調査官に折れる場合と主張する場合

税務調査をしていく過程で、調査官とお客様・税理士の間で意見が割れることがあります。

その場合に調査官にどのような対応をすればいいのでしょうか。

ある時は素直に謝罪する。

ある時はこちらも意見をぶつけることも。

両方の対応が求められると思っています。

調査官に折れる場合

税理士は、基本的にお客様と調査官との間で中立の立場であるとされています。

しかし、実際は税理士の立場上は報酬をいただいていることもあってお客様の立場にたちがちです。

そのためここでは、

お客様・税理士VS調査官

という構図で書かせていただきますね。

では、調査官に指摘された事項を素直に受け入れて謝罪したほうがいい場合=「折れる」場合を書いてみます。

明らかな誤りがあった 集計もれ・見落とし

税理士やお客様も人間ですから、何度事前にチェックしていたとしても集計がもれていたり見落としていることがあるかもしれません。

例えば、売上の計上について、請求書の一部が完全に漏れていた場合などは素直に謝るべきかなと思います。

証拠書類がなくきちんとした帳簿が作れなかった

帳簿を作る場合には請求書や領収書など証拠書類をもとに作っていくわけですが、不備があって帳簿が作れない場合もあるかと思います。

例えば、これまで一度も確定申告をしてこなかった場合。

本当なら確定申告しないといけなかったのに書類をなくして帳簿を作っていない場合は明らかにお客様に落ち度があります。

その場合は調査官に素直に謝罪をしてうえですぐに申告書の作成の対応をすべきです。

もし自分で申告書が作れないなら税理士に頼んで早急に申告書を作って提出したほうが調査官の印象もよくなります。

そのほか、できる限り証拠資料となるようなものを集めていったんは申告をするということも考えていくべきでしょう。

不正をしていた

やってはいけないことですが、例えば、架空の領収書を作って経費を水増ししていた場合です。

こんなものは調査官にいくら主張しても覆ることはありません。

税理士が知っていたら税理士も問題視されますので、基本的に税理士の知らないところで不正は行われていると思います。

そんなときも素直に調査官に謝罪しましょう。

もちろん不正をしていたのですから重加算税という重たい罰金は免れないでしょう。

しかし、調査官としても報告はしてほしいんですよね。

時間をかけられる調査が調査官としては非常に困ります。

お客様にとっても不利益です。

なぜなら、納税をしない限りは延滞税が日割りでかかってくるのです。

早めに決着をつける意味でも、早急に対応すべきものです。

調査官に主張する場合

一方で、調査官から指摘された問題点について反論をしたい・意見を言いたいこともあると思います。

誤りであると納得できない

調査官に誤りであると指摘されたけど納得できない場合は、しっかりと反論しましょう。

ただ気を付けたいのは、理由を持った反論をするということです。

これはこのような理由があってこう処理をした、という理由付けが必要です。

そのためには証拠書類を準備したり、処理した方法をメモしておくなどの事前準備が欠かせません。

理由付けがあることで調査官としてこれを打ち砕く反論材料を準備しないといけなくなります。

調査官の主張が分からない

たまに調査官が何を言っているのか理解できないことがあります。

特に新人調査官に多いのですが、どこをどう指摘しているのか理解に苦しむことがあります。

私も新人時代は調査先のお客様や税理士から「何を聞きたいの?」「何を確認したらいいの?」と怒られた記憶があります。

調査官が何を問題視しているのかを把握しないと調査は進んでいきません。

それは調査官の説明不足という点は否めません。

結局双方の意見が食い違う理由を突き止めるためには、調査官に何度も質問して納得できる主張を聞きだすしかないのかなと思います。

ちなみに私が新人の時は、調査先への指摘事項とお客様・税理士の主張をいったん聞き入れて内容を精査したうえで回答するようにしていました。

今も指摘事項と反論についての調査経過メモを作る癖はつけています。

調査官の態度が悪い

調査官も人間ですので、親切な方もいれば上から目線で高圧的な態度を取る方もいます。

中にはお客様や税理士の意見に一切耳を貸さない調査官も。

自分の考えが正しいと思っている節があるのでしょう。

個人的にはやっかいな調査官だなと思います。

この場合は、調査官にイライラすることなく普段通りの対応を心がけるようにして、意見を言うときは言ってもしらちがあかなければ上司である統括官に相談します。

先ほど調査官が何を主張したいのかよくわからないという場合も、どうしても納得できないのなら上司である統括官に相談してもいいのかなと思います。

ただ、調査官の立場からしたらなぜ自分の主張を理解してもらえないのかという不審感は感じてしまうかもしれません。

そのため、上司である統括官への報告は最終手段かなと。

まずは調査官と意見をぶつけていくこと、納得するまで質問することが大事です。

まとめ

今回は税務調査における調査官への対応について書いてみました。

調査官時代もこのような駆け引きを自然に行っていたような気がします。

今税理士と立場が変わりましたけどどこかで線引きをするというのも調査を効率的に終わらすためには必要じゃないかなと思ったりします。

では。

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