税務職員として採用されてからすぐ研修が行われます。
そこで知り合った全国各地の国税局で採用された同期は、とてもかけがえのないものとなります。
私の時は750人ほどいました。
研修時代の同期とは交流を持ち続けておきたいと思っているのですが。。
苦楽を共にする仲間
研修では、社会人としてのマナーから税法や簿記の勉強、調査官としての心構えなどを学びます。
定期的に試験も行われますし、研修が終わった夜も復習や課題など多くのやることがあり大変な時期を過ごします。
研修では、まず班が作られます。
その班で基本的に行動するのですが、みんな右も左も分からないし、年齢も23歳から30歳近くまでいるので、最初の数日はぎこちない感じでスタートします。
しかし、週末にたいてい飲み会を開くと、一気に仲良くなり先輩後輩感もなくなって同期という仲間意識が芽生えてきます。
まだ班以外にも、私の場合は簿記委員をやっていたので、そのつながりで他の班の人たちとも仲良くなりました。
さらに、同じ班で他の国税局の仲間の紹介というのもあったりして、数か月の研修の間にたくさんの同期と知り合えました。
同期と仲良くならないというスタンスの人もいましたが、私は研修後の仕事において同期とつながっておいてよかったと思っています。
同期に悩み事を相談できる、仕事のやり方、税法の習得などを聞き出すなど。
同じ立ち位置で物事を考えてもらえるので安心感がありました。
みんなで不安や愚痴を言い合い、時にはみんなでわいわい言いながら日々を過ごしたのは本当にいい思い出です。
全国各地にいる同期に会いにいく
研修終了後、全国各地にある国税局管内の税務署などに帰っていく同期たち。
私は東京国税局採用でしたが、出身は和歌山県で大阪国税局管内です。
仕事が休みになると、和歌山へ帰る時や東京へ戻る時に大阪国税局の同期と大阪で会ったりしました。
また、同期たちに会いに行くために旅行をすることも。
名古屋や熊本・鹿児島はこういう機会じゃないと行けませんでした。
名古屋は、十数人で東京から夜行バスで行ってみんなでカプセルホテルに宿泊し観光する。
熊本・鹿児島は、同期の車の運転で熊本市内から鹿児島指宿まで。
また、地方にいる同期が東京で研修があったり遊びに来たりすると、定期的に集まったり観光したりしていました。
退職するとなかなか会えなくなる
昨年退職したので、もう国税職員ではありません。つまり公務員ではないわけです。
そうなると、今までできた仕事のことは話せなくなります。
税務調査でこういうことがあったらどうしたか、とか事務運営についてどう思うか、同じ職場仲間の話など、秘密事項も多いですから。
どうしても距離が出てきてしまいます。
もちろん、仕事のことはまだ理解できますが、職場にいない人間にいくら話しても解決はできませんしね。
また、もし退職した人と話しているところを職員に見られたらと思うと気まずいですし。
さらに追い打ちをかけるように、税理士になるともっと会いづらくなります。
税理士との会合は事実上禁止に
国税職員と税理士との癒着が問題となった事件がありました。
国税OBである税理士が、国税職員である後輩から税務調査の情報を聞き出し便宜を図った見返りに金銭を受け取ったり飲食代を支払ってもらう、といったものです。
また、2019年6月末には、東京国税局幹部が国税OB税理士から現金を受け取ったり飲食接待を受けた、というものもありました。
もともと、国家公務員倫理法で、国税職員と税理士との会合は謹むことや、金銭授受は禁止などの規定がありました。
私が退職する少し前から、OB税理士と会食をする時は総務課へ届出が必要になりました。
また、これらの事件があってから、OB税理士との飲食をともなう会合は厳禁。庁舎内で会うときは他の職員が同席の上、周囲の職員に不信感を抱かせないようにする。
ゴルフや旅行も自粛。お世話になった職場の上司を結婚式に招待することも禁止に。
これにより、事実上、OB税理士と現職員との付き合いはダメになりました。
今までのこの問題は、OB税理士として開業する先輩が、後輩である職員との間での付き合いの中で問題となったものです。
職場で長い間人間関係を築いて、上司部下の関係を超えて付き合っていたことまで否定されるのはどうなのかという意見もあるようです。
一部の人がやってしまったことで、全員を一律に制度化して縛ってしまって解決しようとするのもどうなのかなという意見も。
ここからは私が思っていることを書きます。
まったく会えないっておかしくない?
もちろん、先輩後輩の間柄で断り切れなくて情報を漏らしてしまったり金銭の授受をしてしまうということはいけないことです。
税理士は税務調査では利害関係者にあたるために当然に禁止だとは思うのですが、まったく会えなくなるのはどうも納得がいきません。
単に食事をするのもいけないの?と。もちろん割り勘です。
問題になる行動を取らないのなら、自己の責任で会ったりするのはいいのではないかなと思うのです。
今まで接してきた同期と税理士になったとたん急に会えなくなるということになってしまうのです。
それは悲しすぎます。
一律に規制するのはよくないと思うのです。
もっと柔軟に考えてもいいのかなと。
正直、私は他の友人に会うときもこの倫理法のことがいつも頭をよぎっていました。
事業会社で働く友人、公認会計士の友人。
こういう友人と話すとき、食事や飲み会をしてもあまり楽しめないのです。
地方公務員である友人など公務員であるとなおさら気にします。
そんなにがんじがらめにしてしまうと、税務職員だけしか知り合いができなくなり閉鎖的になってしまうのかなと。
それはつらいことだなと思います。
まだ税理士になってからのほうが人脈は広がるような気がするのです。
もちろん節度ある行動はとり続ける必要はありますが、同期や友人に会えなくなるってつらくないですか?
まとめ
今回は、退職した時の同期と今後もつながっていたいなという希望を書きました。
現状、今はまだ税理士登録していないので、同期とは会うことはできます。
しかし登録してしまうと簡単に会えなくなるのかなと。
なんか悲しいですよね。
こういう癒着の問題って他の人同士も当てはまるわけで、税理士と税務職員だけじゃないと思うのです。
まあ、今後国税OB税理士は「顔が効く」よりは知識や経験を持った実力のある人間だけが残っていくのでしょうね。
では。
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