実務経験がないなりにどう対応するか

正直に申し上げますと、社会保険労務士試験に合格したものの実務経験はほとんどありません。

税務職員のときに興味を持って勉強し合格した試験ですが、実際に仕事で使ったということはありませんでした。

税務と合わせて質問されることはあっても、詳細なことは答えずにいました。

今、家業の経理事務で社会保険関係の手続き業務を少しはやってはいますが、正直不安です。

机上の理論だけでなく実際に経験しないとわからない部分はあります。

それをどう穴埋めしていくのか。

未経験だからこそとにかく行動する

資格試験に合格したけれど実務は経験したことがないという方はいらっしゃると思います。

私もこのまま税務職員だったらきっと社会保険労務士の資格は持っていても実務で使うことはなかったでしょう。

税務もそうで、源泉所得税の事務が最後何年間か続いたこともあって、法人課税部門にいたにも関わらず法人税や消費税の知識は抜け落ちつつありました。

実務で使わないものは理論がいくら頭に入っていたとしても抜けていきます。

未経験のものはいくらでも出てきます。

それこそ開業準備もそうですし、開業後の仕事の仕方も。

立ち止まっていても仕方ないな、と最近思うようになりました。

未経験を補うために考えたこと

多くの事例にあたる

私が思う「事例にあたる」というのは、

  • まだ実務に出ていないけど相談事例にあたってみる
  • 書類を実際に作成してみる

ということを指します。

私の場合、ただ本を読むというのは苦手です。

考えながらメモしながら読むということしかできませんし、ある事例から問題点と解決策を探っていくという本を読むのが好きです。

以前記事にもしました。

いくら実務から学ぶといっても最初は事例が少なすぎます。

まずはある程度パターンというか定型的なものを身に着けるのが効率的かなと思っています。

自分がしたいことは何かをしっかり持つ

以前の私は、正直自分が何をしたいのか・何が求められているのかまったくわかりませんでした。

例えば、税務署の源泉所得税事務を担当していたときにこういう失敗をしていました。

源泉所得税の本を購入するもただ読んでいるだけで事例にあたらなかった
→お客様や同僚からから質問されても答えられず自信がなくなった
結局何年間も経験したはずの源泉所得税の理解は深まらず曖昧さだけが残った

源泉所得税事務で質問が多いのは「給与」「報酬料金」「退職」「非居住者」です。

他はとりあえずその都度調べるスタンスでよかったはずなのに、一からすべてを知らなきゃいけないと思い最初のページから目を通すことだけ考えていました。

しかし、いざ質問されてもまったく理解できていない・勉強していないということが多かったのです。

何が一番問題となっているのか、自分が何をしたいのかがまったくわかっていませんでした。

正直自己満足していただけです。

勉強したという形だけで実際には何の役にも立たない。

結局、源泉所得税に苦手意識が芽生えてしまい苦痛で仕方なくなりました。

最後まで不安感が払しょくされませんでした。

これではいけないなと思ったのです。

自分で何をやりたいかをしっかりと見つけておくと、その経験をたくさん積んでいけばいい。方向性が定まるので遠まわりすることがなくなると思っています。

選択と集中ー何が求められているか

まだ経験したことがない部分をピックアップして集中的にやっていこう、と考え方を変えることにしました。

「何でも聞いてください」は私には無理です。そんな能力ありませんし。

私がやりたいと思っている「調査専門」「個人事業主・フリーランス特化」するということ。

これまで若干の経験はあるにせよ正直まだ経験していないこともあります。

でもなぜあえてこう思ったのか?

それは自分が興味を持っていて、お客様の状況も考えてこの方向性を決めたのです。

まず、自分の興味が持てるものじゃないといくら仕事をしていても面白くありませんよね。

税務調査の経験はありましたが、調査日当日の対応よりその前後。

つまり、どこがポイントになるかを事前にチェックしたり調査日以後どう対応するかののほうが私は好きでした。

何が問題なのか、調査日以後どう対応していくのかを考えて「調査をいかに早く終了させて納得することができるか」を考えていきたいなと。

もちろん税金の追加納付は少なければいいのは確かですが、それよりも申告内容の確認や書類管理などのチェックをしていただきたいなと思うのです。

「気づき」ですよね。

また、これまで税理士があまりかかわってこなかった個人事業主やフリーランスの方にも身近な存在でありたいなと思ったこと。

あと、これは社会保険労務士としてなのですが、個人事業主でも一定の従業員を抱えていると社会保険に加入する必要がありますが、それができていない個人事業主が多い。

一方で、それを専門に扱っている社会保険労務士が意外に少ないということ。

税務調査を専門にするなら、きっと年金事務所調査や労働基準監督署調査を専門的にやってもおもしろいなと。

「調査業務」・「個人事業主やフリーランス向け」に特化すると決めたら、やる方向性が定まった気がして気持ちが楽になりました。

すべてをまんべんなくやるより、「選択と集中」を考えています。

お客様が何を求められているのかを考えながら、でも自分がやってみたいと思う仕事をやることが双方にとっていいことなのかなと思っています。

選択と集中をしたことで、その調査業務にかかる情報をネットや書籍から仕入れて集中的に学ぶことができています。

事例も多くあたることができました。

あとは実際に自分が調査官としてではなく、税理士&社会保険労務士としてどう対応するか。

それは業務をやってみないとわかりません。

その都度調べながら、なんども失敗して経験していくことが必要なのかなと思っています。

実務経験って「何をもって実務経験と呼ぶか」です。

会計事務所を考えると、内部業務・法人業務・相続業務と分かれていたりすることもあります。

もし内部業務の担当になったらその業務以外は未経験ですから、もし法人業務をやってと言われたら一から経験していかなければならないわけです。

いずれにせよ未経験業務はどの組織においても起こりうることなのではないか。

それを考えるようになってから、それほど肩肘張らなくて柔軟に対応していけばいいなと思えるようになりました。

まとめ

正直これからやってみたいと思う業務は未経験のものが多いです。

ただ、もし業務経験があったとしてもそれが果たしてお客様にとってほんとうにお役に立つことができるのかはわかりません。

もちろんお客様からすればベテランの方に頼んだほうが安心されるかもしれません。

それは当然です。

私もそれは否定しません。

しかし違う方向から考えて対応できることがあるかもしれないし、経験不足だけどどうカバーできるかを考えていけばベテランの方より頼られるかもしれないなと。

未経験者なりにいろいろ考えるところはあります。

では。

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