最近年金をもらっている方向けに令和6年分の扶養親族等申告書を出し忘れていないかという案内ハガキが送られてきているようです。
「出さなくていいと思っていたのに出さないといけないのではないか?」と不安になっているかたもいて、年金相談窓口にお越しいただいているようです。
【事務所お知らせ】「公的年金等の扶養親族等申告書」を提出する人
この扶養親族等申告書を提出する人は、以下の方です。
- 老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を受け取っている
- ご本人が障害者控除や配偶者控除・扶養控除を受けたい
老齢年金は支払われる都度所得税を天引き(源泉徴収)しますので、所得税の計算の際に控除を受けて税金を減らすためにこの申告書を提出します。
令和6年分の扶養親族等申告書は令和5年10月以降に送付されてきており、今月になって
「本当に扶養親族等申告書を出さなくてもいいですか?」
という案内が来ているという状況のようです。
先日、この件を年金相談センター長に確認したところこれまでこのような案内が来たことはなかったらしいです。
扶養親族等申告書を提出しなくてもいい人
公的年金等の扶養親族等申告書を提出しなくてもいい人は、以下の人です。
- 給与と年金両方をもらっていて給与で年末調整を受けている
- 年金のほかの収入があって確定申告が必要な方
- 年金しかもらっていないが、医療費控除や住宅ローン控除など扶養親族等申告書に入れられない控除を確定申告で受けたい
「公的年金等」の扶養親族~と書かれていますので、年金のみ受け取っている方が提出する書類だと思ってください。
給与で年末調整をする場合、同じような扶養控除等申告書を書いて提出していますので、扶養親族等申告書と両方書いてしまうと二重控除になってしまいます。
また、結局のところ扶養親族等申告書を提出しても確定申告をすることで1年間を集計して正しい税額に精算をしていきます。
まとめるとこういう感じ。
というわけです。
扶養親族等申告書を出す・出さないで影響があること
年金の源泉徴収(天引きされる所得税)の計算方法ですが、申告書の提出あり・なしで比較してみます。
- 申告書あり:(年金支払額-障害者控除・配偶者控除・基礎控除)×税率5.105%
- 申告書なし:(年金支払額-基礎控除)×税率5.105%
基礎控除は全員が受けられるもので、65歳以上は月135,000円が最低額です(ほとんどの方がこの135,000円に該当します)
配偶者控除は月32,500円、扶養控除は1人につき月32,500円です。
一方で、扶養親族等申告書を提出しない場合は、
(339,944円-135,000×2月)×5.105%=3,570円(1円未満切り捨て)
となります。
扶養親族等申告書の提出を忘れたら「確定申告」
上記の源泉徴収税額だけを比較しますと、申告書ありは252円・申告書なしは3,570円で差額約3,300円が多く差し引かれています。
もし扶養親族等申告書の提出を忘れていて配偶者控除を受けていなかったら、確定申告書にその内容を織り込めば大丈夫です。
前もって多く所得税が天引きされているので3,300円×6回=19,800円が還付になる可能性があります。
もちろん今回の例は年金のみ受け取っていると仮定したものですので、年金以外に収入があれば確定申告をしないと正しい税額が計算できません。
このように申告書の提出をしなければ毎回の源泉徴収税額は多く取られてしまいますが、その分確定申告をすることで取り戻すことができます。
なのであまり心配になる必要はありません。
まとめ
先日の年金相談の勉強会にてこの話があり、もともと扶養親族等申告書を出さなくてもいい人にも案内が郵送されてきているらしく混乱されているとのこと。
なので、扶養親族等申告書を提出が必要かどうかを改めて整理したいと思ってこの記事を書きました。
最悪提出を忘れたとしても、毎月多めに源泉徴収されてしまいますが確定申告をすることで差額の還付を受けることができます。
再度お伝えしますが出し忘れたからといって心配する必要はありません。手間かもしれませんが確定申告を提出すればいいので安心してください。
では。