大法人ほど単純な不正や誤りが起こる

最近よく脱税や多額の税金徴収のニュースが報道されています。

私が税務調査を担当していたころからずっと思っていることですが、中小法人は経理をきちんとされていて税務申告もまじめにされている印象があります。

もちろん、中には不正をしてしまっているところもあるのは事実ですが、仕方なくやってしまったという苦肉の策で不正をしたようなケースが多いです。

一方、いわゆる大法人は思っているほどきちんとしていない印象を持っています。

経理と他部署との連携が取れていない

ここで中小法人と大法人という名称の使い分けです。(私の中の使い分けです)

大法人とは、大手企業のほか売上や従業員・資本金が一定規模以上のところ、まあ世間から「立派な会社だね」と言われているところを想像していただければと思います。

私は、税務署で法人税調査をしていましたが、中小法人のほかここでいう大法人も調査をしていました。

規模がある程度大きい分調査日数がかかるのですが、確実に問題点が見つかります。

その中で多いのが、経理のミスです。

多くの法人では、経理のほかに営業や管理など部署が分かれていることが多いかと思います。

その部署内でうまく連携が取れておらず、経理がその状況を把握できていないこともあります。

売上が漏れていたり除外していたりするのは、営業が経理に報告がもれていて発覚することがあります。

なので調査の際には、経理担当者だけではなく営業担当者からも話を聞くことがあります。

もちろん最初から営業担当者に話を聞くことはありませんが、何か問題が見つかり経理担当者の話に納得がいかないと他部署まで話を聞きに行くことが多いです。

意外と不正につながるのが、連絡を受けていない・営業や幹部から無理やり指示されたなど、無理やり何かをしようとして失敗するパターンです。

経費として計上しているが実際はそんな経費は発生していないという「架空経費」は不正行為となり重たい罰金が科せられます。

外注費を計上したけどそんな事実はない、というような場合です。

うその領収書や請求書を作って保管している、そもそも領収書や請求書がないという事実があり、事情を突き詰めていくと内情を知ることができます。

だいたいは、「無理やりやらされた」「上の指示に基づいて」…のような経理だけでない他部署の影響を受けたものが多いなという印象ですね。

何も資料が出てこないとなると、通帳を確認して怪しい資金の流れがないかを確認することもありました。

外注費として計上していたが根拠がない・何も資料がない。

通帳を確認したら、それが代表者や役員の個人口座に流れていた、ということもあります。

経理の中で意思統一がされていない

経理の中でも人によって処理方法が違ったりして誤りが見つかることもあります。

経費関係の誤りが多いと思います。

あと注意すべきなのは、経理の人間がよく入れ替わる大法人の場合。

前任からの引継ぎが十分ではなく、前年の処理とまったく違う処理が行われていることがあります。

消費税の課否判定や経費処理の誤りは多かったですね。

税務調査が始まると概況聴取といって法人の状況をお聞きするのですが、そこで経理の状況を聞いて「ちょっと経理が危ないかも」と思ってしまうことがありました。

大法人なのにワンマン経営

ワンマン経営の法人だと、役員や幹部が好き放題することもあります。

それこそ、自分の思いのまま無理難題を言って経理を操作させるということもあります。

税理士にも無理を言ってしまったり、税理士の知らないところで不正に走るということもあります。

税理士に気づかれないところで話が進んでいるということもありました。

報告・連絡・相談は必要だと思う

結局不正が行われるところは、報告・連絡・相談のどれかが欠けているのだと思っています。

役員や幹部・各部署の担当者・税理士(事務員を含む)、それぞれが情報を交換しておく必要があるのかなと。

私が調査した中で不正が行われていたり多額の税金徴収が行われたところは、やはりどれかが欠けていました。

幹部は知っていたけど経理は知らない、営業から指示された内容を幹部は知らない、幹部の行動を税理士が知らない、などなど。

大法人ですと1件の取引金額が大きくなりますので、誤りが見つかるとものすごい金額の税金を支払う羽目になります。

その点、中小法人だと営業担当がいたとしても情報交換がされやすくて、役員なども行動を把握できていることが多いので、意外と不正行為はないかなと。

大法人ほど調査に行くと見た瞬間に問題点が見つかるような単純なことをしています。

それに比べれば、中小法人は意外ときっちりされているような気がします。

ぱっと見てもわからないことも多いです。

日々の報告・連絡・相談と内容の確認も大切だなと思いますね。

まとめ

今回は私の調査の経験も踏まえて、大法人ほど単純な誤りや不正が起こるということを書いてみました。

これは私の印象です。

大法人ですと海外取引も頻繁に行われていて、節税スキームを考えて取引を複雑化している場合があります。

しかし、取引を複雑化する前に、まず前提として従業員全員が取引を理解できていないと意味がないのかなと。

経理だけじゃなくて、営業の人間もすべて。

取引を複雑化している法人ほど経理がずさんだったりしますし、調査日数も時間をかけて行く必要があるため、あらぬ疑いをもたれる可能性も出てきます。

まずは内部からきちんと管理したほうがいいんじゃないかなと、私なりに思ってしまいます。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

昨日からジムがお休みなのでずっと自宅にいました。

PowerPointで資料を作っていたら休憩をするのを忘れて3時間ぶっ通しでパソコンに向かっていました。

おかげて目が痛くなり疲れてしまいました。

気をつけます。

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