税務調査でよくある疑問に答えてみる

今回は税務調査について。

初めて税務調査を受ける場合、事前にどういうことが行われるのかを知っておくことがとても重要です。

何も知らないまま調査を受けて、調査官の言いなりになってしまうのは非常にもったいないです。

今回は初めて調査を受ける方向けにQ&A方式で書いてみたいと思いますのでお付き合いください。

私が思うことを書いていますので、実際の調査と異なる場合もありますのでその点はご了解ください。ここでは、あくまで小規模法人や個人事業主に対して行われる調査を想定しています。いわゆる「大法人」は除きます。

税務調査が行われるまで

どんな方法で連絡がくるの?

税務調査は、自分の住所地や納税地を管轄する税務署から原則事前に電話で連絡があります。

法人であれば「法人課税部門」の調査官から、個人事業主であれば「個人課税部門」の調査官から連絡が来ます。

連絡が来たら、まず伺う予定日を告げられますので日程の調整をします。

いったん電話を切ってもかまいませんので、日程調整の上折り返し連絡します。

ですので、調査官の名前と所属部署は確実に聞き取っておきましょう。

指定された日に都合が悪い場合は?

もし日程調整をしたけど指定された日がどうしても都合が悪いのなら、日程を変更してもらうように調査官に伝えます。

ただその都合が悪い理由が、単に忙しいとかざっくりとした理由は受け付けてもらえないことがあります。

例えば、出張で現場にいない・会議でどうしても抜けられないとか、具体的な理由があれば大丈夫かもしれません。

ただ、税務調査自体をなしにしてもらうということはできないと思ったほうがいいです。

先延ばしにすることはできるかもしれませんけど、いつかは必ず調査を受けることになります。

何か準備するものはあるの?

日程調整が済むと、調査官から「事前通知」と言って、法律で定められた事項を説明されます。

法律用語で難しいかもしれませんが、基本的には調査日時、調査官の氏名、準備しておくべき書類などの説明があります。

準備書類は説明してもらえますが、もしわかりにくかったり説明がない場合は用意すべき書類を聞くようにしましょう。

具体的には、以下のようなものです。

  • 売上や仕入の明細
  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 通帳(生活用と事業用両方)
  • 申告書と決算書
  • 請求書
  • 領収書
  • 契約書
  • 給与明細(賃金台帳)
  • 源泉徴収簿
  • 消費税計算明細   など

また、よく調査官の氏名を聞き忘れてしまうことがありますので、きちんとメモを取っておくようにしましょう。

同姓の方が同じ部署に複数人いることがあります。

調査官と連絡を取るときには税務署へ電話をかけることになります。

メールでは対応していません(現状は)。

税務署へ電話をかけると音声ガイダンスが流れますので、1番ではなく2番を選択します。

1番は国税局の電話相談センターにつながってしまいますので、税務署へ連絡するときは2番を選択すると税務署の交換手につながります。

交換手に例えば「個人課税第〇部門 ××△△さんお願いします」と伝えます。

もし調査官から名刺を受け取っている場合、その名刺に「内線番号」が書かれているかと思いますので、「内線□番 ××△△さんお願いします」と伝えるとOKです。

当日までに何をしておけばいいの?

調査官から指示のあった準備書類の確認をします。

事前に用意するように指示された年数分必要です。

明細や領収書や請求書を紛失している場合は、再発行を依頼しておきます。資料があるかないかで調査期間や税額に大きな影響が出てしまいます。

急に怖くなって書類を捨ててしまうのは絶対にやめましょう。

もしすべてそろっていないことがわかっていたとしても残っている分は確実に残しておきます。

あとは、申告書や決算書の内容を確認しておきます。

明らかに間違いがある場合は事前に修正申告をしておくのも手です。

調査開始前に自ら修正申告をすれば加算税が少なくなります。

調査日当日

1日の流れってどんな感じ?

調査日当日の1日の流れです。

  • 午前10時 調査官が訪問
  • 午前 事業内容についての確認や世間話
  • 午後 申告内容の確認
  • 午後4時頃 調査官帰る

もし2日目があれば、10時から16時までずっと申告内容の確認をします。

事業内容の確認とは、事業内容や取引先の情報、仕事とお金の流れ、申告書の作成方法などを聞き取ります。

申告内容の確認とは、元帳や明細・請求書や領収書などと申告書や決算書を照らし合わせていきます。

世間話ですが、本当にたわいもない話が中心です。天気の話や今話題になっているニュースとか。

代表者や事業主はずっと調査に同席しないといけないの?

