脱退一時金の請求をすると、一般的に源泉徴収された所得税の還付申告を日本で行うことができます。
所得税の還付申告も納税管理人が行うことになりますが、この際税理士以外の人が還付申告をするのは危険だというお話です。
脱退一時金の所得税の還付申告
脱退一時金の所得税の還付申告とはいったい何か。
まず、脱退一時金を請求したあと決定通知書が送付されてきますが、そのままの金額が振り込まれてくるわけではありません。
厚生年金の脱退一時金の場合には、支払金額の20.42%の源泉所得税が差し引かれてきますので、振込分は79.58%となります。
この脱退一時金は日本の所得税法では退職所得とされます。
日本に住む人であれば退職所得を計算する際には、退職所得控除を差し引きさらにその半分が所得となりますので税金を計算するときに優遇されています。
一方で、外国の人は日本の非居住者となりますので退職所得控除もなければ所得が半分になるという規定もありません。
でも、それでは日本に住んでいるかいないかで退職所得の取り扱いが異なることになりますので不公平ですよね。
そのため、外国人本人の選択により日本で所得税の確定申告を行うことができます。
その結果、すでに納めてある源泉所得税が還付されることが多いです。
ネットで検索しますと脱退一時金の請求を社労士や行政書士・外国人の人材を派遣する会社などが行い、その流れで所得税の還付申告まで行っているところがあります。
【事務所お知らせ】税理士以外が還付申告をするデメリット
所得税の還付申告を代理提出できるのは税理士のみです。
税理士の資格を持たない者が、脱退一時金の所得税申告(税務書類の作成や税務相談)をすることは、税理士法違反となる可能性があります。
税理士は法律に基づき、納税者の代わりに確定申告書などの税務書類を作成し税務署に提出したり税金に関する相談に応じたりすることができます。
税理士資格を持たない個人や会社がこれらの業務を有償で行うと、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
脱退一時金を受け取った場合、通常は源泉所得税の還付を受けるために確定申告が必要です。
この確定申告は税務申告にあたるため、他人の代理で行う場合は税理士資格が必要となるわけです。
日本国外に転居する場合、多くは「納税管理人」を選任して申告手続きを行う必要があります。
この納税管理人として税理士に正式に依頼し還付申告の手続きを代行してもらうことは可能です。
そのため、社労士や行政書士・代行会社が税理士に依頼して還付申告を行うのが一般的なのではないのかなと思います。
しかし、ネットを見る限り税務申告までトータルで請け負っているとしか思えないところが多そうな感じがします。
ここまでは、請け負った側の話で依頼をした外国人側はすぐに不利益はないのかもしれません。
しかし、所得税の還付申告そのものが正しいという保証がないわけです。
税の専門家ではないため間違った申告書が提出されているかもしれませんね。
税理士が委任をする場合には申告書に代理権限証書を添付します。
それがない申告書をみると税務署は「あれ?」「この申告書大丈夫かな?」と警戒してしまうかもしれません。
所得税の還付申告は税理士に依頼を
脱退一時金の所得税申告を他人に依頼する際は、必ず税理士の資格を持つ専門家に相談し、正式な手続きを踏むことをおススメします。
このようなところに依頼をされたほうが安心かと思います。
まとめ
脱退一時金の業務を行っている社労士や行政書士・代行業者が悪いということではなく、所得税の還付申告を代理すると税理士法違反の可能性があるということ。
ネットで所得税の還付申告までトータルでされているのを目にすると、申告で何か問題があると責任を取れるのか、迷惑がかからないのだろうかと思ってしまいます。
では。
