「給与をいくらにすれば年金は満額もらえますか?」に回答してみる

年金相談でよくあるご質問として、

会社で働いていて給与をもらっています。給与をもらうと年金が止まったりすると聞きました。給与をいくらにしたら年金は止められずに満額もらえますか?

という内容があります。

今回、働きながら年金を受け取る場合に年金が止まる仕組みと、いくらなら年金が止まらないのかについて、具体例を挙げて解説してみようと思います。

在職老齢年金とは

70歳未満の人が厚生年金に加入しながら働いている場合や、70歳以上の人が厚生年金のある会社で働いている場合、

老齢厚生年金と給与・賞与(ボーナス)に応じて、年金の一部または全額が支給停止になる場合があります。

これを「在職老齢年金」といいます。

在職老齢年金は、

  • 総報酬月額相当額:賞与込みの月収
  • 基本年金月額:老齢厚生年金の月額
  • 支給停止基準額:47万円

をもとに計算をします。

2022年4月から年齢問わず支給停止基準額が47万円に統一されています。

総報酬月額相当額

総報酬月額相当額とは、その月の給与(標準報酬月額)とその月以前1年間の賞与(標準賞与額)の×1/12との合計額をいいます。

標準報酬月額とは、毎月の給与を区切りのいい幅で区分した額をいいます。

標準賞与額とは、千円未満を切り捨てた賞与の額で150万円を上限とします。

計算式は、

総報酬月額相当額=標準報酬月額+直近1年の標準賞与額×1/12

となります。

具体的に計算をしてみます。

例)標準報酬月額が20万円で、賞与が年間60万円の人の総報酬月額相当額は、

20万円+60万円×1/12=25万円

となります。

【事務所お知らせ】  

基本年金月額

基本年金月額とは、老齢厚生年金の月額をいいます。

会社員の方ですと、原則65歳になると1階部分の老齢基礎年金と2階部分の老齢厚生年金を受け取ることができます。

在職老齢年金で支給停止に影響があるのは、あくまで2階部分の老齢厚生年金の部分だけです。

老齢基礎年金は全額支給されます。

支給停止基準額

総報酬月額相当額と基本年金月額の合計額が47万円以下であれば、年金が全額支給されます。

一方で、47万円を超えると超えた額の1/2が支給停止となり、年金から差し引かれることになります。

注意点

この在職老齢年金ですが、計算式を見ていただいてもお分かりかと思いますが、すべて月額ベース=つまり月ごとで計算されます。

47万円についても「月額」です。

月ごとに計算されることになりますので、給与の改定や賞与の支給で総報酬月額相当額が増減したり、年金額の改定があると支給停止額も変わります。

支給停止額か変わると、その都度、日本年金機構から支払額変更通知書がお手元に届くことになります。

年金を満額もらえるようにするために

では、ここからが本題です。

年金を満額(全額支給)もらいたい場合には、

総報酬月額相当額+基本年金月額を47万円以下にする

ということになります。

では、実際に具体的な数字を使って計算してみようと思います。

例)給与月20万円、賞与年間60万円、年金月額12万円

STEP1 47万円から基本年金月額を差し引く

支給停止基準額47万円以下であれば年金は全額もらえますので、まず年金月額を差し引きます。

支給停止基準額47万円-年金月額12万円=35万円

この35万円は総報酬月額相当額、つまり、標準報酬月額と標準賞与額×1/12の合計額であることが分かります。

STEP2 標準報酬月額から報酬月額を求める

総報酬月額相当額の中には、標準賞与額×1/12が含まれているのでこの部分を取り除きます。

総報酬月額相当額35万円-60万円×1/12(5万円)=30万円

この30万円が標準報酬月額です。

標準報酬月額を「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」に当てはめてみると報酬月額が求められます。つまり、毎月の給与の目安が求まるわけです。

ここでは、和歌山県の令和4年3月分からの保険料額表をもとに計算してみます。

標準報酬月額30万円ですと、報酬月額は29万円以上31万円未満(290,000円~309,999円の間)と求まります。

この間の給与月額であれば標準報酬月額は30万円と決定されるわけですね。

結果として、

①年金月額12万円
②賞与額年間60万円
③給与額29万円以上31万円未満(290,000円~309,999円)

であれば、支給停止基準額47万円以下となり、①は全額支給されるということになります。

まとめ

今回は具体例を使って、在職老齢年金の仕組みと年金が満額もらえるためにどのように計算していけばいいのかを解説してみました。

実は年金相談時にこの計算の仕方が最初分からなくて先輩社労士に教えていただきました。

ただこれで確定ではありません。

なぜなら、給与額を決めるのはあくまで会社です。

会社との協議も必要です。

ただ給与をこれくらいにすれば支給停止にならないだろうという判断の目安にはなるかなと思います。

ちなみに年金事務所や街角の年金相談センターに行けば、実際の年金月額から在職老齢年金の計算をしてもらえます。

給与額がある程度確定した段階で一度ご相談されてはいかがでしょうか。

では。

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