考えもあるようです。

ネット販売もどうせ税務署にはばれないだろうということで売上の申告をしないケースも目立ちます。

しかし、どちらにしても税務署はいろんな情報を仕入れています。

実際調査官が仕入れた情報もそうですしSNSやネット情報のほか、購入されたお客様からの情報も把握しています。

つまり、いつかはバレるんですよね。

その場合は売上の計上がもれているわけではなく、意図して売上を除外した=脱税と認定されて重加算税という大変重たい罰金が科せられる可能性もあります。

家事消費

農作物を販売するだけではなく、自分の家で収穫したものを食べることもあるでしょう。

和歌山県ではみかんや梅など食用のものですと自分の家で食べたりします。

その場合、自分で食べた分については家事消費として収入に含めることになります。

販売価額と販売数量のうち家事消費分を按分して計上しますが、手数料や包装費用は含まない裸値で収入を計上します。

雑収入

農作物の販売や家事消費以外は雑収入として計上をします。

収益補償の補助金や、水稲野菜果樹共済の共済金を受け取った場合のほか、農作業を手伝った場合の作業料なども含まれます。

過去に税務相談の中で自動販売機の設置手数料の収入計上もれを指摘された農家がいて「そんなところも見られているんですね」と驚かれていました。

期末の棚卸高

みかんや梅などの農作物については、収穫した時の販売価額(裸値)で売上を計上する収穫基準が適用されます。

その年の販売高には、販売していない年末の農作物の在庫高を加えて計算した金額も収入となります。

対応策

ここからは収入の計上もれを防ぐための対応策をまとめてみたいと思います。

JAや卸売市場への出荷分だけでなく、直売所やインターネット販売などすべての販売ルートの収入を把握しておく必要があります。

販売伝票や領収書、売上台帳などを照らし合わせて、漏れがないかを確認します。

もし何もないのならメモをきちんと残しておき今後からは準備しておきます。

家事消費は、品目や数量などを記録しておきましょう。

あと、農家本人が収入だと気づいていない・勘違いのケースもあり得ます。

その場合には事前に税理士などに相談いただいたほうがいいかもしれませんね。

消費税の課否判定はそこまで問題にならない

農家でも消費税の申告をされるケースはあります。

しかし、簡易課税を選択される方がほとんどです。

消費税の課税・非課税・不課税が問題になることはなく、売上の計上がもれていることにより連動するケースが一般的です。

まとめ

今回は、農家の収入計上がもれやすいところとその対応策について書いてみました。

全販売ルートをチェックすることと収入に計上しなくてもいいと安易に判断せず専門家である税理士に確認をすることも大事です。

では。

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