源泉所得税のみの税務調査ってあるの?

税務署の法人課税部門が行う中小法人に対する税務調査では、法人税・消費税・源泉所得税・印紙税の4つを同時に行うのが一般的です。

しかし、源泉所得税だけを対象とする税務調査もあります。

ではどういう場合に源泉所得税のみ単独で調査が行われるのでしょうか?

【事務所お知らせ】  

源泉所得税単独調査とは

源泉所得税だけを対象として税務調査を行うことを「源泉単独調査」と言ったりします。

具体的に源泉単独調査を行う部門として、

  • 源泉所得税担当
  • 特別国税調査官
  • 国際税務専門官

が挙げられます。

源泉所得税担当

法人課税部門の中に源泉所得税を担当する部門があります。

この部門にいる調査官が現場に出向いて行います。

通常の税務調査とさほど変わりませんが、公益法人や宗教法人など法人税の納付義務はないけど源泉所得税の納付義務はあるという法人を対象として調査が行われます。

寺社・幼稚園をイメージされるといいかと思います。

特別国税調査官

上場企業などの大企業を周期的に税務調査します。

規模が大きいので「国税局が対応するんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、一定規模のある税務署に配置されている特別国税調査官が担当します。

特別国税調査官は法人のほか源泉所得税担当もあり、税務調査経験の長い職員がある程度の調査日数をかけて担当します。

国際税務専門官

国税局で国際課税を経験したり語学力のある者により構成され、国際取引を重点とした調査が行われています。

こちらも一定規模のある税務署に国際税務専門官が置かれており、法人のほか源泉所得税担当が調査をしています。

広域運営が中心

先ほども書きましたけど、通常の法人の税務調査では納税地を管轄する税務署から調査官が来るというのが一般的です。

しかし、特別国税調査官や国際税務専門官は、すべての税務署に配置されているわけではありません。

いわゆる中心署と呼ばれる税務署に配置したポストの者が、他の税務署の管轄の納税者を含めて担当することになっています。

これを広域運営と呼んだりします。

そのため、地元の税務署の調査官ではなく源泉所得税に詳しい調査官が他の税務署から来る可能性がありますので手ごわいかなと。

宗教法人が特に狙われやすい

宗教法人でも個人の家計と宗教法人の会計は区別する必要があります。

宗教法人の会計帳簿には収入や支出を帳簿の記録しておく必要があり、支出の中には住職に対する給与の支払や現物給与の支給など源泉徴収すべきものが含まれています。

ところが収益事業を営んでいない限り法人税を申告する必要がないため、どんぶり勘定になってしまっているところが少なくないわけです。

宗教法人の収入となるものは住職や宮司(以下、住職等)が自由に使うことができません。

例えば、お布施は宗教法人の収入になるわけですが、住職等が自分のサイフに入れて使ってしまった場合には宗教法人から住職等に給与の支払があったとされます。

そうなると源泉徴収をして国に納付しなければなりません。

このような住職等へ支払う際の源泉徴収もれが問題となっています。

国税庁でも以下のようなパンフレットが作成されていますので注意したいところです。

令和5年度版 宗教法人の税務

国際税務専門官の調査が一番怖い

源泉所得税単独調査で一番怖いのが国際税務専門官の調査かなと。

国際取引ゆえ金額が多額となり源泉徴収もれも多額になりがちです。

情報収集に努めており、あらかじめある程度事前準備・調査を想定してきているため確実に誤りを指摘されると思ってよいでしょう。

まとめ

源泉所得税のみの税務調査は必ず行われています。

宗教法人の源泉徴収もれは最近ニュースで報道されていますね。

源泉所得税の調査が怖いのは、判断に迷うところが少ないことです。

知らなかったから調査で指摘されて税金を納める羽目になってしまうことが多いです。

「法人税を納めなくてもいいから大丈夫」と思っていると足元をすくわれるのが源泉所得税だと思いますのでお気をつけて。

では。

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