ある相談会でのご質問です。
「定年退職をし年金をもらい始めたのですが、これまで年末調整で会社でやってもらっていたので確定申告ってどうしたらいいのか分からないんです。」
定年退職後初めて確定申告をされるときに、まずご質問として多いのはそもそも確定申告ってどうするの?というもの。
これまで年末調整で完了してご本人は特に何もしなくてよかったわけですが、急に自分で確定申告してと言われても…ということのようです。
年末調整で完了してしまうデメリット
会社でお勤めの方ですと、毎月の給与やボーナスから所得税が天引きされます。その後年末調整で所得税の精算を行い、差額が還付になったり納付になったりします。
年末調整があることで会社の経理担当者が計算をすることになり本人が知らないうちに完了してしまっているという状況です。
なので、退職して自分で確定申告をしなければならないのにどうしたらいいのかまったくわからないという状況に陥ってしまいます。
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準備するもの 年末調整のときと一緒
では、定年退職後に初めて確定申告をする場合に何が必要なのでしょうか?
それは、基本的に年末調整時にいつもご準備いただいているものと変わりません。
- 給与所得の源泉徴収票
- 生命保険料控除を受ける⇒控除証明書
- 地震保険料控除を受ける⇒控除証明書
- 扶養状況を確認(配偶者控除や扶養控除など)
- 障害者控除が受けられるかどうか⇒障害者手帳など
- 住宅ローン控除を受ける⇒残高証明書と計算明細書
お勤めされていると年末調整時に以下の書類が渡されていたかと思います。
- 扶養控除等申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
これらに記入するものをそのまま確定申告書に記入していくという流れです。
注意点 年末調整より自分で計算する場所が多い
年末調整の各種書類は自分で判定表を埋めていけば計算することができていたかと思います。
例えば、配偶者控除ですとご本人と配偶者の所得をもとに判定できたりします。
一方、確定申告書を見ると特に計算する書類もありません。
第二表に明細は書きますけど、計算結果を第一表に記入するだけ。
なのでご自身で計算していく必要があります。
間違いやすいのは扶養控除。
扶養の人数が多かったり、特定扶養親族や同居老親等がいたりすると金額が大きく変わります。
年末調整時のような保険料控除申告書はありませんので生命保険料控除の計算はご自身でする必要があります。
なので、確定申告時期に税務署から配布される「確定申告の手引き」を必ず手元に置いて確認しながら作成されることをおススメします。
また、国税庁ホームページにある確定申告書等作成コーナーで作ると生命保険料控除も自動計算してくれますので便利かなと思います。
定年退職前に確定申告を経験する 医療費控除・住宅ローン控除
確定申告を事前に経験しておかれるのもいいのかなと思います。
医療費控除は年末調整では受けることができず、確定申告が必要です。
また、住宅購入した際にローンを組んだ場合は住宅ローン控除を受けられる場合があります。
住宅ローン控除も初年度は確定申告が必要です(2年目以降は年末調整)。
必ず住宅を買う時代ではありませんので、全員が当てはまる可能性のある医療費控除を確定申告してみるというのもひとつです。
定年退職後に給与と年金をもらい始めた場合
定年退職後そのまま在籍され給与をいただきながら年金もいただいている場合もあろうかと思います。
その場合は、給与以外に年金ももらっていますので確定申告が必要です。
給与は給与所得・年金は雑所得に分類され、2つの所得があれば合算する必要があります。
また、給与と年金を両方いただいている場合は所得金額調整控除を受けることができます。
以下、こちらの記事にも書いています。
まとめ
この2つが大原則です。
例外もありますけど、まずご自身が今置かれている状況を把握しておくことが大事です。
お勤めされていると、扶養控除等申告書などの年末調整用紙を書くように依頼されるのは11月~年末にかけてだと思います。
しかし、その配布がない場合、または退職して書いていないとなると確定申告が必要だということです。
そもそも年末調整していないわけですからね。
もし確定申告が必要なら、まずは年末調整時に収集した書類を準備してみることから始めて、書類が揃ったら確定申告をやってみること。
分からなければ無料相談会に足を運ぶ、税務署で確認する、税理士に相談する。
確定申告をどうやったらいいかというご質問が意外と多かったので記事にしてみました。
では。