今年の確定申告において、扶養に関する相談を受けたのですが、税金の扶養と社会保険の扶養を考えるうえで勉強になったのでご紹介してみたいと思います。
*詳細な内容はふせておきます。
具体例
夫がサラリーマン、妻が個人事業主という夫婦のケースです。
妻は亡くなった父から数年前に相続した上場株式を令和7年中に譲渡しました。
この株式は源泉徴収なしの特定口座だったため確定申告が必要となりましたが、当初は確定申告不要と思っていたため夫の年末調整には反映されていませんでした。
確定申告を計算した結果、妻の所得は以下のとおりとなりました。
- 事業所得:20万円(事業収入200万円-必要経費180万円)
- 譲渡所得:380万円(譲渡収入400万円-取得費・譲渡費用20万円)
- 合計所得金額:400万円
税金の扶養(配偶者控除)への影響
夫がサラリーマンで給与所得900万円以下の場合、配偶者控除・配偶者特別控除を受けるための妻の所得要件は次のとおりです。
- 配偶者控除:妻の合計所得金額が58万円以下
- 配偶者特別控除:妻の合計所得金額が133万円以下
今回のケースでは合計所得金額が400万円となるため、どちらの控除も受けることができません。
夫はすでに年末調整で配偶者控除を受けてしまっているため、勤務先に再計算を依頼する必要があります。
その際、妻の確定申告書のコピーを勤務先に提出したほうがいいでしょう。
【事務所お知らせ】社会保険の扶養(被扶養者認定)への影響
社会保険の扶養に入るための基準は、年間収入130万円以下(60歳以上は180万円以下)です。
ここで重要なのが「年間収入」の定義です。
昭和61年の通達によると、年間収入に含まれるのは「恒常的な収入」、つまり継続して得られる収入に限られます。
また、事業所得のように経費を要するものについては、必要経費を控除した後の金額を収入とします。
このルールを今回のケースに当てはめると、
- 事業所得20万円:必要経費を控除した後の金額が年間収入となる
- 譲渡所得380万円:株式の売却は1回限りの収入であり、恒常的な収入には該当しないため年間収入に含まれない
その結果、妻の年間収入は事業所得の20万円のみとみなされ、130万円の基準を大きく下回るため、妻は夫の社会保険の扶養に入り続けることができます。
補足:減価償却費の取り扱い
さらに細かい論点として、行政の疑義照会には以下のような回答も紹介されています。
個人事業主の決算書に計上された減価償却費については、「社会通念上明らかに必要な経費の実額ではない」として、恒常的な収入から控除できないとされています。
扶養認定の判断は、確定申告書上の所得そのものではなく、総収入から売上原価を差し引いた額をベースに、明らかに必要な経費のみを控除して算出するとされています。
でも、どこまで扶養認定で確認をされるのかがわかりません。
配偶者控除を外すときに勤務先に妻の確定申告書のコピーを提出していますので、もし年金事務所などから問い合わせがあったときに回答できる準備はしておきたいです。
まとめ
今日の内容をまとめておきます。
| 結果 | 理由 | |
| 税金の扶養(配偶者控除) | 受けられない | 妻の合計所得金額が400万円 |
| 社会保険の扶養 | 引き続き対象 | 恒常的収入は事業所得20万円のみ |
税金と社会保険では「収入・所得」の定義や計算方法が異なるため、一方で扶養から外れても、もう一方では扶養に入り続けられるケースがあります。
なお、勤務先が協会けんぽか組合けんぽかによって取り扱いが異なる場合もあるため、具体的な判断は夫の勤務先への確認が必要です。
では。