代表者や事業主は、基本的にずっと同席する必要はありません。

午前中にある事業内容についての確認は同席していただくことになりますが、午後からの申告内容の確認は同席しなくてもかまいません。

もし税理士が立会いをされている場合は、税理士にお願いをして退席しても問題ありません。

ただ、個人的には午後4時前の調査終了時点には席にいて、調査官から1日の総括をしてもらうほうがいいと思います。

今後の方針も聞くことができますから。

調査官にお茶やお菓子、昼食を準備しないといけないの?

調査官は自分で事前にお茶や昼食は準備してきていたり、昼食を持ってきていない場合でも外に食べに行くのが基本ですので、何も準備はいりません。

もし調査官に対してお茶を出すのなら全然出していただいてもかまいませんし、ちょっとしたお菓子くらいならかまわないかなと。

しかし、昼食はちょっと問題があります。

調査先から食事の提供があった場合は調査官側から自分の食事代を調査先に支払う必要があるのです。

もしそれを受け取らないとなると倫理法上問題となってしまいます。

ただ、どうしても近隣に食べるところがないなど、物理的に無理な場合は事前に調査官に確認して食事を用意することはいいかなと。

その場合は、調査官側からきちんと弁当代は受け取るべきです。

ただおそらく自分たちで準備していくから不要だと言われます。

なにせ一緒に食事を取ることはありませんから。

私の体験談ですが、地方の工場へ出張すると食べるところがなかなか見つからないので、コンビニで事前に用意していったりタクシーを使って食べに行ったりしました。

「お土産」って準備しておくの?

ここでいうお土産とは、菓子折りとかそういうお土産ではありません。

明らかな誤りを指摘されるようにして調査官の気をそらして早期に調査を終了させる、という技のようなものです。

実際にまんまとひっかかる職員も中にはいますが、正直意味はないと思います。

私は正直逆効果だと思っています。

なぜなら、明らかな誤りがあるというくらいならほかにも誤っているところがあるという誤解を招く恐れがあります。

また、統括官から受けた指示事項はその部分だとは限らないからです。

調査官からすればあからさまな誤りがあるとラッキーですよね。

どうしても調査官の心情としては、ひとつでも誤りが見つかると安心するものです。

まず1つ見つけると、あとは腰を据えてじっくりと確認していけばいいわけです。

なので「お土産」を準備するよりは、まず明らかな誤りがあるのなら事前に修正申告したうえで調査を受けるべきだと思います。

調査官からの質問ってどこまで答えるの?

最初に世間話から入るのでついつい調子にのってしゃべりすぎてしまう傾向にあります。

そのままの流れで余計なことまで答えてしまい墓穴を掘るということも十分ありえます。

基本的には調査官から聞かれたことだけ答えます。必要以上にしゃべらないことです。

一番ダメなのは、事実と異なることをしゃべってしまうこと。

変な誤解をされてしまって調査が長引いたり、不正認定されてしまうかもしれません。

分からければその場で答えることはせずに調べて後日回答で全然大丈夫です。

事務所ってきれいにしておいたほうがいいの?

調査を受ける事務所は整理整頓をしておくことをおススメします。

調査官は事務所の中やトイレまでいろいろなところから情報を収集します。

一時的な業務メモや取引先と推測されるカレンダー・ティッシュなどは誤解を与える恐れがあります。

ごみはすぐ捨てておきましょう。

デスク周りや机の中、パソコンも調査官は見ます。必要のないものはきちんと整理しておきます。

パソコンのデータチェックもお忘れなく。

調査官の態度が悪いときは?

調査官でもたまに口調が強い、理不尽なことを言われる、納得のいかないことを言う方がいるのは事実です。

口調が強い、理不尽なことを言われたなど調査でとても怖い思いをしたときは、まず調査官本人に抗議をして、上司である統括官に連絡をします。

調査内容について納得ができないなら、証拠を集めて反論の準備をします。

もし税理士がいるならお願いをして一緒に対応してもらいます。

なにも調査官のいいなりになる必要はありません。

おかしいと思うところは主張したほうがいいです。

まとめ

長くなりましたので、今日は事前対策と調査日当日までの流れをQ&A形式でまとめてみました。

調査日以後は調査官と調査終了に向けての話し合いと、修正申告書の提出、追加税金の納付という流れになっていきます。

調査日当日までの対応いかんで調査の展開が変わりますので、きちんと確認しておきたいところです。

では。

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