今月あたりから年金を受け取っている方向けに扶養親族等申告書が日本年金機構から送付されてきていることと思います。
提出する年分は「令和7年分」と書いてありますので来年の扶養情報を記入していただくことになります。
では、令和6年中に申告内容に変更があった場合はどうしたらいいのでしょうか。
扶養親族等申告書を提出する人
簡単にまとめると扶養親族等申告書を提出する必要がある方とは、
②公的年金から所得税が天引き(源泉徴収)されている
③配偶者控除や扶養控除などの控除を受ける方
ということが言えます。
【事務所お知らせ】「令和7年分」って来年だよね??
今回送付されてきているのは令和7年分、つまり来年分のものです。
ではなぜ来年のものをこの時期送ってくるのでしょうか?
所得税の源泉徴収をするときには、令和7年最初の年金支払日(R7.2.15)までに扶養親族等申告書の提出を求めなければならないことになっているからです。
年金は完全後払い制ですから、R7.2.15支払日はR6.12月分とR7.1月分が対象となりますのでそれまでに提出をしないと扶養情報が反映されないことになります。
公的年金には年末調整制度がないが…
給与には年末調整という制度があります。
お勤めされていますと、令和7年分の扶養控除等申告書を渡されるついでにすでに提出した令和6年分の扶養控除等申告書の申告内容に変更がないか確認を依頼されます。
申告内容に変更があれば令和6年分の扶養控除等申告書を訂正すれば今年の年末調整において反映してもらえます。
公的年金には年末調整という制度がありませんので基本的には確定申告で精算をするのが原則です。
しかし、公的年金のほうで扶養親族等申告書を提出することでいわば年末調整的な役割を果たします。
なので、年金収入だけの方で配偶者控除等などの控除を受けられている場合には、正しく所得税が徴収されていますから確定申告が不要となるのです。
ただ、ここである問題が。
令和6年分の扶養控除等申告書はお勤め先で保管されているはずですから令和7年分を渡す際に一緒に内容を確認できます。
しかし、公的年金については提出先が日本年金機構となっていますから令和6年分の扶養親族等申告書の内容に変更があった場合訂正したくても手元にありません。
なので、申告内容に変更があっても訂正できない状況になってしまいます。
令和6年中にすてに提出済みの申告内容に変更があった場合
申告内容に変更があった場合とは、
- 配偶者控除の変更:婚姻や離婚、配偶者の所得が変わった
- 扶養親族等の変更:子どもが生まれた、所得の変化により控除対象扶養親族が変わった
- 障害者控除の変更:障害者控除を受けられるようになった、障害の程度が重く(軽く)なった
などがありますけど、よくあるのは扶養親族の誰かが障害者になったという場合です。
この場合、令和6年分の扶養親族等申告書はすでに提出されている内容で所得税の計算が行われていますので、変更内容を反映させるためには確定申告が必要です。
障害者になった場合に障害者控除を受けることができるようになりますと、控除額が増えますので税金を減らす効果があります。
そのため、確定申告をするほうがすでに公的年金から源泉徴収されている所得税の還付を受けることができる可能性があります。
令和7年分の扶養親族等申告書はどうすればいいの?
提出済みの令和6年分の扶養親族等申告書の内容は、令和7年分の扶養親族等申告書に印字されています。
申告内容に変更があった場合には、「前年から変更あり」で変更箇所を修正・追加して提出をします。
この変更内容をもとに所得税を計算するのはあくまで令和7年から受け取る年金についてです。
というところが注意です。
例えば、令和6年5月に扶養親族が障害者控除を受けるようになった場合には、2つの手続きをします。
- 令和6年分の扶養親族等申告書は変更できない(令和6年分は手元にないから)
⇒障害者控除を受けるため令和6年分の確定申告をすると所得税が減る
*令和6年分の還付を受ける申告は令和7年1月1日からできます - 令和7年分の扶養親族等申告書「前年から変更あり」で提出する⇒令和7年分は変更内容を反映した所得税が計算されることから確定申告は不要
令和8年分は令和7年分に変更がなければ「前年から変更なし」で申告すれば確定申告は不要です。
まとめ
給与の年末調整と似ていて混乱してしまうところかもしれません。
令和7年分の扶養親族等申告書と書かれていたらあくまで令和7年1月~12月の1年間の状況を書きます。
令和6年中に内容の変更があれば所得税に影響がありますので確定申告が必要です。
では。