工事業の経理ポイント

ここ数回にわたって書いている業種ごとの経理ポイント。

今回は工事業です。

工事業といってもいろいろありますよね。

土木工事・大工工事・水道工事など。

今回は工事業として一般的に考えられる経理のポイントについて書いてみたいと思います。

工事業の経理ポイント

いわゆる工事業は、一個人事業主として現場に行き作業をして対価を得ることだと思います。

会社から外注として働き事業収入を得ていくわけです。

ここで会社側では対価を支払う際に、外注費なのか給与なのかが問題になることがあります。

しかし、その対価を受け取る側である工事業を営む個人事業主は売上を計上することと、事業として払ったものを経費にすることがまず大事です。

ポイントとしては、

  • 売上の計上時期と金額
  • 経費になるかならないか
  • 残高を合わせること
  • インボイスの対応

があると考えてお伝えしています。

売上

売上は計上時期と金額です。

依頼された会社に請求書や領収書を出し、その金額をもとに計上していきます。

手元には請求書や領収書を発行した控えが残っているはずです。

計上する時期としては、

  • モノを引き渡す:引き渡し時
  • モノを引き渡さない:完了日

があります。

基本的に工事業ですと、その仕事が完了して引渡しをするときかなと思います。

多くの場合、請求書を発行日で判断することがあります。

その日で完了している・引き渡していることが分かる書類となると請求書や領収書など。

気を付けたいのは、入金時ではないということです。

完成・引渡しがあってその後入金がされるわけですが、入金時までに決算を迎えると未入金の状況であったとしても売上に計上しなければなりません。

経費

経費としては事業として使ったものしか計上できません。

プライベートな費用は経費になりません。

また、そもそも経費とならないものもあります。

例えば、税金関係。

所得税や住民税は経費になりませんが、事業税に関しては事業に係る税金ですので経費になります。

ほかには、国民健康保険や労災保険の保険料は経費になりません。しかし、確定申告時に社会保険料控除として所得から控除することができます。

また、事業とプライベート両方に使っている経費もありますよね。

例えば、電気代や電話代などは、事業で使う分だけを経費にすることができます。

この場合、全体で使った分のうち事業分の割合を計算して按分していくことになります。

これをよく「家事按分」などと呼んだりします。

家事按分については税務調査で指摘されることもありますので、按分した根拠を記録しておくことも大切です。

按分方法については、例えば電気代だと使用時間や部屋面積・コンセント数など様々な方法があります。

ガソリン代だと、走行距離や使用時間など。

この中から合理的な方法に基づいて計算根拠が示せるのであれば、経費が大きいものを採用してかまわないことになっています。

また、資材など在庫が発生する場合は、在庫管理をする必要があります。

全額経費にはならないというわけです。

在庫表などを作って管理をし決算時にいくつ残っているのかを確認し、経費から除く必要があります。

在庫分は棚卸資産として、翌年に繰越しされることになります。

【事務所お知らせ】  

残高管理

もし事業で使っている現金や普通預金があれば、定期的に残高が帳簿上と一致しているのかどうか確認しておく必要があります。

また、普段使う工具などで取得価額が10万円以上のものがあれば減価償却をする必要がありますので固定資産として計上します。

取得価額が10万円未満ですと全額経費にできます。

ただ、青色申告者で取得価額10万円以上30万円未満であれば基本的に全額経費として計上することができます。

ほかにも、取得価額10万円以上20万円未満であれば、3年間で1/3ずつ償却できる場合もあります。

このほか、事業で借入金があればその残高を管理する必要もあります。

インボイス

インボイスを登録するかどうかですが、依頼された相手先が事業者なら基本的にインボイスの登録を検討する必要があります。

ただし、例えば依頼された会社とだけ契約を結んでいてほかの事業者とは契約をしないなど、一社専属のような形だとどうなるのか。

双方の話し合いで契約内容を見直すことができればインボイスの登録をわざわざしなくてもいいのかもしれません。

ただし、ほかの事業者とも契約されている場合だと、インボイスの登録の有無が影響を及ぼしますので登録を検討する必要があると感じます。

まとめ

工事業を営む個人事業主の方のとらえ方は一般的な個人事業主と似ているところがあります。

むしろ問題なのは、この個人事業主に工事を依頼する事業者(法人)です。

支払うものが外注費なのか給与なのかの判断に迷うところが大きいからです。

しかし、それは法人側の問題であって、あくまで個人事業主は報酬を得たら売上計上をして、事業として支払ったものは経費にするというのは変わりません。

では。

タイトルとURLをコピーしました