先日、税理士数人でお話をしていると「給与計算をしてくれる社労士が少ないから」という話が出てきました。
私は社労士業をしていますが給与計算は顧問業務をお受けした時のみやっています。
実際給与計算をやらないという社労士も多くなってきているようです。
その心理を今日は考えてみたいと思います。
時間がかかるわりに単価が安い
一言で給与計算と言ってもただ単価を決めて勤務時間や日数をかけて計算をするというわけではありません。
所得税の源泉徴収や社会保険料の控除もありますし、勤務時間をひとつとっても労働基準法で定められている規定も多々あります。
とても高度な知識を必要としているのでひとつひとつの検討に時間がかかります。
給与計算そのものは給与計算ソフトが代行してくれますから、計算の得意不得意は関係ありません。
なので世間一般的には「給与計算は誰でもできるもの」と思われているのかもしれません。
計算するだけなら報酬は安くていいだろう、という認識があるように思います。
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神経質な仕事が多い
先ほどの時間がかかると同じようなことですが、社会保険料や雇用保険料は毎年法改正が行われます。
社会保険料や雇用保険料に基づいた正しい計算を行うためには時間をかけて慎重に行うべきです。
さらに、勤務時間の中で気を付けたいのは残業時間における残業手当(割増賃金)の支払もれです。
残業時間をきちんと把握して支払いもれをなくすことも大事になります。
給与計算後には源泉所得税や社会保険料の納付、さらには年末調整や法定調書の作成など事務が引き続くわけです。
基本毎月行うことになりますので落ち着く暇がないというのがホンネなのかなと。
特にお金にまつわるお話なだけに慎重に扱わなければならないのであまりやりたがらないのかなと思います。
報酬をもらえる仕事をしたい
社労士業にもいろいろありまして、給与計算以外にも手続き業務やコンサル業務もあります。
今は助成金や障害年金などコンサル業務を中心として仕事をメインに受ける社労士が増えてきているようです。
付随して就業規則を整えたりする業務を行うことでよりビジネスとしてとらえる業務を行っているようです。
一方で、給与計算や手続き業務は顧問先でやろうと思えばできます。
専門性がなくても自分たちで決めて計算すれば社労士の力を借りなくてもできるようになっています。
社労士側も報酬を低くしないとお客様が来ないという事実があるのだと思います。
年末調整は「税理士業務」
給与計算を行っていくと、所得税の源泉徴収を行い納付していくわけですが、1年が終わると必ず年末調整を行います。
しかし、本来年末調整は税理士業務のひとつです。
社労士が業務として行ってはいけないことになっています。
年末調整が税理士業務であると明言された2016年以降、社労士による代行は税理士違反として扱われることになりました。
引用:愛知県社会保険労務士会 税理士の付随業務 より抜粋
ただ実情としては社労士が年末調整を行っているところも多々あります。
私もそれに対してとやかく言うつもりはありません。
ただ、もし年末調整業務を社労士がやっていてその間違いに気づいた場合の責任問題はどうなるのかなと。
ある社労士は給与計算と年末調整も含めて請け負うけれど、年末調整の計算チェックは税理士にお願いしているということを耳にしたことがあります。
給与計算は社労士・年末調整は税理士って同じ給与計算の一連の流れだから分ける必要があるのかなと不思議に思うことはありますけどね。
やってみたら勉強になる仕事だと思う
個人的には給与計算はお受けしたいところではあります。
税理士でもあるので年末調整までひっくるめてお受けできますし。
それよりも、労働基準法や社会保険料・雇用保険料を含めて勉強ができるので興味深いなと。
税務署で源泉所得税を担当していたこともあって給与計算はいつかやりたいなとは思っていましたが、どうしても目先の利益に目がくらんでいました。
でも、私は稼ぐというよりも自分が何をやっていきたいかに重きを置いているので、給与計算と年末調整でお困りのお客様がいたらお受けできる体制を作りたいと思います。
まとめ
私は今のところ社労士業務は年金相談が中心になっています。
仕事の幅を広げるということを考えたら給与計算を業務にしてもいいのかなと考えています。
お客様が計算したものをチェックするでもいいでしょうし、こちらで代行してもいいでしょうし。
いろいろと取り組んでみようと思います。
では。