事業所得を確定申告するときには、収入金額から必要経費を差し引いて青色申告決算書を提出します。
この必要経費ですが、業種により経費になる範囲が異なります。
今回、私が好きなお笑い芸人の経費の範囲を考えてみたいと思います。
必要経費の範囲
必要経費とは、事業を行う上で必要な支払いであり、事業主本人が支払い、その支払いについて調査官に説明ができるものであることです。
例えば、お笑い芸人の場合は芸人本人が商品です。
TV番組や舞台に出て視聴者やお客様に笑いを届けます。
その見返りとして番組や劇場からもらったお金が収入ですよね。
その収入は、所属している事務所などから支払われますが、その事務所と雇用関係がないことが一般的です。
いわば外注のような形ですね。
芸人の場合はコントや漫才などを行います。
コントをする場合には自分たちで小道具を作ったりもするようです。
この小道具は明らかに事業で使うものなので必要経費になるでしょうね。
このほか、ネタ作りを作家と一緒にする場合にはその作家にも報酬を支払います。
これも必要経費ですね。
また、幕間に行われる映像制作を依頼することもあるのでそれも必要経費になりそうです。
コントで使う衣装も。
ただ衣装は判断が分かれるかもしれません。
というのは、普段でも着れそうなものならプライベートでも使える可能性があるからです。
一方で、漫才はというとセンターマイク(サンパチマイク)1本で行います。
もしコンビ2人だけでネタを作って披露しているのであれば映像代や作家代などは不要ですね。
衣装はというと、明らかに漫才にしか着なさそうなら必要経費になるでしょうね。
プライベートで着ていたら経費性は疑われるかと。
一般的に、芸人の多くは収入に比べて経費はかかりません。
商品を仕入れて販売したり、完全に外注を依頼するような業種ではないからです。
給与を支払うということもありませんし。
さらにコントよりも漫才をする芸人のほうが経費はさらに少なめかもしれませんね。
節税目的で法人化?
よく芸人の中でも、個人事業主なら経費が少ないため節税目的で法人を作るということが行われています。
賃貸している自分のマンションを会社から借り受ける形にすると芸人側に賃借料という経費が発生します。
一方で、会社側は賃料収入が発生します。
さらに、会社側で芸人本人の家族を従業員として雇えば給与を支給することができますので、会社側の経費が増えます。
つまり、会社側は賃料収入から給与を引いた残りが所得となりますし、芸人側は賃借料という経費が増える分節税になります。
なので、芸人が節税目的で法人を作るケースは比較的多いとされています。
手元にお金を残す
私は芸人だけに限らずですけど、節税目的での法人設立は勧めていません。
税金を払ったあとのお金を残しておくことが大事だからです。
法人を作るからにはお金が出ていきます。
設立費用や登記費用などですね。
収入金額から必要経費を差し引いたもうけ全額が税金になるかというと違います。
所得税の最高税率は45%ですから、手元には55%残る計算です。
ひょっとしたら法人化した当初はよくても後で状況が一変することも考えられます。
つまり、芸人は浮き沈みが激しい業種だと思います。
バラエティ番組に引っ張りだこだった芸人が、スキャンダルにより休業状態になることもあるんですよね。
そうなったときに手元にお金があるかどうかを考えると過度な節税はおススメしません。
まとめ
お笑い芸人が好きなのですが、ふと確定申告のことを考えたら意外とほかの業種に比べて必要経費が少ないのかなと。
業種により必要経費の範囲が異なることがわかる例かと思い取り上げてみました。
では。